冗談のつもりでいたら本気だったらしい

なし崩し的にお付き合いするお話

結局のところ、ピーターくんのご実家の借金の話は本当だった。

手切れ金を受け取ったのも事実らしく、ピーターくんはどうしようもなくて私にはもう関わらないらしい。

私としてもピーターくんが結婚の話まで出ていたのに借金のことを教えてくれなかったことから、もうピーターくんを信用できないので結局正式に別れた。

そして何故か今は、めちゃくちゃ用意周到なグレイくんと同棲させられ婚約を結ばれている。

両親は幼馴染だしお金持ちだしで祝福していて、グレイくんのご実家も乗り気だ。

「葛藤してるのは私だけかぁ」

「そうだよ、だから早く俺を受け入れて」

ただいま私はグレイくんにラッコさん座りされ、好き好き攻撃されている。

だがまあ、グレイくんはある意味で不誠実なピーターくんから私を救ってくれたと言えなくもない。

おまけにイケメンでお金持ち。

変な意地を張らなければ、私はむしろ幸せ者と言えるだろう。

幼馴染との恋、ロマンではなかろうか。

「うー…」

「難しいことは考えないでさ、二人で幸せになろうよ」

ぎゅうぎゅうと私を抱きしめてくるグレイくん。

もういいかと、私は思考を手放した。

「…グレイくんは私のこと好き？」

「頭おかしくなるくらい好きだよ」

「じゃあ、好きになれるように頑張ってみる…」

そもそも変な意地を張らなければすぐにでも好きになれそうな相手ではあるが。

「本当！？嬉しい、愛してる！」

「うん、ありがとう」

絆されてしまえば幸せだろう、うん。

私はグレイくんを受け入れることにした。