上 下
9 / 15

赤百合様と白藤様の同盟

しおりを挟む
白薔薇様の壺事件から一日、今度は赤百合様に呼び出された。今日も今日とて後宮を楽しめそう!赤百合様の部屋に招かれると白藤様もいらしていた。なんだこの面子は。

「赤百合様…どういったご用件でしょうか?」

「ふふ、そんなに慌てないで。まずはお茶でもどうかしら?」

「そうよー。せっかく赤百合様にお招きいただいたんだもの。私達中堅貴族じゃ楽しめない美味しいお茶菓子をご馳走になりましょ!」

白藤様相変わらずだなー。そういうところ嫌いじゃない!

「では、お言葉に甘えて…」

ということでテーブルを囲んでお茶を頂く。

「今日のお茶菓子はユリ根入りのパウンドケーキよ。ユリ根には滋養強壮の他に、様々な効果があるわ。特に栄養価の高い食品でもあるわね」

「赤百合様は博識ですね!」

「凄いわよねー、赤百合様。なんでも知ってて」

「あら、そうでもないわよ?知っていることを知っているだけ。わからない分野はさっぱりだわ」

「そうなんですか?」

「ええ。例えば遠い異国で珍しい生物が発見されたといえば迷わずに購入して観察するけれど、国内で新しい魔法術式が確立されたといわれても心ときめかないわ」

「あー…アレですよね、後宮物語が出たら速攻で買うけど、悪役令嬢モノには食指が動かない、みたいな」

「ふふ、独特の例えね。ええ、そんなものよ」

「白百合様ってそういうの読んでるの?意外!」

「え?そうですか?」

「だって貴女、恋愛なんて興味なさそうなんだもの!」

「え!?興味津々ですよ?皆様と皇帝陛下の間柄とか特に!」

「うっそー!やだー!」

「ふふ、仲がいいのね?私も混ぜてちょうだいな」

「どうぞどうぞ」

「ぜひぜひ」

「ところで、お二人は赤薔薇派なの?白薔薇派なの?」

「やだ!赤百合様ったらいきなり爆弾を落とすタイプですの!?」

「ふふふ」

「…あー、率直に言って、赤百合派です」

「え?」

「は?」

「正直、赤薔薇様か赤百合様が皇后になってくださる方が白薔薇様より後宮の居心地が良さそうなんで」

「それはわかるわー。白薔薇様明らかに私達のこと見下してるもん」

「気難しい方だものね。でも、赤薔薇様より私を応援してくれるの?なぜ?」

「いやぁ…赤薔薇様が皇后になられると白薔薇様が排除される方向に向きそうで…私的には白薔薇様にも興味津々ですので…」

「好奇心は猫をなんちゃら、よ?」

「まあ、それはそうなんですが…」

「でも、赤薔薇様か白薔薇様が皇后になるより遥かにパワーバランスが取れそうね」

「まあ、赤薔薇様になにかあったら私と赤藤様は赤薔薇様に付くんですけど」

「もしかして昨日の壺事件?」

「そうですそうです」

「なるほどね…白藤様は?」

「んー…赤薔薇様派だけど、赤百合様も応援してますよ?ただ、皇后になるのはこの私だと思いますけど!」

自信たっぷりな白藤様。すごい。

「あら、ふふ。それは強力なライバルがいたものだわ。でもまあ、それなら私が赤薔薇派についても問題なさそうね?白薔薇様には孤立してもらいましょう。そうすれば皇帝陛下の白薔薇様への評価も下がるはず。…まあ、赤薔薇様を超えられるかは問題だけど」

「そうだ!赤百合様、同盟を結びません?」

「白藤様の出す条件次第では考えるわ」

「まず、私と赤百合様の間では足の引っ張り合いは無し!」

「ええ」

「どちらかがピンチの時には助ける!」

「なるほど?」

「どちらかが優位な立場になったら相手を特別に引き立てる!」

「あら、いいじゃない。いいわ、同盟を結びましょう」

わあ、二人ともノリノリだ。赤薔薇様を超える足がかりになるかはわからないけど、面白くなりそう。

「じゃあ、今日はこの辺でお開きにしましょうか」

「じゃあ、また呼んでくださいね、赤百合様!白百合様もまたね!」

「はい、また。失礼します」

「失礼しました!」

「ええ、二人ともまたね」

あー、今日も後宮は楽しいです!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。  でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。

シェルビビ
恋愛
 明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。  いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。  監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。  元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。  しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。 「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます

スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!? 「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!! 『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。 ・R18描写のある話には※を付けています。 ・別サイトにも掲載しています。

[完結]「君を愛することはない」と言われた私ですが、嫁いできた私には旦那様の愛は必要ありませんっ!

青空一夏
恋愛
 私はエメラルド・アドリオン男爵令嬢。お父様は元SS級冒険者で魔石と貴石がでる鉱山を複数所有し、私も魔石を利用した魔道具の開発に携わっている。実のところ、私は転生者で元いた世界は日本という国だった。新婚の夫である刀夢(トム)に大通りに突き飛ばされ、トラックに轢かれて亡くなってしまったのよ。気づけばゴージャスな子供部屋に寝かされていた。そんな私が18歳になった頃、お父様から突然エリアス侯爵家に嫁げと言われる。エリアス侯爵家は先代の事業の失敗で没落寸前だった。私はお父様からある任務を任せられたのよ。  前世の知識を元に、嫁ぎ先の料理長と一緒にお料理を作ったり、調味料を開発したり、使用人達を再教育したりと、忙しいながらも楽しい日々を送り始めた私。前世の夫であった刀夢がイケメンだったこともあり、素晴らしく美しいエリアス侯爵は苦手よ。だから、旦那様の愛は必要ありませんっ!これは転生者の杏ことエメラルドが、前世の知識を生かして活躍するラブコメディーです。 ※現実ではない異世界が舞台です。 ※ファンタジー要素が強めのラブコメディーです。 ※いつものゆるふわ設定かもしれません。ご都合主義な点はお許しください🙇‍♀️ ※表紙はヒロインのエメラルドのイメージイラストです。作者作成AIイラストです。

処理中です...