4 / 15
迷子の婚約者。
しおりを挟む
ご機嫌よう。私はブーゼ・ターフェルルンデです。
どうしましょう。ハイトが屋敷内で迷子になっているかも知れません。いつもなら必ず私のそばを離れないハイトが、屋敷に来たのに私のそばを離れています。
「ハイトー?ハイトー。ハイトー!ハーイートー!」
いません。一体どこに…?
「ハーイートー!ハイトー?ハイト!ハーイートー!」
使用人がハイトを探す私を見て、口々に陰口を叩きます。
「まあ、見て。浅ましくもベゼッセンハイト様に縋るつもりよ」
「まあ。さすがはブーゼ様ね。最低だわ」
「ベゼッセンハイト様も、グーテ様ではなくブーゼ様の婚約者だなんて可哀想だわ」
「ベゼッセンハイト様は次男で、爵位を継げないから仕方なくブーゼ様の入り婿になるというのに、ブーゼ様はなにを勘違いされているのかしら」
「ターフェルルンデ家の使用人として、恥ずかしいわ」
…。まあ、言いたい奴には言わせておけばいいのです。下手に刺激して状況を悪化させる必要がありません。
「ねえ、それ、どういう意味かな」
いつのまにか、私の悪口を言っていた使用人のうちの一人の胸ぐらを掴むハイト。え、本当にいつのまに?なんで?どうやったの?
「ごめん、ブーゼ。ブーゼに透明化の魔法を見せて驚かせてあげたくて、ずっとブーゼのそばで透明化してた」
なんと傍迷惑な…。
「ハイト、とりあえずその手を離して」
「ブーゼ、でも!」
「この程度の悪口、ハイトがいない間は日常茶飯事だったわ」
「…!この!」
ハイトが使用人達の頬を平手打ちし、折檻します。
「ハイト!」
「ブーゼ、こんな奴ら庇う必要ない!」
「庇ってないわ。貴方の手が汚れるのが嫌なだけ」
「…ブーゼ。ごめん。僕が留学になんて行ったから…」
「いいのよ、ハイト。私のために怒ってくれてありがとう」
私が柔らかく微笑むと、ハイトもようやく落ち着いたようです。
「…。お前たち」
「!」
平手打ちされた使用人達は怯えています。
「たかが使用人の分際で、よくも思い上がったことを言ったな。それ相応の処分を覚悟しておけ」
「そ、そんな…」
「生かしておいてやるだけマシだと思え」
そうしてハイトはお父様に直談判して件の使用人達を今日付けで解雇させました。ハイトすごい。でも恐らくこの件でお父様とお母様にはちくちく言われるんだろうなぁ。憂鬱。でも、ハイトが私のために怒ってくれたのは素直に嬉しい。
「ハイト」
「なあに、ブーゼ」
「愛してるわ」
「…!僕も愛してる!ブーゼ!」
ハイトに抱きしめられます。ふふ、ハイトの髪の毛が頬を掠めてくすぐったい。
どうしましょう。ハイトが屋敷内で迷子になっているかも知れません。いつもなら必ず私のそばを離れないハイトが、屋敷に来たのに私のそばを離れています。
「ハイトー?ハイトー。ハイトー!ハーイートー!」
いません。一体どこに…?
「ハーイートー!ハイトー?ハイト!ハーイートー!」
使用人がハイトを探す私を見て、口々に陰口を叩きます。
「まあ、見て。浅ましくもベゼッセンハイト様に縋るつもりよ」
「まあ。さすがはブーゼ様ね。最低だわ」
「ベゼッセンハイト様も、グーテ様ではなくブーゼ様の婚約者だなんて可哀想だわ」
「ベゼッセンハイト様は次男で、爵位を継げないから仕方なくブーゼ様の入り婿になるというのに、ブーゼ様はなにを勘違いされているのかしら」
「ターフェルルンデ家の使用人として、恥ずかしいわ」
…。まあ、言いたい奴には言わせておけばいいのです。下手に刺激して状況を悪化させる必要がありません。
「ねえ、それ、どういう意味かな」
いつのまにか、私の悪口を言っていた使用人のうちの一人の胸ぐらを掴むハイト。え、本当にいつのまに?なんで?どうやったの?
「ごめん、ブーゼ。ブーゼに透明化の魔法を見せて驚かせてあげたくて、ずっとブーゼのそばで透明化してた」
なんと傍迷惑な…。
「ハイト、とりあえずその手を離して」
「ブーゼ、でも!」
「この程度の悪口、ハイトがいない間は日常茶飯事だったわ」
「…!この!」
ハイトが使用人達の頬を平手打ちし、折檻します。
「ハイト!」
「ブーゼ、こんな奴ら庇う必要ない!」
「庇ってないわ。貴方の手が汚れるのが嫌なだけ」
「…ブーゼ。ごめん。僕が留学になんて行ったから…」
「いいのよ、ハイト。私のために怒ってくれてありがとう」
私が柔らかく微笑むと、ハイトもようやく落ち着いたようです。
「…。お前たち」
「!」
平手打ちされた使用人達は怯えています。
「たかが使用人の分際で、よくも思い上がったことを言ったな。それ相応の処分を覚悟しておけ」
「そ、そんな…」
「生かしておいてやるだけマシだと思え」
そうしてハイトはお父様に直談判して件の使用人達を今日付けで解雇させました。ハイトすごい。でも恐らくこの件でお父様とお母様にはちくちく言われるんだろうなぁ。憂鬱。でも、ハイトが私のために怒ってくれたのは素直に嬉しい。
「ハイト」
「なあに、ブーゼ」
「愛してるわ」
「…!僕も愛してる!ブーゼ!」
ハイトに抱きしめられます。ふふ、ハイトの髪の毛が頬を掠めてくすぐったい。
30
お気に入りに追加
357
あなたにおすすめの小説

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

【本編完結】副団長様に愛されすぎてヤンデレられるモブは私です。
白霧雪。
恋愛
王国騎士団副団長直属秘書官――それが、サーシャの肩書きだった。上官で、幼馴染のラインハルトに淡い恋をするサーシャ。だが、ラインハルトに聖女からの釣書が届き、恋を諦めるために辞表を提出する。――が、辞表は目の前で破かれ、ラインハルトの凶悪なまでの愛を知る。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?

ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる