とある鬼と雛鳥の話

下菊みこと

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雛鳥を拾ってから

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雛鳥を拾ってからも俺のすることは変わらない。

土地代という不労所得で生活している俺は、その土地に何かあった時以外特に仕事などないから。

俺は普段は部屋で本を読んで過ごす。

雛鳥は部屋から出る様子もない。

だから基本、二人で過ごす。

その間も雛鳥は俺にキラキラした目を向けてくる。

「おいで」

「はい」

本をちょうど読み終わったところであれを呼ぶ。

素直に俺の足の間にちょこんと向かい合わせで座るので、言った。

「お前、読み書きは?」

「できません」

「なら絵本でも読み聞かせてやろうね」

俺は手元に置いておいた絵本を読んで聞かせる。

これは真剣に読み聞かせを聞いていて、こういうのもたまには悪くないと思えた。











しばらくの間、どうせ暇なのでこれに絵本の朗読を続けていた。

毎日毎日色々な絵本を読み聞かせていると、これは絵本の内容はもちろん文字の読み方も覚えてきた。

試しにもう使わないだろう古い紙と筆をくれてやれば、書く練習も始めた。

驚くことに地頭は良かったらしく読み書きは出来るようになってしまった。

教えるつもりはまったくなく、本当にただの暇つぶしだったが…これが出来ることが増えたのはなんとなくこちらにも達成感が湧く。

ならばとそろばんも教えてやれば、計算まで得意になった。

俺の拾った雛鳥は、鷹の雛だったかもしれない。
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