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魔術が得意な彼の初恋
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彼の日記を開く。
別に仲がいいわけじゃ無い。
お互いただ親が決めただけの婚約者。
でも、聖女候補の魅了魔法でおかしくなった彼を見るのはなんとなく面白くない。
やっぱり彼は軽薄でお調子者で、誰にでも愛を振りまくくらいでちょうどいい。
一人の子に一途な彼なんて、調子が狂ってしまうから。
「アンタに本当に愛した人なんていると思えないけど、なんか魅了を解くヒントがあるかもしれないんだから文句は聞かないわよ」
その日記は幼い頃から、あのお調子者からは考えられないほど毎日きっちり書かれていた。
ただし毎日一行二行、多くて三行程度の短い日記だけど。
通りで分厚いわけね。
でも、私が驚いたのはその几帳面さではなくて。
書かれていた内容の方だった。
『婚約者だと紹介された子は、この間他所のパーティーで迷子になった僕を助けてくれた女の子だった』
『何度か遊んだけれど、やっぱり優しい。ツンツンして感じの悪い子だなんて噂、嘘だった』
『あの子がいじめられるのを見た。守ってあげたいけど、原因は僕らしい。僕の婚約者になったあの子が嫌いだって』
『あの子を他の女の子から守るため、僕は他の女の子に優しくすることにした。あの子だけに優しくしたいのが本音だけど仕方がない』
『軽薄な男は嫌いだとあの子に言われた。泣きたい。でも、好きだよ。僕は君だけが好き。こんなこと、今更言えないけど』
…どうしてだろう。
涙が溢れて日記を濡らした。
今更言えないじゃなくて、言いなさいよバカ。
そうすれば、もしかしたら私だってその時素直に好きって言えたかもしれないのに。
大好きで、独占欲を抱くほどに執着していたから…そんな意地悪を言ってしまったのよ?
「…いいでしょう。なら無理矢理にでも目を覚まして、今度こそ素直な言葉を引き出してやろうじゃない」
私はとびっきりの作戦を胸に彼の元へ急いだ。
「なあ、本当にこの迷宮を脱出できたらセイラと会わせてくれる?」
「ええ、ただし魔術は使っちゃダメよ。頑張りなさい」
「わかった」
我が家系に伝わる秘術。
迷宮を生み出す魔術を使い彼を惑わす。
我が迷宮から逃れることは不可能。
我が迷宮から脱出できるのは、私が許可したもののみ。
その昔、とある神を信仰していたご先祖様が御神体を守るために駆使したと聞いている。
「遠慮なく、迷っていらっしゃい」
一時間もしたら、迎えに行くわ。
「…出口が全然わからない」
「お困りのようね」
「君も出られないの?」
「いいえ、私は出口がわかるわ」
「そっか、僕はまだ迷ってる」
私は彼の手をそっと引く。
「一緒に行きましょう?」
「いいの?」
「ええ」
しばらく彼の手を引いて歩いていたら、彼は止まった。
「グレイ?どうしたの?」
「…リリア?」
「!!!」
「君だよね?あの時僕を助けてくれたのは…僕が好きになった女の子は!」
ガシッと肩を掴まれる。
「ちょっと、グレイ」
「リリア、ごめん…僕…君をいっぱい傷つけた…」
まあ、セイラとかいう女の子の魅了魔法にかかっていた間は酷かったが。
「…元々じゃない?他の女の子にうつつを抜かすのなんて」
「!!!」
「冗談よ」
傷ついた表情の彼に、虐めるのはやめておこうと思い直す。
代わりにからかってやろう。
「貴方、素直じゃないんだもの」
そう言って私が笑うと彼は戸惑う。
「え?」
「私を愛しているなら、素直にそう言えばいいのに」
そう言って手に持った日記帳をフリフリすれば彼は真っ赤になる。
「見たの!?」
「見たわ」
「酷い!!!」
真っ赤な顔の彼に勝ち誇った笑顔を向けて言う。
「素直な言葉を聞かせてみなさい?」
「…好き」
「もう一度大きな声で」
「好き!!!」
「はい、合格」
彼を抱きしめる。
彼は目を白黒させる。
「え」
「だからいい加減、私も素直になるわ」
「なにを…」
「私も好きよ」
彼がさらに驚くのをみて笑う。
「お互い回り道をしたと思わない?」
「…そうだね」
「その分これからはイチャイチャしましょ?」
「うん、する!!!!!」
こうして気に入らない彼は、私だけの可愛い人になりました。
別に仲がいいわけじゃ無い。
