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二人目のお友達
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「お友達?」
「そう、お友達」
アストリアはアタナーズに新しいお友達を作ろうと言われて目を輝かせた。
「今度はどんな子?ガビーとも仲良くできるかな」
「今度は人間のお友達だよ」
「え、本当!?」
さらに嬉しそうな表情を見せるアストリアに、アタナーズも嬉しくなる。
「貴族の女の子をとりあえず一人紹介するよ。仲良くできるかな?」
「うん!」
こうしてアストリアは、新しいお友達候補と会うことになった。
「お初にお目にかかります、ドリアーヌと申します。こちらは娘のドロテでございます。ドロテ、ご挨拶を」
「は、はじめまして皇女殿下」
「はじめまして!アストリアです。これからよろしくね!」
アストリアの新しいお友達候補、ドロテは母親である侯爵夫人と手を繋いで現れた。アストリアは何か、懐かしいような羨ましいような気持ちになる。しかしそれが何故なのか、アストリアにはわからない。
「じゃあ、何をして遊ぼうか?あ、こっちは私のお友達のガビーだよ。仲良くしてね」
「…わあ!大きなネズミ!可愛い!」
「優しくていい子なんだよ!触っても大丈夫だよ!」
「本当だ…触らせてくれるんだね、ありがとう」
一瞬で打ち解けたアストリアとドロテ、そしてガビー。するとドロテがガビーを撫でる手を止めていきなりアストリアに頭を下げた。
「え、どうしたの?ドロテちゃん」
「皇女殿下、お願いです。お母様の病気を治してください!」
いきなりのお願いに困惑するアストリア。一方ドロテはドリアーヌに叱られる。
「こら、ドロテ!無理なお願いはしちゃいけないと教えたでしょう?」
「だってお母様、このままじゃ死んじゃうんでしょ?いやだよ、死なないで」
「ドロテ…」
ただならぬ雰囲気に、アストリアは話を聞くことにした。
「えっと、詳しく説明してくれる?」
「お母様が、治らない病気にかかっちゃったって…治せるのは聖魔力くらいだって…」
「うーん、そっか」
「お願いします!お母様を助けてください!」
アストリアは、まだ未熟な自分には荷が重いことはわかっている。だが、やはり見捨てることは出来なかった。
「今すぐに治せるかはわからないけど、とりあえずやってみるね」
「皇女殿下…!ありがとうございます!」
「で、ですが皇女殿下…ご負担になってしまいます」
「いいよ、大丈夫。とりあえず、試すだけでもダメ?」
「皇女殿下…」
聖女たるアストリアの最大限の慈悲に、ドリアーヌとドロテは感動して涙を浮かべる。そして、そんな二人を前にアストリアは祈り、聖魔力をドリアーヌに注ぎ込んだ。
「…どうかな」
「あ…病気の証である痣が、多少薄まりました」
「よかった!少し休んだらまたやろう?」
「で、ですがそれでは皇女殿下の負担が…」
「お願い。やらせて?」
アストリアの懇願で、結局聖魔力での治癒を受け入れるドリアーヌ。そして、一日をかけて少しずつ休憩もはさみながら治癒し続けた。結果。
「…やった!」
「…お母様ぁっ!よかっ…よかったぁ…!」
「ドロテ…!皇女殿下、本当に、本当にありがとうございますっ」
「ありがとうございます、皇女殿下ぁっ」
「うん、よかった、よかったね!!!」
ドリアーヌとドロテが馬車で帰らなければならないギリギリの時間に、病気の痣がなくなった。完治した証拠であると思われる。
「一応、あとでお医者さんの診察も受けてね」
「はい!」
「皇女殿下、あの、わがまま言って本当にすみませんでした!ありがとうございました!それで、あの」
「うん、なあに?」
「次に来る時は、お気に入りのお菓子を持ってくるので…一緒に食べてくれますか?」
ドロテの言葉に、アストリアは嬉しそうに笑う。
「うん!楽しみにしてるね!」
