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学園入学
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あれから時は過ぎ、私達も今年で十六歳。今日から学園に入学する。学園は全寮制なので私達も寮に入る。レンは十八歳なので二年早く入学していて、今年卒業することになる。レンは学業と公爵としての仕事を睡眠時間を削ってまで両立させているらしい。ドラゴンだから体力も精神力も人間より高いとか。でもちょっと心配。その分休みの日は思う存分体力を温存しているらしいけど、大丈夫かな。
とりあえず、この数年で私の評判は大分回復した。中にはまだ私を許してくれない人ももちろんいるけれど、大体の人とは仲直りできたし、領民達からの支持は厚い。我がヘキサグラムの領民達だけでなく、何れ嫁ぐコンストレイションの領民達にも治癒魔法を授けているので信頼関係はばっちり。私達の関係も、あれから上手くいっていて、ルナとレオ様は相思相愛なラブラブカップルに。私とレンは、恋愛感情こそないけれど穏やかな信頼関係を構築できた。仲良し。
ということで早速入学式も終えて、久々にレンと会う。手紙はお互いまめに書いていたけれど、やっぱり会えるのは嬉しい。
「レン!久しぶり!」
「なんだ、そんなに俺に会いたかったか?」
「うん!」
私が満面の笑みでレンに飛びつくと、レンは一瞬目を見開いて、赤面する。
「素直過ぎる…反則だろう…」
「え?」
「…なんでもない。他の男にはやるなよ」
「レンだけに決まってるじゃない」
「ぐぅっ…」
「!?レン、どうしたの!大丈夫?」
突然胸を押さえて蹲るレン。やっぱり無理し過ぎてるんじゃ…。
「いや、大丈夫だ…ちょっとノックアウト攻撃を仕掛けられだけだ…」
「え!誰に?」
「しかも無自覚らしい」
「え!?」
なにそれ!?
「…。もう大丈夫だ。心配ない」
「レン、無理しちゃダメよ?」
「わかってる。俺だって自分の限界はわかる。無茶はしない」
「本当?約束よ?」
「ああ、約束だ」
「兄上と義姉上は本当に仲良しですね」
「レオ様」
「レオ。久しぶりだな」
「お久しぶりです、兄上。たった一年とはいえ、また兄上と一緒に生活できるようになって嬉しいです」
「俺もだ。よろしくな、我が弟よ」
「ふふ、はい」
「レオ様ー!お姉様ー!足が速いですー!置いていかないでー!」
「あ、やっときたわね」
「ルナ、ごめんね、久しぶりに兄上に会えるからつい」
「もう。お二人とも意地悪です。お久しぶりです、お義兄様」
「久しぶりだな、ルナ。ナターシャをよろしく頼むぞ」
「はい、もちろんです!悪い虫は寄せ付けません!」
「悪い虫?」
「お前は知らなくていい。それよりも、これから寮の説明会があるだろう。行かなくていいのか?」
「あ、そうでした!お姉様、行きましょう!」
「…せっかく会えたのに」
ぷいっとして、顔を背ける。レンは何故かまた赤面しつつ、私を抱きしめる。
「説明会が終わったらまた会えばいいだろ。機嫌を直してくれ、俺のナターシャ」
「…もう」
私は渋々レンから離れてルナと寮に向かう。
「…あれで無自覚なんですから、兄上も大変ですね」
「自覚してくれるまで待てる自信が正直無い」
「結婚するまで待てですよ」
「…ちっ」
「舌打ちしてもダメです」
という会話が後ろから聞こえたけど、なんのことだろう?
とりあえず、この数年で私の評判は大分回復した。中にはまだ私を許してくれない人ももちろんいるけれど、大体の人とは仲直りできたし、領民達からの支持は厚い。我がヘキサグラムの領民達だけでなく、何れ嫁ぐコンストレイションの領民達にも治癒魔法を授けているので信頼関係はばっちり。私達の関係も、あれから上手くいっていて、ルナとレオ様は相思相愛なラブラブカップルに。私とレンは、恋愛感情こそないけれど穏やかな信頼関係を構築できた。仲良し。
ということで早速入学式も終えて、久々にレンと会う。手紙はお互いまめに書いていたけれど、やっぱり会えるのは嬉しい。
「レン!久しぶり!」
「なんだ、そんなに俺に会いたかったか?」
「うん!」
私が満面の笑みでレンに飛びつくと、レンは一瞬目を見開いて、赤面する。
「素直過ぎる…反則だろう…」
「え?」
「…なんでもない。他の男にはやるなよ」
「レンだけに決まってるじゃない」
「ぐぅっ…」
「!?レン、どうしたの!大丈夫?」
突然胸を押さえて蹲るレン。やっぱり無理し過ぎてるんじゃ…。
「いや、大丈夫だ…ちょっとノックアウト攻撃を仕掛けられだけだ…」
「え!誰に?」
「しかも無自覚らしい」
「え!?」
なにそれ!?
「…。もう大丈夫だ。心配ない」
「レン、無理しちゃダメよ?」
「わかってる。俺だって自分の限界はわかる。無茶はしない」
「本当?約束よ?」
「ああ、約束だ」
「兄上と義姉上は本当に仲良しですね」
「レオ様」
「レオ。久しぶりだな」
「お久しぶりです、兄上。たった一年とはいえ、また兄上と一緒に生活できるようになって嬉しいです」
「俺もだ。よろしくな、我が弟よ」
「ふふ、はい」
「レオ様ー!お姉様ー!足が速いですー!置いていかないでー!」
「あ、やっときたわね」
「ルナ、ごめんね、久しぶりに兄上に会えるからつい」
「もう。お二人とも意地悪です。お久しぶりです、お義兄様」
「久しぶりだな、ルナ。ナターシャをよろしく頼むぞ」
「はい、もちろんです!悪い虫は寄せ付けません!」
「悪い虫?」
「お前は知らなくていい。それよりも、これから寮の説明会があるだろう。行かなくていいのか?」
「あ、そうでした!お姉様、行きましょう!」
「…せっかく会えたのに」
ぷいっとして、顔を背ける。レンは何故かまた赤面しつつ、私を抱きしめる。
「説明会が終わったらまた会えばいいだろ。機嫌を直してくれ、俺のナターシャ」
「…もう」
私は渋々レンから離れてルナと寮に向かう。
「…あれで無自覚なんですから、兄上も大変ですね」
「自覚してくれるまで待てる自信が正直無い」
「結婚するまで待てですよ」
「…ちっ」
「舌打ちしてもダメです」
という会話が後ろから聞こえたけど、なんのことだろう?
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