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騎士を目指す彼の初恋
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聖女候補の魅了魔法にかかった彼を助けるため、私は彼の日記を開く。
愛する婚約者の『本当に愛した人』を知ることは怖い。出来れば知りたくない。
けれど、おかしくなった彼は元に戻れなかったら厳格な騎士団には入れないだろう。
いつか騎士になるのを夢見て鍛錬を積む彼をずっと見てきた。
だから、彼の夢は私が守る。
「…勝手に中身を見てごめんね」
彼の日記は、幼い日から飛び飛びに書かれていて少し笑う。
こまめな性格の人ではないからなぁ。
そして、内容に泣いた。
『俺の婚約者になった女の子は可愛かった!でも照れちゃって、ツンケンした態度を取ってしまった』
『俺の婚約者は優しい!ツンツンしちゃう俺にも笑いかけてくれる!』
『俺の婚約者はお姫様みたい!小さな動物にすごく好かれるんだ。動物たちにいつも囲まれる可愛いあの子を守ってあげたい。そうだ、俺は騎士を目指そう!』
ここまで読んでもう泣いた。
ツンツンした彼に、勝手に片思いだと思ってた。
まさかの両片思いだったとは…本当に好き!!!
ならば、うじうじしてもいられない。
元々その気だったが、一刻も早く助けてあげなくちゃ。
「…なあ、ここにセイラがいるっていうから来たのにいないじゃん」
「今到着するので」
「本当に?」
「はい、なので二人でここで待ちましょう」
公園に来て、二人で過ごす。その内に、私の周りに動物が集まってきた。
これは多分、私のご先祖様がとある宗教の巫女だったから。
我が一族は動物から愛される傾向にある。
特に私はその傾向が顕著。
だから…条件はこれで満たせるはず。
「…」
「…」
どうかな…。
「メアリー?」
「!」
「俺、なんでセイラなんか…メアリー!!!」
彼がぎゅっと私を抱きしめる。
突然のことに私はびっくりする。
「え、え」
「ごめん、俺、おかしくなってた!本当に俺が好きだったのはお前だけなのに、俺お前を傷つけるようなことまで言ってたよな!?」
魅了魔法にかかった彼は、ツンツンを通り越して嫌悪をこちらに向けていた。
けれど。
「魅了魔法のせいだってわかったから、それはもう大丈夫」
「魅了魔法…?」
「それより」
抱きしめてくれる彼を抱きしめ返してみた。
「メアリー?」
「ルーク、私のこと好きって本当?」
「!!!」
さて、どう出るか。
「…本当」
「!!!」
「ずっと素直になれなくてごめん。好きだよ」
「私も!」
私の言葉に彼は目を見張る。
「え、俺お前に迷惑かけたし傷つけたのに」
「でも好きなの!」
「…っ、愛してる!」
もう一度強く抱きしめ合う。
…これで仲直り、だね!
愛する婚約者の『本当に愛した人』を知ることは怖い。出来れば知りたくない。
けれど、おかしくなった彼は元に戻れなかったら厳格な騎士団には入れないだろう。
いつか騎士になるのを夢見て鍛錬を積む彼をずっと見てきた。
だから、彼の夢は私が守る。
「…勝手に中身を見てごめんね」
彼の日記は、幼い日から飛び飛びに書かれていて少し笑う。
こまめな性格の人ではないからなぁ。
そして、内容に泣いた。
『俺の婚約者になった女の子は可愛かった!でも照れちゃって、ツンケンした態度を取ってしまった』
『俺の婚約者は優しい!ツンツンしちゃう俺にも笑いかけてくれる!』
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ここまで読んでもう泣いた。
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特に私はその傾向が顕著。
だから…条件はこれで満たせるはず。
「…」
「…」
どうかな…。
「メアリー?」
「!」
「俺、なんでセイラなんか…メアリー!!!」
彼がぎゅっと私を抱きしめる。
突然のことに私はびっくりする。
「え、え」
「ごめん、俺、おかしくなってた!本当に俺が好きだったのはお前だけなのに、俺お前を傷つけるようなことまで言ってたよな!?」
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けれど。
「魅了魔法のせいだってわかったから、それはもう大丈夫」
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「それより」
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「メアリー?」
「ルーク、私のこと好きって本当?」
「!!!」
さて、どう出るか。
「…本当」
「!!!」
「ずっと素直になれなくてごめん。好きだよ」
「私も!」
私の言葉に彼は目を見張る。
「え、俺お前に迷惑かけたし傷つけたのに」
「でも好きなの!」
「…っ、愛してる!」
もう一度強く抱きしめ合う。
…これで仲直り、だね!
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