アストリアとアタナーズ〜若き皇帝陛下は、幼い妹殿下を愛する〜

下菊みこと

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ガビーのぬいぐるみを自慢する

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「お兄様、みてみて!ドロテちゃんのお母様の手作りのぬいぐるみ!」

「おや、これはガビーかな?すごく上手に作られているね」

「でしょう?私のお気に入りなの!」

「そうか、それは良かった」

「ねー、ガビーも気に入ったもんね?」

ガビーは何度も頷いた。その様子にさらに嬉しそうなアストリア。アタナーズはそんな妹が可愛くて仕方がない。

「侯爵から妻を救ってくれたと御礼状が届いたよ。改めてよくやったね、アストリア」

「うん!」

「でも、この前も言ったけど無理はダメだからね?」

「わかった!」

手を挙げてわかったポーズをするアストリアに、アタナーズはデレデレだ。アストリアの頭を撫でて、前髪を掻き分けておでこにキスをした。

「良い子だね、アストリア。愛しているよ」

「私もお兄様が大好きー!」

素直なアストリアに、アタナーズはますますデレデレだ。側に控える側近セザールは、仕事中のアタナーズと同一人物には見えないなと心から思う。口が裂けても言えないが。

「でも、食事の時には汚れちゃうから一度部屋に置いてこようか」

「えー」

「それか侍女に預けるか」

「持っててくれる?」

「はい、皇女殿下」

アストリアは侍女にガビーのぬいぐるみを預ける。そしてアタナーズとガビーと夕食を食べた。

「今日も美味しかったー!」

そんなアストリアの一言に、料理長が見えないところでガッツポーズをする。それを見ていたセザールはいつも喜んでいるなあの人と思いつつ、アタナーズについてその場を離れる。

「美味しかったね、お兄様」

「とても美味しかったね、アストリア」

それぞれ浴室に向かう二人。

「ゆっくり浸かって、温まるんだよ」

「うん!」

そしてお風呂にそれぞれ入る。その後は温まって眠たげな表情のアストリアをアタナーズが抱えて、寝室まで連れて行き寝かせていた。

そして、アタナーズの長い夜がやってくる。

アタナーズは苦しみながらも、それでも眠る。アストリアとまた、朝を迎えるために。
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