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甘い匂いがなんだか気になって探していたら、運命の番発見

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甘い匂いを追っていくと、孤児院に着いた。

「あら?孤児院?」

「エリアーヌ様、ここに甘い匂いなんてないと思いますよ?」

エミリーは不思議そうな顔。侍女は何故か、そわそわし出した。護衛騎士達も侍女と顔を見合わせている。

「…そう、ですわね。でも、心を惹かれる匂いなんですの」

歩みをさらに進める。孤児院の庭、遊んでいる子供達。その中に、一人だけ。

とても良い匂いのする、甘い甘い匂いのする男の子を発見した。

「あの子…ですわ」

見た瞬間直感した。そう、あの子が。

「私の、運命の番…」

見つけようとして見つけられるものではないと言われる、運命の番。私は、運命的な出会いというものを知った。

「え、運命の番!?エリアーヌ様、おめでとうございます!」

拍手し祝福してくれるエミリー。

「旦那様と奥様に報告しなきゃいけないことが、今日一日だけで山のように…」

遠い目をする侍女。

「…」

余計なことは言わず私を見守る騎士達。

その全てが、私の目に入っているはずなのにどこか遠い世界のよう。

今はただ、彼が気になって仕方がない。

勇気を出して、一歩、また一歩と近づいて。

彼に、話しかけた。

「もし、そこの貴方」

「…なに?」

まだ孤児院に引き取られたばかりなのだろう。

他の子供達より身なりが整っておらず、顔もやつれている。他の子供達と遊ぶ元気もないようで、その様子を眺めているだけ。声にも覇気がない。

そんな貧相な子供に、私は心を掴まれた。

これは、本能。

もう誰にも、止められはしない。

「私は、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌ。貴方の、運命の番ですわ」

「…え?」

「私達は、運命の番ですの」

人族なのだろう。少年には、運命の番を感じられないらしい。でも、間違いない。私達は、運命で結ばれている。この奇跡のような出会いを、逃すことは出来ない。

「貴方の名前を聞かせてくださる?」

「名前なんてない。ここで拾われるまでは底辺の暮らしだったし、ここでもゆっくり名前を自分で選べば良いって言われた」

「あら…」

困った。愛おしい人を名前で呼びたいのに、名前がないなんて。

「…もし」

「え?」

「もし運命の番だっていうなら。貴女が名前をつけて」

願っても無い申し出。私は直感的に思い浮かんだ名前を口にした。

「アナトール」

「え」

「貴方は今日から、アナトールですわ」

茶髪に茶色の瞳の貧相な男の子。彼の目に、光が灯った。

「アナトール…俺は、アナトール…」

「ええ、アナトール。愛していますわ」

私のその一言に、アナトールは滝のような涙を流して私に抱きついた。
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