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牛丼
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今日はマスキュラーカウという牛の魔獣の群れを討伐する依頼を受けた。このマスキュラーカウ、筋肉質で力が強い上に頑丈、おまけに好戦的で群れで生きるから一般人にはものすごく怖い。というか冒険者でも上位ランクくらいの実力がないと普通に怪我をする。下手したら犠牲になる可能性がある。
そんなマスキュラーカウが小さな村の放牧地に現れて家畜のための牧草を食べてしまう、放牧していた家畜達を村の方に追い払ってしまうとのことで、それは確かに厄介だろう。
そんなマスキュラーカウ、筋肉質なため赤身肉が多く取れる。赤身肉は脂身が少ない部位で弾力があり、食べごたえのある肉で、しっかりとした歯ごたえを持ち、旨味が凝縮されているので、肉本来の味を味わうことが出来るから栄養をたっぷりと取ったマスキュラーカウのお肉は結構肉屋に歓迎される。
それなりに高く売れるので今回の依頼料とマスキュラーカウから受けた被害を合わせても、村にはそれなりの利益が出るのではないだろうか。家畜の牛も死んでしまったわけではないし。
そんなこの村は本来のマスキュラーカウの生息域の外だが、最近マスキュラーカウが繁殖し過ぎているとの報告が上がっていたので餌が足りなくなって移動してきたのだろう。
個体数が増え過ぎているなら、一つの群れを討伐するのはむしろ必要なことと言えるだろう。そうと決まればと放牧地に我が物顔で居座るマスキュラーカウの元へ行き、広大な放牧地に強力な睡眠魔法を掛ける。流石に魔力が足りないので魔力回復ポーションを何度か飲み干す。魔力回復ポーションを最近多用し過ぎな気がするので、また買いだめしなきゃなぁ。
睡眠魔法で眠っているマスキュラーカウ達の頭を氷魔法で落としていく。痛みも感じさせずに終わらせた。放牧地は血まみれで流石にここにそのまま家畜の牛達を放牧するのは怖いだろうと水魔法で洗い流しておく。魔力回復ポーションがどんどん減る。
光魔法でマスキュラーカウ達の身体を運んで村に戻ると、村人たちは放牧を行なった後マスキュラーカウの解体に入った。これもなにかの縁だろうと、解体したマスキュラーカウの肉を氷魔法で冷凍してあげようかと提案すると喜ばれた。これで品質を保ち大きな街に出荷すれば余計に高値で売れるだろう。
冷凍したお礼にと、マスキュラーカウの肉と牛脂を少し分けてもらった。今日はキャンプなので、リオルに美味しい牛丼を作ってあげよう。
村の子供達と待っていたリオルを迎えに行き、手を繋いで村を出る。途中で乗り合い馬車を拾って進めるだけ進む。乗り合い馬車を降りてからは歩いて、ここからは山を越える。次の街への中継地点くらいの場所で、キャンプの準備をする。
キャンプの準備が出来ればいよいよ料理開始。ワクワクした表情のリオルにちょっとだけ緊張しつつ作る。
最初にライスの用意をしておく。炊くのを忘れると悲惨だから。
まずは玉ねぎを薄くスライス。生姜は細く千切りにする。
鍋に醤油とみりん、お酒、コンソメ、白だし、お砂糖、水を入れて玉ねぎ、生姜を投下して沸騰させる。沸騰したら水分が飛ばないよう火は弱める。
玉ねぎがしなっとして透き通ってきたら、牛脂と牛肉を入れる。
ざっと煮れば完成。ライスの上に盛って卵を落とせば美味しそうな牛丼が現れた。リオルは嬉しそうに笑う。
「リリア、お見事なのじゃー!美味しそうなのじゃー!」
「ありがとう、リオル。じゃあ、早速食べましょう」
「いただきますなのじゃー!」
「いただきます」
手を合わせて食べる。まずは一口。うん、我ながら美味しい。
「お肉の質が良いわね。牛脂も入れたから余計に美味しいわ」
「しょっぱめの味付けが最高なのじゃー!ライスがどんどん進むのじゃー!本当に美味しいのじゃー!リリアは天才なのじゃー!」
「あら、ありがとう。褒められ過ぎると照れるわね」
「だって本当に美味しいのじゃー!コクがあってダシの効いた味付けがうまうまなのじゃー!」
「シスターが良く作ってくれたのよ。私も冒険者になる前になんとしてでも覚えようって必死にお手伝いしてたわ」
「そうなのかの?リリアは偉いのぅ」
「ふふ。なんだか今日は本当に褒められるわね」
「だってリリアはすごいのじゃー!お料理も美味しいし、努力もしてるのじゃー!」