お互いただ親が決めただけの婚約者。
でも、聖女候補の魅了魔法でおかしくなった彼を見るのはなんとなく面白くない。
やっぱり彼は軽薄でお調子者で、誰にでも愛を振りまくくらいでちょうどいい。
一人の子に一途な彼なんて、調子が狂ってしまうから。
「アンタに本当に愛した人なんていると思えないけど、なんか魅了を解くヒントがあるかもしれないんだから文句は聞かないわよ」
その日記は幼い頃から、あのお調子者からは考えられないほど毎日きっちり書かれていた。
ただし毎日一行二行、多くて三行程度の短い日記だけど。
通りで分厚いわけね。
でも、私が驚いたのはその几帳面さではなくて。
書かれていた内容の方だった。
『婚約者だと紹介された子は、この間他所のパーティーで迷子になった僕を助けてくれた女の子だった』
『何度か遊んだけれど、やっぱり優しい。ツンツンして感じの悪い子だなんて噂、嘘だった』
『あの子がいじめられるのを見た。守ってあげたいけど、原因は僕らしい。僕の婚約者になったあの子が嫌いだって』
『あの子を他の女の子から守るため、僕は他の女の子に優しくすることにした。あの子だけに優しくしたいのが本音だけど仕方がない』
『軽薄な男は嫌いだとあの子に言われた。泣きたい。でも、好きだよ。僕は君だけが好き。こんなこと、今更言えないけど』
…どうしてだろう。
涙が溢れて日記を濡らした。
今更言えないじゃなくて、言いなさいよバカ。
そうすれば、もしかしたら私だってその時素直に好きって言えたかもしれないのに。
大好きで、独占欲を抱くほどに執着していたから…そんな意地悪を言ってしまったのよ?
「…いいでしょう。なら無理矢理にでも目を覚まして、今度こそ素直な言葉を引き出してやろうじゃない」
私はとびっきりの作戦を胸に彼の元へ急いだ。
「なあ、本当にこの迷宮を脱出できたらセイラと会わせてくれる?」
「ええ、ただし魔術は使っちゃダメよ。頑張りなさい」
「わかった」
我が家系に伝わる秘術。
迷宮を生み出す魔術を使い彼を惑わす。
我が迷宮から逃れることは不可能。
我が迷宮から脱出できるのは、私が許可したもののみ。
その昔、とある神を信仰していたご先祖様が御神体を守るために駆使したと聞いている。
「遠慮なく、迷っていらっしゃい」
一時間もしたら、迎えに行くわ。
「…出口が全然わからない」
「お困りのようね」
「君も出られないの?」
「いいえ、私は出口がわかるわ」
「そっか、僕はまだ迷ってる」
私は彼の手をそっと引く。
「一緒に行きましょう?」
「いいの?」
「ええ」
しばらく彼の手を引いて歩いていたら、彼は止まった。
「グレイ?どうしたの?」
「…リリア?」
「!!!」
「君だよね?あの時僕を助けてくれたのは…僕が好きになった女の子は!」
ガシッと肩を掴まれる。
「ちょっと、グレイ」
「リリア、ごめん…僕…君をいっぱい傷つけた…」
まあ、セイラとかいう女の子の魅了魔法にかかっていた間は酷かったが。
「…元々じゃない?他の女の子にうつつを抜かすのなんて」
「!!!」
「冗談よ」
傷ついた表情の彼に、虐めるのはやめておこうと思い直す。
代わりにからかってやろう。
「貴方、素直じゃないんだもの」
そう言って私が笑うと彼は戸惑う。
「え?」
「私を愛しているなら、素直にそう言えばいいのに」
そう言って手に持った日記帳をフリフリすれば彼は真っ赤になる。
「見たの!?」
「見たわ」
「酷い!!!」
真っ赤な顔の彼に勝ち誇った笑顔を向けて言う。
「素直な言葉を聞かせてみなさい?」
「…好き」
「もう一度大きな声で」
「好き!!!」
「はい、合格」
彼を抱きしめる。
彼は目を白黒させる。
「え」
「だからいい加減、私も素直になるわ」
「なにを…」
「私も好きよ」
彼がさらに驚くのをみて笑う。
「お互い回り道をしたと思わない?」
「…そうだね」
「その分これからはイチャイチャしましょ?」
「うん、する!!!!!」
こうして気に入らない彼は、私だけの可愛い人になりました。
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気になる(っ ॑꒳ ॑c)←悪い顔してます
感想ありがとうございます。そのあたり少し書けるか試してみます!
退会済ユーザのコメントです
感想ありがとうございます。初恋がトリガーになって魔法が解けるのも面白いですよね!