白百合は白百合でも、温室ではなく山で逞しく咲き誇るタイプです
このターフェルルンデ皇国の後宮には、上から赤薔薇、白薔薇、赤百合、白百合、赤藤、白藤の階級の妃がいる。いずれも公爵家、侯爵家、伯爵家の出だ。そして、この後五年でその中から唯一の皇后が選ばれるのだ。基準は男児を生むこと、皇帝からの寵愛を受けること、その他諸々。…が、この六の妃のうちの一人、この物語の主人公、ユーバーヘープリヒ・ファーベルだけは白百合に選ばれた時点でやる気がなかった。
「だって白百合な時点でもう皇后になれっこ無いジャーン。そもそもユーバーヘープリヒなんて覚えづらい名前付けたお爺様に文句言ってー。絶対選ばれないけど私のせいだけじゃないもーん。え?初夜には必ず全ての部屋に皇帝陛下が渡る?聞いてないよ?マジ?え、うわ、来ないでよー!」
恋愛小説をこよなく愛するユリは、果たしてこんな調子で後宮を生き残れるのか?
「…ちょっと待てよ?これはチャンス?もしかして、恋愛小説も真っ青な後宮物語を楽しめる?」
…生き残れそうですね。
「だって白百合な時点でもう皇后になれっこ無いジャーン。そもそもユーバーヘープリヒなんて覚えづらい名前付けたお爺様に文句言ってー。絶対選ばれないけど私のせいだけじゃないもーん。え?初夜には必ず全ての部屋に皇帝陛下が渡る?聞いてないよ?マジ?え、うわ、来ないでよー!」
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