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魔王城

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ご機嫌よう。ジャンティーです。魔王様に魔王城に連れて来られました。まあ、今の私は心配してくれる家族も友達も居ない一人暮らしの平民。魔王様も悪いようにするつもりはなさそうですし、生活にも困窮していましたし、一日二日ならお世話になってもいいかも?

「おい!ローゼはいるか!」

「坊ちゃん!今迄何処に行っていたのですか!…む、何奴!」

「よせ、こいつは僕のペットだ。」

「ぺ、ペット…」

年上の男の人(しかも見た目は子供)に言われると複雑…いやしかし魔王様に逆らうわけには…。

「ほう、ペットですか…捨てて来いと言っても坊ちゃんには無駄ですしねぇ」

「ん」

「どこで拾ってきたのです?」

「人間界に散歩に出て、運悪く聖騎士に見つかってな。深傷を負ったところを助けられて、気に入った」

「…!それはそれは!人間、名前は?」

「ジャンティーです。名乗れる姓はありません」

「そう、ジャンティー!坊ちゃんの命の恩人として丁重におもてなしさせていただきます」

「え!?いえそんな…」

「ティア。大人しく歓迎されておけ。この王城には人間を良く思わない奴も多い。お前が僕の恩人だと知らしめておかないと、これからが大変だぞ」

「?これから?」

「お前は僕のペットだ。これからここでずっと一緒に暮らすんだぞ?」

「え?」

「ん?気に入ったと言っただろう」

「えっ」

そういう意味の気に入ったですか?

「早速ティアの生活環境を整えてやれ。部屋は僕の部屋でいい」

「はい、坊ちゃん」

「えっ…ちょっと…」

「そうだ、今日はティアを僕のペットとして大々的に公表するんだから、ドレスとアクセサリーが必要だな」

「はい、坊ちゃん」

「あの…」

「そうだ!せっかくだ!お母様のお抱えだったエステティシャンどもを呼べ!ティアは磨けば光る原石だ!美しく仕立てさせろ!」

「はい、坊ちゃん」

「…えっと」

「どうだ、ティア。嬉しいだろう!」

満面の笑みでにっこにこでこちらを振り返る魔王様。…うぅ。

「嬉しいです…」

負けた…可愛さに負けた…。

「そうだろうそうだろう」

「でも、本当にお世話になっていいんでしょうか?」

「ティアは僕のペットなんだ、気にするな!」

「坊ちゃんの命の恩人ですしね」

「あ、ありがとうございます…魔王様」

「魔王様などと水臭い。 フォン様と呼ぶことを許可してやる。どうだ?光栄だろう?」

「はい、光栄です…フォン様…」

「さあ、坊ちゃん。坊ちゃんは今夜のジャンティーお披露目式のためにご準備なさってください。ジャンティー、早速ですが、エステティシャンと身体を磨きに磨いて来てくださいませ」

「は、はい」

「ということだ!聞こえたな、お前達!」

「はい、ローゼ様!」

ドアからぞろぞろと入ってきたエステティシャンの皆様。どこからどこまで聞いていたんだか。

「さあさあ、ジャンティー様、早速薔薇風呂に入りましょうね」

「その後はマッサージですわ」

「髪も整えさせてくださいね」

「まあまあ、化粧を忘れちゃだめよ」

「ネイルもしましょうね」

「お、お手柔らかに…」

なにやら物凄い急展開でわたわたです…。
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