「ありがとう。リオルもいつも美味しそうにご飯を食べて、すっごく癒されるわ。素敵よ」
「ありがとうなのじゃー!」
そしてご馳走さまをして寝る。明日は街で魔力回復ポーションを買い漁らないとね。
そんなマスキュラーカウが小さな村の放牧地に現れて家畜のための牧草を食べてしまう、放牧していた家畜達を村の方に追い払ってしまうとのことで、それは確かに厄介だろう。
そんなマスキュラーカウ、筋肉質なため赤身肉が多く取れる。赤身肉は脂身が少ない部位で弾力があり、食べごたえのある肉で、しっかりとした歯ごたえを持ち、旨味が凝縮されているので、肉本来の味を味わうことが出来るから栄養をたっぷりと取ったマスキュラーカウのお肉は結構肉屋に歓迎される。
それなりに高く売れるので今回の依頼料とマスキュラーカウから受けた被害を合わせても、村にはそれなりの利益が出るのではないだろうか。家畜の牛も死んでしまったわけではないし。
そんなこの村は本来のマスキュラーカウの生息域の外だが、最近マスキュラーカウが繁殖し過ぎているとの報告が上がっていたので餌が足りなくなって移動してきたのだろう。
個体数が増え過ぎているなら、一つの群れを討伐するのはむしろ必要なことと言えるだろう。そうと決まればと放牧地に我が物顔で居座るマスキュラーカウの元へ行き、広大な放牧地に強力な睡眠魔法を掛ける。流石に魔力が足りないので魔力回復ポーションを何度か飲み干す。魔力回復ポーションを最近多用し過ぎな気がするので、また買いだめしなきゃなぁ。
睡眠魔法で眠っているマスキュラーカウ達の頭を氷魔法で落としていく。痛みも感じさせずに終わらせた。放牧地は血まみれで流石にここにそのまま家畜の牛達を放牧するのは怖いだろうと水魔法で洗い流しておく。魔力回復ポーションがどんどん減る。
光魔法でマスキュラーカウ達の身体を運んで村に戻ると、村人たちは放牧を行なった後マスキュラーカウの解体に入った。これもなにかの縁だろうと、解体したマスキュラーカウの肉を氷魔法で冷凍してあげようかと提案すると喜ばれた。これで品質を保ち大きな街に出荷すれば余計に高値で売れるだろう。
冷凍したお礼にと、マスキュラーカウの肉と牛脂を少し分けてもらった。今日はキャンプなので、リオルに美味しい牛丼を作ってあげよう。
村の子供達と待っていたリオルを迎えに行き、手を繋いで村を出る。途中で乗り合い馬車を拾って進めるだけ進む。乗り合い馬車を降りてからは歩いて、ここからは山を越える。次の街への中継地点くらいの場所で、キャンプの準備をする。
キャンプの準備が出来ればいよいよ料理開始。ワクワクした表情のリオルにちょっとだけ緊張しつつ作る。
最初にライスの用意をしておく。炊くのを忘れると悲惨だから。
まずは玉ねぎを薄くスライス。生姜は細く千切りにする。
鍋に醤油とみりん、お酒、コンソメ、白だし、お砂糖、水を入れて玉ねぎ、生姜を投下して沸騰させる。沸騰したら水分が飛ばないよう火は弱める。
玉ねぎがしなっとして透き通ってきたら、牛脂と牛肉を入れる。
ざっと煮れば完成。ライスの上に盛って卵を落とせば美味しそうな牛丼が現れた。リオルは嬉しそうに笑う。
「リリア、お見事なのじゃー!美味しそうなのじゃー!」
「ありがとう、リオル。じゃあ、早速食べましょう」
「いただきますなのじゃー!」
「いただきます」
手を合わせて食べる。まずは一口。うん、我ながら美味しい。
「お肉の質が良いわね。牛脂も入れたから余計に美味しいわ」
「しょっぱめの味付けが最高なのじゃー!ライスがどんどん進むのじゃー!本当に美味しいのじゃー!リリアは天才なのじゃー!」
「あら、ありがとう。褒められ過ぎると照れるわね」
「だって本当に美味しいのじゃー!コクがあってダシの効いた味付けがうまうまなのじゃー!」
「シスターが良く作ってくれたのよ。私も冒険者になる前になんとしてでも覚えようって必死にお手伝いしてたわ」
「そうなのかの?リリアは偉いのぅ」
「ふふ。なんだか今日は本当に褒められるわね」
「だってリリアはすごいのじゃー!お料理も美味しいし、努力もしてるのじゃー!」
「ありがとう。リオルもいつも美味しそうにご飯を食べて、すっごく癒されるわ。素敵よ」
「ありがとうなのじゃー!」
そしてご馳走さまをして寝る。明日は街で魔力回復ポーションを買い漁らないとね。
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