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出会い
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ご機嫌よう。ジャンティーです。絶賛平民生活堪能中です!ぶっちゃけ貧乏で生活には困窮していますが、平民生活、最高です!動物達と戯れても、大きな声で歌を歌っても、海辺を走り回っても、好きなように過ごしても誰にも咎められません!
さて、今日は山に山菜を採りに行きます。山菜はただで採れるので平民生活の強い味方です!まあ、毒のあるものには気をつけないといけませんが。あと、獣や魔獣にも注意ですね。
…と、あれ?山道に入りしばらくしたところに男の子が倒れています。黒い髪を見るに、どうやら魔族の子のようですが、幼い子供なら魔族であろうと捨て置くわけにいきません。駆け寄ります。
「僕、どうしたの?」
「…お前、聖騎士か?」
「違うよ。私はジャンティー。僕は?」
「…」
「うわ、すごい怪我!えっと…聖水なんてかけたら逆効果だよね?どうしたら回復する?」
「…お前、僕を助ける気か?正気か?」
「もう!まだ子供なんだから、お姉さんには敬語を使いなさい!」
「…僕は魔族だ。見た目は幼くても、お前より年上だ」
「あら、そうなの?それはごめんなさい。それでは魔族様、どうしたらその傷を癒せますか?」
「…血」
「血?」
「お前の血を飲ませろ。それで治る」
「わかった」
私は護身用の銀のナイフで指の腹を切り、魔族の子に差し出します。
「!!?」
「ほら、早く飲んで」
「…すまない」
魔族の子はちゅうちゅうと血を吸うとたちまち怪我を治してしまいました。
「わあ、本当に治った」
「…お前の血のおかげで魔力が回復したからな。この程度の怪我なら一瞬だ」
「へえ、僕すごいねぇ」
「子供扱いするな」
「ごめんごめん」
「…だが」
「うん?」
「お前のことを気に入った」
「あら、嬉しい」
「そうだろう。光栄に思え」
「ありがたき幸せ…ふふ」
「ふふん。そうだろうそうだろう」
「じゃあまたね」
「ま、待て!気に入ったと言っただろう!」
「うん?」
「僕の王城に連れて帰ってやる!」
「え?王城?」
「いいから付いて来い、こっちだ」
…秘密基地にでも連れて行きたいのかな?それとも魔界のお屋敷にでも連れて行ってくれるとか?まさかこんな子がこの間打ち倒された魔王の後継者なんてことはないだろうし。
「このゲートを通ればすぐだぞ!」
「あらま。ありがとう。でも、私は普通の人間だから、魔界の瘴気に耐えられないよ」
「僕が加護を与えてやるから大丈夫だ!」
「え?」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと!本当に待って!ああ!」
魔族の子に引っ張られて思わず目を瞑る。恐る恐る目を開けると、私は不思議と瘴気に冒されることなく、煌びやかな王城に居た。
「あの…」
「なんだ?感動したか!」
「う、うん…あの、もしかして、もしかしたら…」
「うん?」
「…魔王様?」
「ああ!第1501代魔王、フォンセ・ディアーブルだ!」
…とんでもないことになってしまいました。
さて、今日は山に山菜を採りに行きます。山菜はただで採れるので平民生活の強い味方です!まあ、毒のあるものには気をつけないといけませんが。あと、獣や魔獣にも注意ですね。
…と、あれ?山道に入りしばらくしたところに男の子が倒れています。黒い髪を見るに、どうやら魔族の子のようですが、幼い子供なら魔族であろうと捨て置くわけにいきません。駆け寄ります。
「僕、どうしたの?」
「…お前、聖騎士か?」
「違うよ。私はジャンティー。僕は?」
「…」
「うわ、すごい怪我!えっと…聖水なんてかけたら逆効果だよね?どうしたら回復する?」
「…お前、僕を助ける気か?正気か?」
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「…僕は魔族だ。見た目は幼くても、お前より年上だ」
「あら、そうなの?それはごめんなさい。それでは魔族様、どうしたらその傷を癒せますか?」
「…血」
「血?」
「お前の血を飲ませろ。それで治る」
「わかった」
私は護身用の銀のナイフで指の腹を切り、魔族の子に差し出します。
「!!?」
「ほら、早く飲んで」
「…すまない」
魔族の子はちゅうちゅうと血を吸うとたちまち怪我を治してしまいました。
「わあ、本当に治った」
「…お前の血のおかげで魔力が回復したからな。この程度の怪我なら一瞬だ」
「へえ、僕すごいねぇ」
「子供扱いするな」
「ごめんごめん」
「…だが」
「うん?」
「お前のことを気に入った」
「あら、嬉しい」
「そうだろう。光栄に思え」
「ありがたき幸せ…ふふ」
「ふふん。そうだろうそうだろう」
「じゃあまたね」
「ま、待て!気に入ったと言っただろう!」
「うん?」
「僕の王城に連れて帰ってやる!」
「え?王城?」
「いいから付いて来い、こっちだ」
…秘密基地にでも連れて行きたいのかな?それとも魔界のお屋敷にでも連れて行ってくれるとか?まさかこんな子がこの間打ち倒された魔王の後継者なんてことはないだろうし。
「このゲートを通ればすぐだぞ!」
「あらま。ありがとう。でも、私は普通の人間だから、魔界の瘴気に耐えられないよ」
「僕が加護を与えてやるから大丈夫だ!」
「え?」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと!本当に待って!ああ!」
魔族の子に引っ張られて思わず目を瞑る。恐る恐る目を開けると、私は不思議と瘴気に冒されることなく、煌びやかな王城に居た。
「あの…」
「なんだ?感動したか!」
「う、うん…あの、もしかして、もしかしたら…」
「うん?」
「…魔王様?」
「ああ!第1501代魔王、フォンセ・ディアーブルだ!」
…とんでもないことになってしまいました。
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