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必要なものはなにもかも与えよう

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他愛ない話をしていたら、商人が商品を持って到着した。

この商人は空間魔術が得意なので、自力で大量の商品を運んでくる。

びっくりするほど品揃えがいいのも魅力だ。

その全てが質のいいものだからね。

「やあ、久しぶり」

「お久しぶりです、公爵様」

「連絡した通り、子供を一人で養うから必要なものを一通り買わせてもらうよ」

「はい」

広間で商品を広げてもらう。

「とりあえず家具から選ぼうか。フォルトゥーナ、好きな家具を選んでいいよ」

「…好きも嫌いもないのだけど」

「あれ?そうかい?ならオレが選んであげようね」

フォルトゥーナな家具の好みもないらしい。

やっぱり虐げられて育った弊害なのかな。可哀想に。

ならばオレが一番良いものを選んであげようね。

「なら、この可愛らしいメルヘンチックな家具がいいかな」

「待って、わかった。私が悪かったわ。商人さん、私はこの白を基調としたシンプルな家具でいいわ」

「あれ、それがいいの?ならそれを貰おうか。はい、お代」

「ありがとうございます。いつもながらチップが多いですね…」

「まあまあ、いいから受け取って」

お金ならいくらでもあるからね。世の中に還元しないと。

でもそうか、十歳くらいに見えるフォルトゥーナだから可愛らしいものがいいかと思ったのだけど、シンプルなものが好きなんだね。

「カーテンや敷物はいかがします?お嬢様」

「カーテンは…カーテンと敷物も白がいいのだけど、変かしら」

「いえ、よろしいと思いますよ」

「あ、このチェス盤みたいな柄の敷物がいいわ。カーテンは無地で」

「かしこまりました」

そうか、フォルトゥーナは白が好きなんだね。

アルビノのフォルトゥーナには良く似合いそうだ。

「フォルトゥーナ、お部屋に必要なものは揃ったから次は服を選ぼうか。あ、これお代ね」

「ありがとうございます、公爵様」

「服は…どんなものがいいのかしら。私、わからないわ」

「じゃあ今度こそオレが選んであげようね」

今度はちゃんと選んであげよう。可愛すぎるよりシンプルなものが好きらしいから、フリフリヒラヒラは少ないシンプルなドレスを選ぶ。

フォルトゥーナも文句はなさそう。

色合いは、フォルトゥーナはアルビノだから正直結構なんでも合う気がする。

なのでいろんな色のドレスを選ぶ。でもなんとなくパステルカラーと言われる系統を多く選んだ。

いくつも服と靴を選んで、下着は流石にフォルトゥーナに選ばせて、ついでに装飾品もいくつか買って終わりにした。

「ありがとう、このくらいにしておくよ。はい、お代」

「こちらこそありがとうございました。また何か必要なものがありましたらよろしくお願いします」

「うん、よろしくね」

「商人さん、ありがとう」

「いえいえ」

そして商人が帰ると買ったものを使用人たちにフォルトゥーナの部屋にすることに決めた部屋に運ばせた。

部屋の掃除もフォルトゥーナと家具などを選んでいた間にさせているので問題ない。

「さあ、フォルトゥーナ。部屋が完成したからみに行こうか」

「ええ」

フォルトゥーナに手を差し伸べれば、小さな手がオレの手を取る。

「さあ、ここがフォルトゥーナの部屋だよ」

フォルトゥーナは部屋を見て目を輝かせる。

「いい部屋になったね」

「そうね、ありがとう。公爵様のおかげだわ」

「ふふ、それは良かった…ああ、そういえばちゃんと名乗ってなかったね」

フォルトゥーナに公爵様と呼ばれてそういえばと名乗る。

「オレはクリオシタ・ソッリーソ・アッフェット。クリオとでも呼んでよ。公爵位を賜っていて、二十四歳のお兄さんだよ」

「クリオ様」

「クリオ」

「…クリオ」

よし、満足。

うんうんと頷いていれば、フォルトゥーナが言った。

「…私はフォルトゥーナ。フォルとでも呼んで。見ての通りアルビノよ。年齢は十二歳」

「うん。よろしくね、フォル」

こうしてフォルとの生活が始まった。
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