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初夜…初夜?

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さて、白百合という中の下の地位の妃な私の元に皇帝陛下が渡られるのは真夜中になってからだろう。私より下の位のお妃様は大変だなぁ…私なら寝ちゃうよ…。

「ということで寝ないために恋愛小説を読みます」

「もうお好きになさってください…」

よし、メアリーからOKももらったし早速読もう!

ー…

「…あー、面白かった!」

何度読んでもやっぱり後宮物語は最高だよー!このドロドロした感じがたまらない!

「…メアリーはもう下がらせてるしなぁ。仕方ない、本を片付けますか」

いつもはメアリーに本棚も任せてしまうところだけど。

「うーん。この本棚、高くて上の方には手が届かない…まあ、それが必要になるほど後宮物語を持ち込んだのは私だけど…」

一人でうーんうーんと背伸びしていると、部屋がノックされた。

「あ、はい。どーぞ!」

さすがにまだ皇帝陛下は来ないだろう。けど、それなら誰?

「はは、どーぞ、か。皇帝陛下に対する返事ではないね?」

「…!?」

こ、皇帝陛下!?

「し…失礼致しましたー!」

速攻で土下座する。許してくださいー!

「ああ、こら。白百合の妃がそんな真似をするものではない。立ちなさい」

「は、はい」

どうしたらいいかわからなくて、下を俯く。

「仕方のない子だね。本当に私と同い年かい?怒っていないから顔をお上げ」

ちらっと皇帝陛下の方を見る。

「ほら、いい子だから、ね」

顔を上げる。そこには、金髪緑眼のイケメンの顔が。

「わあ…本当に皇帝陛下だぁ…綺麗ー…」

「…誰だこの純粋な子供みたいな子を後宮なんかに寄越したのは」

子供?私のこと?

「…ああ、でも。確かに体型や顔は私好みか。ねえ、ユーバーヘープリヒ。私のモノになる覚悟は出来てるかい?」

「え?無理です」

「え」

「え」

「え」

「…あ!いや、だって!私なんかが皇后とか無理だし!妃として役に立てるかすらわからないし!えっちとか座学でしか知らないし!」

「ええ…君本当に大丈夫…?悪い大人にでも騙されたことない?」

「あう…」

「あるんだ…。…ああ、もう。今日は初夜といってもみんなの顔を見て語らうだけにしてるから。大丈夫だよ」

「よ、よかった…」

「そして安心するんだ…普通赤薔薇や白薔薇のように抱いてくれと迫ってくるものだろうに…」

「え!?赤薔薇様と白薔薇様はそんなに積極的なんですか!?」

「それはもう。ウンザリするくらいにね」

「わあ!」

まるで後宮物語!

「…楽しそうだね?」

「はい、とっても!後宮物語とか大好きなんです!」

「ああ、なるほど…うわぁ、大きな本棚があると思ったら全部後宮物語か…」

「皇帝陛下は今のところ誰が好みなんです?」

「それ聞いちゃうんだ…まあ、うん。赤百合は奥床しく振舞ってはいるからね。嫌いではない、かな。今のところは、だけど。あんまりぐいぐい来られると逆にねえ…」

「へー、赤百合様ですか!」

奥床しい方が好みなんだなぁ…。

「そういう意味では君も嫌いではないかな」

「え」

「…なんか、一々傷付くんだけど。君の反応」

「え、すみません!」

「…まあ、いいや。君のお気に入りの本はどれ?手に持ってるそれ?」

「あ、はい」

「どういう物語なの?」

「えっと…」
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