アストリアとアタナーズ〜若き皇帝陛下は、幼い妹殿下を愛する〜

下菊みこと

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初めてのお仕事

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「今日からお仕事?」

「そうだよ、アストリア」

「楽しみ!」

「頑張ってね」

「うん、頑張る!」

アストリアはアタナーズににっこり笑う。アタナーズはまだ心配だったが、ガビーもいるからと心を落ち着けた。

「じゃあ、行ってきます!」

「うん、行ってらっしゃい」

アストリアの住んでいる皇都のすぐ近くにある聖都、その中央にそびえ立つ中央教会。そこに馬車で向かったアストリア。もちろんガビーも一緒である。

「お邪魔しまーす!」

意気揚々と、元気に中央教会に入るアストリア。それを笑顔で出迎える大司教と司教たち。

「よく来てくださいました、聖女様」

「うん!今日からお仕事、よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願いします。今日からこちらで、平民達の小さな怪我や風邪などを癒す修行兼仕事を行なっていただきます」

アストリアが案内されたのは、すごく豪華な治癒室。

「おおー…」

その煌びやかな部屋に、改めて聖女という称号の重さを感じるアストリア。

「聖魔力の使い方なのですが、癒したい相手の目の前で癒してあげたいと祈れば発動しますからね」

「うん!」

「では、これから一人ずつ患者を連れて参ります」

「はい、頑張ります!」

気合い充分なアストリアに、司教たちもにっこりである。そして仕事が始まった。

「失礼します!」

明らかに緊張した様子の少年が入ってくる。その手には擦り傷だらけだ。

「大丈夫?どうしたの?」

「ちょっと両親の仕事の手伝いで、まだ慣れてなくて…」

「そっかあ。ええっと…」

アストリアは、事前に司教に習っていた通り癒してあげたいと祈った。すると、少年の手はたちまち綺麗になる。

「おお!すげぇです!治りました!」

「わあ、よかったね!!!」

感動するアストリアと少年。ガビーはその横で当然だと言わんばかりにのほほんとした顔をしていた。

その後もアストリアはどんどん多くの人の傷や風邪などを治していき、聖魔力が尽きると回復するまで休憩、そしてまた癒すのを繰り返した。

「はあ、意外と聖魔力って体力使うんだね…」

「キュルキュル」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう、ガビー」

帰る頃には疲労困憊のアストリア。魔力は使えば使うほど疲労が溜まる。しかし、慣れれば楽になるのでそれこそ修行あるのみである。

「じゃあ、今日は帰りますね!ありがとうございました!」

礼儀正しくご挨拶するアストリアに、司教たちも笑顔で応える。

「また明日、よろしくお願いしますね」

「うん、またね!」

ブンブンと手を振って馬車に乗り込むアストリアと、その横に座るガビー。司教たちははやくも二人のファンになった。
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