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婚約者は過保護です。

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ご機嫌よう。ブーゼ・ターフェルルンデです。

今日も今日とて私の私室にハイトを入れてお茶会です。もちろん部屋のドアは開けています。

使用人達は、ハイトと私にお茶菓子と紅茶を用意して一礼して部屋を出ます。私もそんな使用人達に頭を下げて受け取ります。

「ちょっと待って。ブーゼ、使用人なんかに頭を下げてはだめだよ」

「でも、あの人達は私に対して比較的悪意がないし…」

「それが普通なんだよ、ブーゼ。なんなら僕からあの使用人達に話をつけて来ようか?」

「いや、いいって」

私の婚約者は過保護です。とても困ります。

「…一体、僕がそばにいられない間、ターフェルルンデ家でどんな仕打ちを受けてきたの?」

「いや、本当に大丈夫だから」

「ブーゼ…」

ふいにハイトから抱きしめられます。

「これからは僕が守るから。大好きだよ、愛してる。一人にして、本当にごめんね」

「ハイト…」

…でも、元はと言えばハイトに心配をかける私が悪いんだよね。

「ありがとう、ハイト」

「どういたしまして、ブーゼ」

「愛してるわ、ハイト」

「僕も愛してるよ、ブーゼ」

さっきとは打って変わってにこにこ笑顔のハイト。こうしてみると眉目秀麗なんだよなぁ。

「ねえ、ハイト」

「なあに?ブーゼ」

「私の婚約者になったこと、後悔してない?」

「…は?」

「ハイトは次男とはいえ公爵令息で、眉目秀麗で文武両道。私じゃなくても、引く手数多でしょう?」

「…言ってるでしょ。愛してる。愛してるんだよ、ブーゼ。僕がそばにいられない間に、なにを言われたのかわからないけれど、そんな悲しいこと言わないで?」

ね?とハイト。うん、そうだね。ごめんなさい。

「ごめんごめん、そうだよね、あはは」

「ところでブーゼ」

「うん?なあに?」

「ブーゼに余計なことを吹き込んだのは、誰?」

おうふ。

「いや、その…」

「僕が刀の錆にしてあげるから、言って?」

「い、いや、私が勝手にそう思っただけだよ」

「…本当に?」

「うん、本当に!本当に!」

このままじゃ本当に流血沙汰になりかねない!

「…愛してるよ、ブーゼ。もうそんなこと考えないでね」

「うん!うん!」

「あ、せっかくの紅茶が冷めちゃうね、飲もうか」

「うん!うん!」

ということで二人で紅茶を楽しみました。美味しかったです。

「そろそろ帰る時間だね、ハイト」

「そうだね、ブーゼ。本当は泊りがけでブーゼを守ってあげたいんだけど…ごめんね」

「心遣いだけで嬉しいよ。ありがとう、ハイト」

「ブーゼ、また明日」

「また明日」

今日も今日とて無事に終わりました。
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