こうしてアストリアはひとりの命を救い、仲の良いお友達を作ることに成功した。
「そう、お友達」
アストリアはアタナーズに新しいお友達を作ろうと言われて目を輝かせた。
「今度はどんな子?ガビーとも仲良くできるかな」
「今度は人間のお友達だよ」
「え、本当!?」
さらに嬉しそうな表情を見せるアストリアに、アタナーズも嬉しくなる。
「貴族の女の子をとりあえず一人紹介するよ。仲良くできるかな?」
「うん!」
こうしてアストリアは、新しいお友達候補と会うことになった。
「お初にお目にかかります、ドリアーヌと申します。こちらは娘のドロテでございます。ドロテ、ご挨拶を」
「は、はじめまして皇女殿下」
「はじめまして!アストリアです。これからよろしくね!」
アストリアの新しいお友達候補、ドロテは母親である侯爵夫人と手を繋いで現れた。アストリアは何か、懐かしいような羨ましいような気持ちになる。しかしそれが何故なのか、アストリアにはわからない。
「じゃあ、何をして遊ぼうか?あ、こっちは私のお友達のガビーだよ。仲良くしてね」
「…わあ!大きなネズミ!可愛い!」
「優しくていい子なんだよ!触っても大丈夫だよ!」
「本当だ…触らせてくれるんだね、ありがとう」
一瞬で打ち解けたアストリアとドロテ、そしてガビー。するとドロテがガビーを撫でる手を止めていきなりアストリアに頭を下げた。
「え、どうしたの?ドロテちゃん」
「皇女殿下、お願いです。お母様の病気を治してください!」
いきなりのお願いに困惑するアストリア。一方ドロテはドリアーヌに叱られる。
「こら、ドロテ!無理なお願いはしちゃいけないと教えたでしょう?」
「だってお母様、このままじゃ死んじゃうんでしょ?いやだよ、死なないで」
「ドロテ…」
ただならぬ雰囲気に、アストリアは話を聞くことにした。
「えっと、詳しく説明してくれる?」
「お母様が、治らない病気にかかっちゃったって…治せるのは聖魔力くらいだって…」
「うーん、そっか」
「お願いします!お母様を助けてください!」
アストリアは、まだ未熟な自分には荷が重いことはわかっている。だが、やはり見捨てることは出来なかった。
「今すぐに治せるかはわからないけど、とりあえずやってみるね」
「皇女殿下…!ありがとうございます!」
「で、ですが皇女殿下…ご負担になってしまいます」
「いいよ、大丈夫。とりあえず、試すだけでもダメ?」
「皇女殿下…」
聖女たるアストリアの最大限の慈悲に、ドリアーヌとドロテは感動して涙を浮かべる。そして、そんな二人を前にアストリアは祈り、聖魔力をドリアーヌに注ぎ込んだ。
「…どうかな」
「あ…病気の証である痣が、多少薄まりました」
「よかった!少し休んだらまたやろう?」
「で、ですがそれでは皇女殿下の負担が…」
「お願い。やらせて?」
アストリアの懇願で、結局聖魔力での治癒を受け入れるドリアーヌ。そして、一日をかけて少しずつ休憩もはさみながら治癒し続けた。結果。
「…やった!」
「…お母様ぁっ!よかっ…よかったぁ…!」
「ドロテ…!皇女殿下、本当に、本当にありがとうございますっ」
「ありがとうございます、皇女殿下ぁっ」
「うん、よかった、よかったね!!!」
ドリアーヌとドロテが馬車で帰らなければならないギリギリの時間に、病気の痣がなくなった。完治した証拠であると思われる。
「一応、あとでお医者さんの診察も受けてね」
「はい!」
「皇女殿下、あの、わがまま言って本当にすみませんでした!ありがとうございました!それで、あの」
「うん、なあに?」
「次に来る時は、お気に入りのお菓子を持ってくるので…一緒に食べてくれますか?」
ドロテの言葉に、アストリアは嬉しそうに笑う。
「うん!楽しみにしてるね!」
こうしてアストリアはひとりの命を救い、仲の良いお友達を作ることに成功した。
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