13 / 59
成金お嬢様、医者に診てもらった結果
しおりを挟む
「…なるほど」
「先生、お嬢様は!?」
「心労から来る苦痛が原因…ですね」
「し、心労でここまで酷くなるんですか!」
「よっぽどのストレスを受けたのでしょう。可哀想なくらい心が弱っていらっしゃいます」
ジルとモーントは顔を見合わせる。心当たりはある。…神官に、もっと言えば聖王に怯えるルーヴルナを無理させてしまった。それに、最近色々なことがあった。それも、ルーヴルナにとってはストレスの要因になったのかもしれない。
「…不甲斐ない」
「先生、どうすればお嬢様は良くなりますか?」
「お薬は出しておきます。ただ…これからも心労がかかるようであれば、また同じ発作を頻発しかねない」
「…っ!」
「私たちに出来ることはありますか」
医者は頷く。
「出来るだけ、ストレスケアを心がけて差し上げてください。信頼できる人が側にいるだけでも、気持ちは楽になるでしょう。けれどそれでも処理しきれないストレスもある。それをいち早く気付いて、癒して差し上げてください」
「…ストレスケアですか」
「例えば、音楽を聞いたり物語を読んだりして涙を流すとか。泣くことは、ストレスケアにはぴったりです。そういうことを勧めて差し上げたり、無理はさせないよう心がけたり。あとは、手に負えないならこちらにご連絡ください。その場合、出来る限りのことはします」
ジルは頷く。
「…わかりました、心がけます。ありがとうございました」
「貴方方も無理はいけませんよ。では」
医者が帰ると二人はすぐに相談して、処方された薬をさっそくルーヴルナに飲ませることにした。
「お嬢様、お薬を飲みましょう」
「うん…」
「薬を飲む前に、ちょっとでも何か腹に入れましょう!ほら、今日のおやつに出すはずだったプリンですよ!」
「プリン!」
パッと笑顔になるルーヴルナに、ジルとモーントはホッと息を吐いた。
「ゆっくり食べてください」
「紅茶もどうぞ!」
「うん!美味しい!」
「ゆっくり、ですよ」
はしゃぐルーヴルナに、安心した二人はクスクスと笑う。ルーヴルナはルーヴルナで、プリンのおかげで胸の痛みを少しだけ忘れられた。楽になる。
「さあ、薬ですよ」
「お水で飲んでくださいね」
「はーい…」
薬を飲むルーヴルナ。その後また横になる。
「ふう…ジル、モーント、本当にごめんなさい。約束したのに、体調崩して」
「いいんですってば!」
「大丈夫ですよ、お嬢様は悪くありません」
励ましてくれるモーントと、優しく頭を撫でてくれるジルにルーヴルナは心が軽くなった。
「せめて、早く治しますわ」
「はい、お嬢様」
「でも早く治そうとして無理はしないでくださいね!」
ルーヴルナは、モーントの言葉に心得ていると微笑んだ。
「先生、お嬢様は!?」
「心労から来る苦痛が原因…ですね」
「し、心労でここまで酷くなるんですか!」
「よっぽどのストレスを受けたのでしょう。可哀想なくらい心が弱っていらっしゃいます」
ジルとモーントは顔を見合わせる。心当たりはある。…神官に、もっと言えば聖王に怯えるルーヴルナを無理させてしまった。それに、最近色々なことがあった。それも、ルーヴルナにとってはストレスの要因になったのかもしれない。
「…不甲斐ない」
「先生、どうすればお嬢様は良くなりますか?」
「お薬は出しておきます。ただ…これからも心労がかかるようであれば、また同じ発作を頻発しかねない」
「…っ!」
「私たちに出来ることはありますか」
医者は頷く。
「出来るだけ、ストレスケアを心がけて差し上げてください。信頼できる人が側にいるだけでも、気持ちは楽になるでしょう。けれどそれでも処理しきれないストレスもある。それをいち早く気付いて、癒して差し上げてください」
「…ストレスケアですか」
「例えば、音楽を聞いたり物語を読んだりして涙を流すとか。泣くことは、ストレスケアにはぴったりです。そういうことを勧めて差し上げたり、無理はさせないよう心がけたり。あとは、手に負えないならこちらにご連絡ください。その場合、出来る限りのことはします」
ジルは頷く。
「…わかりました、心がけます。ありがとうございました」
「貴方方も無理はいけませんよ。では」
医者が帰ると二人はすぐに相談して、処方された薬をさっそくルーヴルナに飲ませることにした。
「お嬢様、お薬を飲みましょう」
「うん…」
「薬を飲む前に、ちょっとでも何か腹に入れましょう!ほら、今日のおやつに出すはずだったプリンですよ!」
「プリン!」
パッと笑顔になるルーヴルナに、ジルとモーントはホッと息を吐いた。
「ゆっくり食べてください」
「紅茶もどうぞ!」
「うん!美味しい!」
「ゆっくり、ですよ」
はしゃぐルーヴルナに、安心した二人はクスクスと笑う。ルーヴルナはルーヴルナで、プリンのおかげで胸の痛みを少しだけ忘れられた。楽になる。
「さあ、薬ですよ」
「お水で飲んでくださいね」
「はーい…」
薬を飲むルーヴルナ。その後また横になる。
「ふう…ジル、モーント、本当にごめんなさい。約束したのに、体調崩して」
「いいんですってば!」
「大丈夫ですよ、お嬢様は悪くありません」
励ましてくれるモーントと、優しく頭を撫でてくれるジルにルーヴルナは心が軽くなった。
「せめて、早く治しますわ」
「はい、お嬢様」
「でも早く治そうとして無理はしないでくださいね!」
ルーヴルナは、モーントの言葉に心得ていると微笑んだ。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
君のためだと言われても、少しも嬉しくありません
みみぢあん
恋愛
子爵家の令嬢マリオンの婚約者、アルフレッド卿が王族の護衛で隣国へ行くが、任期がながびき帰国できなくなり婚約を解消することになった。 すぐにノエル卿と2度目の婚約が決まったが、結婚を目前にして家庭の事情で2人は…… 暗い流れがつづきます。 ざまぁでスカッ… とされたい方には不向きのお話です。ご注意を😓
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる