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攻略対象その一を懐柔する

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「お嬢様、お待たせしました」

「ご苦労様、商人さん」

ちなみにこの商人は、エミールの父である。

「それで、望んだものは手に入りました?」

「ええ、こちらになります」

正真正銘の、解呪の鱗。

「では、こちらが約束の金貨ですわ。一応、間違いがないか数えてくださる?」

「はい、もちろんです。…確かに、いただきました」

「ありがとう、助かったわ」

「またのご利用をお待ちしております」

さて、これで準備は整った。















「エリアーヌ、準備はいい?」

「はい、お母様」

王宮に来た。これから私は、オードリックと出会う。

緊張する。

「お待たせ致しました」

「さあ、エリアーヌ」

「はい、お母様」

私はこれから、オードリックと初対面する。それも、二人きりで。

上手くやれるだろうか。

ドアをノックする。

「入っていいぞ」

「失礼致します」

そこには、ベッドの上で顔色を悪くするオードリック。

「こんな格好ですまないな。俺はオードリック・バジル・アルヴィア。よろしく頼む」

「私はエリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌと申します。これからよろしくお願い致します」

バッチリカーテシーを決め、オードリックに近付く。

「今日は私、オードリック様にお土産を持ってきましたの」

「はは、ありがとう。どんなものを持ってきてくれたんだ?」

「とりあえず、果物セットですわ」

「定番だな」

「あと、解呪の鱗ですわ」

私がそう言うと、オードリックは目を丸くする。

「そんなに貴重なものを?どうやって手に入れたんだ?」

「商人から買いました」

「それはまた。でもなぜ俺に?」

「とりあえず受け取ってくださいませ」

私がそう言えば、オードリックは手を伸ばして解呪の鱗を受け取った。

瞬間、解呪の鱗は光を放つ。

そして、オードリックの身体から黒い靄が出て消えた。

「…今のは!?」

「解呪の鱗の効果が発揮されましたのよ。オードリック様、顔色も良くなりましたわ。身体が軽くなったのではありませんか?」

「…ああ、今は身体が楽だ。…だとすれば、俺は誰かに呪われていたのか?」

「ええ、そのようです。解呪の鱗の効果で、相手は呪い返しにあっているはずですわ」

「…そうか、礼を言う。助かった、ありがとう」

オードリックは私に微笑む。

これでとりあえずノルマ達成!

「だが、どうして俺が呪われていると気付いたんだ?」

「…えっと、夢のお告げですわ」

「夢のお告げ…なるほど、エリアーヌはすごいな。特殊な能力を持っているのか。さすがは赤龍の獣人だ」

なんとか誤魔化せた。

「夢のお告げは他言無用でお願い致しますわ」

「ああ。わかった」

ということで、攻略キャラクターその一。無事問題解決完了!
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