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中編
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教会の奥。パイプオルガンの美しい演奏と、聖少年隊と呼ばれる幼い少年たちの歌声が響く。
高貴な者は、この聖なる空間で神に祈りを捧げるのだ。
が。
『うひょーっ!あー、可愛い!セザールたんちょっと大きくなったねぇ!シャルルたん歌上手くなったねぇ!シリルたんは少し髪が伸びたかな!?』
熱心に祈っているフリをして、狂信的な信仰を向けているフリをして、アンジェリクは聖少年隊にヤバイ性癖をぶつけまくっていた。
『YESロリショタNOタッチ!!!つまりは触らず傷つけず汚さなければ堪能しても良いのです!!!』
絶対違う。色々ダメだと思う。倫理的に、道徳的に糾弾されるべきこの悍ましい魔女は、しかし猫を完璧に被り自分の欲を叶えていた。
ロリショタ大好きっ子なヤベェ奴は、その実世間からは神子姫扱いされているのである。
もう目も当てられない。
『…あ、神子姫様こっちを見てる。熱い視線だなぁ』
『神子姫様は本当に聖歌が大好きだなぁ…』
『神子姫様が応援してくださってる!頑張らないと!』
ちなみに子供達の反応はそれぞれだが、皆アンジェリクの本性には気付いていない。というか気付かれたらアンジェリクは終わりだ。
子供達は皆、自分達の歌を真剣に聞いてくれるアンジェリクに心から感謝をしていた。
アンジェリクのために歌っていると言っても過言ではない。
『ああ、神よ!私にこの傍迷惑な能力をお与えになったことは恨みますが、この至福のひと時をくださったことは心より感謝致します!』
…腐っている。色々性根が腐っている。しかし、この美しい聖女の如き外見の神子姫の中身がロリショタ大好きっ子なヤベェ奴だと誰が気付けるだろうか。
『頑張れー!ダヴィドたん昨日より上手くなってるよー!ドナシアンたんそこだー!上げてけー!』
ちなみに、アンジェリクが聖歌の聞き方自体を大分間違えていることにも、誰も気付いてはいなかった。
「…皆様、お疲れ様でした」
聖歌が終わり、聖少年隊が控え室で休む中アンジェリクが訪れた。
「あ、神子姫様!」
「今日の歌もとても素晴らしかったです。さすがは聖少年隊の皆様。我々の心を癒す素敵な歌声、お見事でした」
アンジェリクからの心からの賞賛に、聖少年隊の子供達は涙を流す。
「じ、実は僕…少しだけ間違っちゃって」
「大切なのは信仰の心…それさえしっかりとしていれば、間違いなどはありません」
「神子姫っ…!」
ドナシアンはアンジェリクの言葉に感銘を受けていた。そんなドナシアンの顔を見て、こともあろうにアンジェリクは興奮していた。
『ああー!可愛い!可愛いよドナシアンたんー!』
…そんな毎日が、ただ続くと思っていた。
高貴な者は、この聖なる空間で神に祈りを捧げるのだ。
が。
『うひょーっ!あー、可愛い!セザールたんちょっと大きくなったねぇ!シャルルたん歌上手くなったねぇ!シリルたんは少し髪が伸びたかな!?』
熱心に祈っているフリをして、狂信的な信仰を向けているフリをして、アンジェリクは聖少年隊にヤバイ性癖をぶつけまくっていた。
『YESロリショタNOタッチ!!!つまりは触らず傷つけず汚さなければ堪能しても良いのです!!!』
絶対違う。色々ダメだと思う。倫理的に、道徳的に糾弾されるべきこの悍ましい魔女は、しかし猫を完璧に被り自分の欲を叶えていた。
ロリショタ大好きっ子なヤベェ奴は、その実世間からは神子姫扱いされているのである。
もう目も当てられない。
『…あ、神子姫様こっちを見てる。熱い視線だなぁ』
『神子姫様は本当に聖歌が大好きだなぁ…』
『神子姫様が応援してくださってる!頑張らないと!』
ちなみに子供達の反応はそれぞれだが、皆アンジェリクの本性には気付いていない。というか気付かれたらアンジェリクは終わりだ。
子供達は皆、自分達の歌を真剣に聞いてくれるアンジェリクに心から感謝をしていた。
アンジェリクのために歌っていると言っても過言ではない。
『ああ、神よ!私にこの傍迷惑な能力をお与えになったことは恨みますが、この至福のひと時をくださったことは心より感謝致します!』
…腐っている。色々性根が腐っている。しかし、この美しい聖女の如き外見の神子姫の中身がロリショタ大好きっ子なヤベェ奴だと誰が気付けるだろうか。
『頑張れー!ダヴィドたん昨日より上手くなってるよー!ドナシアンたんそこだー!上げてけー!』
ちなみに、アンジェリクが聖歌の聞き方自体を大分間違えていることにも、誰も気付いてはいなかった。
「…皆様、お疲れ様でした」
聖歌が終わり、聖少年隊が控え室で休む中アンジェリクが訪れた。
「あ、神子姫様!」
「今日の歌もとても素晴らしかったです。さすがは聖少年隊の皆様。我々の心を癒す素敵な歌声、お見事でした」
アンジェリクからの心からの賞賛に、聖少年隊の子供達は涙を流す。
「じ、実は僕…少しだけ間違っちゃって」
「大切なのは信仰の心…それさえしっかりとしていれば、間違いなどはありません」
「神子姫っ…!」
ドナシアンはアンジェリクの言葉に感銘を受けていた。そんなドナシアンの顔を見て、こともあろうにアンジェリクは興奮していた。
『ああー!可愛い!可愛いよドナシアンたんー!』
…そんな毎日が、ただ続くと思っていた。
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