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後編

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『は?今なんつった?』

「嫁入り…ですか、お父様」

「ああ。お前は教会に住まわせてこそいるが、出家は認めていない。全てはこの日のためだ」

「ですが、それでは我が国の臣民達はどうするのです!」

『聖少年隊のみんなと離れたくないよー!』

アンジェリクは無駄な抵抗をするが、皇帝である父に逆らえるはずもない。

「白魔術師に託せばいい。元々お前が治癒魔法に目覚める前はそうしていた」

「…せめて」

「ん?」

「聖少年隊の子供達に、これからも皇室の庇護を…」

聖少年隊の子供達は、皆孤児院出身だ。

アンジェリクの庇護がなければ、舐め腐った貴族連中に何をされるかわからない。

「…わかった。それは任せろ。その代わり、分かるな?」

「はい、嫁ぎます。嫁ぎ先でも、同じように治癒魔法を使い、お祈りをしてもよろしいでしょうか」

「その為の婚姻だ。思い切りやれ」

「はい…」

『こうなったら向こうでも私の狂信者を作って、聖少年隊のような組織を生み出してやるー!!!』

アンジェリクは、涙目だった。

そして迎えた婚姻の儀。

『どんな相手かなぁ…ジジイはやだなぁ…せめて十五歳未満…十五歳未満…!』

煩悩に頭をやられたアンジェリクだが、悲しきかなその願いは叶うことになる。

「…よろしく頼むぞ、我が花嫁よ」

「…っ!はい、国王陛下!」

アンジェリクが嫁ぐことになった隣国ガーランドの国王、ジルベール・エルヴェ・ガーランドは…御歳十三歳の、アンジェリクの好みど真ん中の少年であった。

それというのも、アンジェリクは世間に疎いため知らなかったがフロランス帝国以外の国では流行病のため人がバッタバッタと亡くなっていたのだ。

亡き国王の跡を継いだ兄達も病に倒れ、唯一残ったジルベールがその幼さで即位する他なくなったのである。

そんな事情なんぞ一切知らないし興味もないアンジェリクだが。

『ショタに嫁げるー!!!やったー!!!』

相変わらず頭の中はパッパラパーだった。誰か彼女をなんとかしてくれ。

…まあ、なんとかしてくれる人はおらず、婚姻の儀は無事終了。そして、アンジェリクは己の役割を果たす。嫁いだガーランド王国の国内全土に広範囲の治癒魔法を施した。これにより全ての臣民達が命を彼女に救われた。

が、さすがに無理が祟りアンジェリクは魔力欠乏症で倒れる。三日三晩熱にうなされ、ようやく魔力が完全に回復したことで体調が良くなり目を覚ました彼女。

「んん…」

「我が花嫁よ!目を覚ましたか!」

「国王陛下…」

「馬鹿者!もう二度とあんな無茶はするでない!」

涙目で叱る夫に、アンジェリクはハートを撃ち抜かれた。

「はい、国王陛下…♡」

「だが、そなたのおかげでこの国の民は皆助かった。そなたに心酔している者も多いぞ。…我からも礼を言おう。心より感謝する」

頭を下げる夫に、アンジェリクはその両頬を掴んで顔を上げさせる。そして思いっきりキスをした。

「ん!?んんんんんん?」

「国王陛下のお役に立てて光栄です…♡」

『夫だからいいよね!?夫だからいいよね!?』

〝手を出してもいいショタ〟という、あり得ない程の奇跡的な報酬を得た彼女は最早無敵である。

「国王陛下、私、頑張って国王陛下のお役に立ちます…だからどうか、私に報酬をくださいませ」

「報酬…?」

「愛してくださいませ、国王陛下…♡」

この後おねショタプレイで盛り上がったのは言うまでもなく、アンジェリクはもちろんのことジルベールまでハマってしまったのは不幸としか言えなかった。

その後、アンジェリクはジルベールの子をポンポンと産み子宝に恵まれた。ジルベールは生涯アンジェリク以外の妻を持たず、アンジェリクを心から愛した。アンジェリクもまた、夫以外の男は作らず生涯夫を愛し支えて幸せな人生を送ったという。
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