魔女が死にました

初めての仕事

リーナが魔女修行に慣れ始めた頃、ついに初のお客様がやってきました。

からん、からん、とお屋敷のドアがベルを鳴らして開きます。

「客だな」

「レン、こちらまでご案内して」

「わかってる」

お客様がリーナの工房とは別にあるお屋敷内のお部屋にきました。レンがお客様を椅子に座らせ、紅茶を淹れます。

「今日は新しき魔女様に、ご依頼がありきました」

「ご用件は？」

「とある、行方不明の画家とそのパトロンを探して欲しいのです」

リーナはレンに目をやります。レンは小さく頷きます。

「わかりました。お受けします」

「では、こちら前払いです。成功報酬はこちらで」

「はい、確認しました。期限は？」

「見つかればそれで」

「なるべく早くということですか。わかりました」

契約書にサインをして、お客様は帰っていきました。

「レン、どうすればいいかしら」

「工房の水鏡を使う。来い」

リーナとレンは工房に入って、水鏡に触れます。そうすると二人の体は光に包まれ、どこか知らない場所に移動していました。

「まさに魔法ね」

「魔法だからな」

目の前には四方にそれぞれドアのある四角い部屋。真っ白で、何も置いてありません。

「ああ、このパターンか」

「え？」

「たまに悪魔や妖精の悪戯に巻き込まれる可哀想な人間がいるんだ、画家とパトロンもその類だろう」

「まあ、それはお気の毒に」

「今回はこの部屋を画家とパトロンの代わりに攻略してやれば、画家とパトロンも現実世界に戻ってくるはずだ。初の仕事だ、頑張れよ」

「ええ、もちろん。レンも手伝ってね」

「無論だ」