とある鬼と雛鳥の話

雛鳥がぐずる

今日の夜は少し雛鳥の様子が違った。

何をするでもなくいつも通り添い寝して、ただ雛鳥の寝顔を見ていたのだが…雛鳥が寝苦しそうに顔をしかめた。

普段と違い寝汗もびっしょりとかいて、呼吸もどこか苦しそうだ。

悪夢を見ているのだと悟り、寝ているところに悪いが雛鳥を起こす。

「雛鳥、雛鳥。ねえ、起きて」

「う…うぅ…」

「起きてごらん、雛鳥」

「う…あ、ぁ…鬼灯様…？」

「そう、俺だよ」

ぎゅっと抱きついてくる雛鳥。

寝汗でぐっしょりなのも気にせず優しく抱きしめる。

「大丈夫、俺がいるからね」

「鬼灯様っ…」

怖がる雛鳥をなだめる。

大丈夫、お前には俺がいるのだから。

「ほら、大丈夫、大丈夫」

「…すぅ、すぅ」

「おや、また寝てしまった」

眠気には抗えないのか、雛鳥は落ち着いたらまたすぐに寝落ちしてしまった。

けれど今度は穏やかな寝顔で眠っていたので、少しほっとする。

雛鳥は幸せに、何も気にせず生きればいいのだ。