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杏仁豆腐

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今日は冒険者ギルドで珍しい依頼を見つけた。お年寄り達が腰が痛いが聖魔法をかけて貰うほどではない、でも薬を飲んでも痛いのでなんとかして欲しいとのこと。どうするか考えたが、お年寄り達がお金を出し合って藁にもすがる思いで冒険者ギルドに来たのだろうと思うと無視できない。お金もまあ人数が人数だけにそれなりの金額にはなる。今日の目標金額は達成できるだろう。悪徳な冒険者にこの依頼を奪われる前に受けてしまえとギルドの受付嬢に手続きしてもらう。

「遠路はるばるこんな田舎にありがとうございます、冒険者様」

「ゆっくりしていってくださいねぇ」

「煎餅を食べるかの?」

「ありがとうございますなのじゃー!うまー!」

「畑で採れたメロン、よかったら一切れ食ってけー」

「坊主もメロン食うかぁ?」

「食べるのじゃー!うまー!ありがとうございますなのじゃー!」

「元気な坊主だなぁ」

「ありゃー、うちの孫と歳が近そうねぇ」

「可愛いわぁ」

今日は危なくない依頼なのでリオルも連れてきた。お年寄り達のアイドル状態になっているけどまあいいよね。

とりあえず私は光魔法を全力でお年寄り達全員に掛けた。これだけの人数がいるとはいえ、魔力が切れるほどの光魔法だ。さすがに少しは効くだろう。具体的には今日一日は元気に体調不良もなく過ごせるだろう。

「おー、腰が治った!」

「さすが冒険者様だなぁ!」

リオルが私に耳打ちする。

「これだけだと一日か二日しか健康効果は持たないのじゃー。わしも光魔法を使ってみんなに掛けてもええかの?」

「もちろん良いわ」

「みんなー!わしもみんなに優しくしてもらったから、みんなに光魔法重ねがけしたいのじゃー!ええかのー?」

「ええぞー!」

「やってみろ坊主ー」

「優しくて可愛らしい子ねぇ」

「自慢の弟です」

ということでリオルが光魔法をお年寄り達に掛ける。広範囲にたくさんの光魔法が溢れ出す。さすがドラゴン、もうこんなに魔力が回復してたんだ…。でも、リオルはずっと人間に化けて、人間として成長して、ずっと一緒に旅してくれるつもりでいる。だから、大丈夫。むしろ魔力が回復するのは良いことだよね。

「これだけ重ねがけすれば、一年は腰は大丈夫なのじゃー!偉いかの?」

「いやー、冒険者様の弟は天才じゃー!」

「坊主はすごいのー!」

リオルがお年寄り達から揉みくちゃにされる。リオルが愛されてるなーと思い、私は嬉しい。

「杏仁豆腐も食っていくかー?」

「いただきますなのじゃー!ありがとうございますなのじゃー!」

「冒険者様も一緒にどうぞぉ」

「ありがとうございます、いただきます」

一口杏仁豆腐を食べる。美味しい。

「白くて可愛いだけじゃなく、ぷるんとしていて食べやすくて美味しいのじゃー!」

「甘くて美味しいわ。生き返るわね」

「美味しいのじゃー!ありがとうなのじゃー!」

その後依頼料を受け取り、リオルと一緒に宿に戻る。リオルは楽しかったようで、一日中ニコニコしていた。
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