17 / 59
成金お嬢様の執事と護衛、めちゃくちゃ話し合う
しおりを挟む
「さて、復興のお手伝い…とのことですが」
「うーん。お金がたくさんあるのはわかるが、どう使えばいいんだ?」
「やはり、まずは崩壊した建物の完全な解体や、瓦礫の除去…内乱後ですし、下手な爆弾や地雷などがないか調査しそれも除去する必要がありますね」
ジルが腕組みして、指をトントンと鳴らしながら言う。
「それをやってもお金はまだ使えるか?」
「おそらく余裕はあるでしょう」
「なら、食料や飲み水の支援もしよう。現物支給で」
「ああ…大事ですね」
「でも〝復興〟のお手伝いだもんな。それだけじゃ足りない…」
ジルとモーントがそんな風にまじめに考えている横で、ルーヴルナはぐっすり寝ていた。お昼寝がすっかりと習慣になっていたのだ。
ジルとモーントはそんなルーヴルナをちらりと見る。爆睡しているルーヴルナに、心底ほっとしてから話題に戻る。
「お嬢様の名前で、融資を行いましょう」
「融資?」
「ええ。多くの人々は内乱で職も失い、路頭に迷っているでしょう。そこで、新しく商売を始めるための元手になるお金をお嬢様の名前で融資します。無利子無担保で、将来どれだけ掛かっても返してさえくれればいいという形で」
モーントはキョトンとする。
「その条件ならいっそ、無償で与えればいいんじゃないか?」
「そうですね。でも、それでは支援を受ける人たちに甘えが生まれてしまう。今は緊急事態なのでそれでもいいですが、将来また困った時に誰かに助けてもらえるだろうというメンタルになってもらっては困ります」
「あー…」
「そういった甘えが、何かあった際になんで助けてくれないんだ…という怒りに変わるといけませんからね」
「そりゃ厄介だな。わかった、融資にしよう」
こうして〝ルーヴルナの名前を使って〟ジルとモーントによる、内乱後の西の海の向こうの孤島の復興が始まることになった。
「うーん。お金がたくさんあるのはわかるが、どう使えばいいんだ?」
「やはり、まずは崩壊した建物の完全な解体や、瓦礫の除去…内乱後ですし、下手な爆弾や地雷などがないか調査しそれも除去する必要がありますね」
ジルが腕組みして、指をトントンと鳴らしながら言う。
「それをやってもお金はまだ使えるか?」
「おそらく余裕はあるでしょう」
「なら、食料や飲み水の支援もしよう。現物支給で」
「ああ…大事ですね」
「でも〝復興〟のお手伝いだもんな。それだけじゃ足りない…」
ジルとモーントがそんな風にまじめに考えている横で、ルーヴルナはぐっすり寝ていた。お昼寝がすっかりと習慣になっていたのだ。
ジルとモーントはそんなルーヴルナをちらりと見る。爆睡しているルーヴルナに、心底ほっとしてから話題に戻る。
「お嬢様の名前で、融資を行いましょう」
「融資?」
「ええ。多くの人々は内乱で職も失い、路頭に迷っているでしょう。そこで、新しく商売を始めるための元手になるお金をお嬢様の名前で融資します。無利子無担保で、将来どれだけ掛かっても返してさえくれればいいという形で」
モーントはキョトンとする。
「その条件ならいっそ、無償で与えればいいんじゃないか?」
「そうですね。でも、それでは支援を受ける人たちに甘えが生まれてしまう。今は緊急事態なのでそれでもいいですが、将来また困った時に誰かに助けてもらえるだろうというメンタルになってもらっては困ります」
「あー…」
「そういった甘えが、何かあった際になんで助けてくれないんだ…という怒りに変わるといけませんからね」
「そりゃ厄介だな。わかった、融資にしよう」
こうして〝ルーヴルナの名前を使って〟ジルとモーントによる、内乱後の西の海の向こうの孤島の復興が始まることになった。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる