ルーヴルナは今日も最悪な予知夢を見る

下菊みこと

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成金お嬢様、知らないところで全部片付く

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「中央教会の聖騎士団だ!今から貴様らを処刑する!」

「はあ!?一体なぜ急に聖騎士団が!?」

「貴様らは、神の教えに背いて人造人間を作ったな!異端審問にかけるまでもない!!!この場で斬り殺してくれる!!!」

聖騎士団の団長がそう声を張り上げると、戦闘が始まった。

聖騎士たちがアラールファミリーの面々に斬りかかり、アラールファミリーの構成員たちは銃器で応戦するも神官たちから加護の魔法を受けた聖騎士たちは無傷。

圧倒的な力で、アラールファミリーを蹂躙する聖騎士たち。

今まで圧倒的な力で人々を利用し尽くしてきたアラールファミリーには、お似合いの最期だと言えた。

「…チッ。あのルーヴルナとか言う娘、聖王にでも実験台十号を売ったのか!?あれだけ精巧に作ったのに、どうしてホムンクルスだと気付いた!?」

「驚きましたね。ですが時間はあります。せめてボスだけでもお逃げください。アラールファミリーの再興を願います」

「シプリアン…お前…」

「今の我々では、神官も連れてきている聖騎士たちには歯が立ちませんから」

アラールファミリー本拠地の奥では、シプリアンがクリスチャンを逃がそうと転移魔法の魔法陣を起動しようとしていた。

しかし。

「…っ!?転移魔法が発動出来ない!?」

「神官たちの仕業か!!!」

アラールファミリーの本拠地には既に神官たちの結界が張られ、逃げ場がなくなっていた。

「…はは、俺たちもここまでか」

「ボス…」

「いや、もういい。好き勝手に生きてきて、楽しい人生だった。ホムンクルスなんか作って、人体実験なんてしたのが運の尽きだったな」

もう助からないと開き直ったクリスチャンは、穏やかな表情だった。シプリアンも、それを見て諦めがついた。

「人体実験の末に作り上げられた、魔力増強剤。並みの人間では耐えられませんが、頑丈な人間ならば人の域を超えた魔力を得られる。実験台十号は、もはや人造人間を超えた存在となった」

「薬は保管庫にあるが、もう必要ないな。教会があの薬をどうするかは知らんが」

「まあ、あの頭の固い連中ですから悪用はしないのでしょうね」

「せっかく作ったのに、もったいないよな本当に」

「実験台十号は…これから先、その価値を発揮できるでしょうか?」

「知らん。まあ、上手くやるんじゃないか?自分で自分の足を切り落としてまで逃げるくらいの生き汚なさだしな」

そこまで話して、ドアが乱暴に蹴破られた。聖騎士団の団長が、その剣を振り上げる。

「…また、地獄で会おう」

「ええ、ボス。お伴します」

二人の首は、あっけなく刎ねられた。
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