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孤児だということで引き取る

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「この騒ぎは一体、なんでしょうか?貴方方はどなたです?」

「院長!この方はアルヴィア王国筆頭公爵家の、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌお嬢様です!」

「エミリーさん、何故そのような方が孤児院に?何故彼はそのお嬢様に抱きついているのです?」

「えっと、それにはまずウチで起きた事件を話さないといけなくて…」

エミリーが孤児院の院長に説明してくれる。

「私の家に強盗が来て、気まぐれ日帰り旅行に来ていてたまたま通りかかったエリアーヌ様が助けてくれて!」

「すごい偶然ですね」

「私が観光案内をしていたら甘い匂いをエリアーヌ様が嗅ぎ取って」

「え?」

「彼がエリアーヌ様の運命の番だと判明しました!」

院長はそれで全てを理解したらしい。

「ああ、それでこんなことになっているのですね」

「院長様」

「はい、お嬢様」

「彼は孤児ですのよね?」

「ええ」

私は院長を真っ直ぐに見つめてお願いする。

「私、彼と結婚しますわ。引き取らせてくださいまし」

「…人一人の人生が掛かっています。そう簡単には決められません」

「院長」

アナトールが涙を溢れさせながら、院長を見つめた。

「俺、この人を信じたい。この人についていく」

「…はぁ。本人の意思を尊重しないわけにいきませんね」

院長は、言った。

「必ず彼を幸せにしてください」

「もちろんですわ」

「院長、俺の名前はアナトール」

「…良い名前を貰いましたね。幸せにおなりなさい」

「はい」

こうして私は、アナトールを引き取って屋敷に連れて帰った。
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