とある鬼と雛鳥の話

下菊みこと

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雛鳥を屋敷に上げる

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「お帰りなさいませ、旦那様」

「ただいま、みんな」

角は完璧に隠す。

優しく振る舞う。

面倒くさいが、必要なことだった。

「おや、それは…」

「ん?拾い物だよ」

…ああ、一応。

保険はかけなければ。

「日の光に弱い子だから、どうか外に出ようとしたら止めてあげて」

嘘っぱちも良いところだ。外に出さないための戯言。

しかし奴らは、欠陥品を見る目でこれを見つめる。

「…はい」

「あと、この通り。酷い目に遭ってきた子だから、必要以上に話しかけるのは禁止。まずは俺が安心を与えてやらねば」

なんとお優しい、と声が上がる。

うるさい。

一方であれはと言えば、俺の腕の中でおとなしくしている。

俺を見つめる目はキラキラしていて、嘘に対する抗議すら見えない。

「この子の部屋は…」

ちらりと見れば、キラキラとした目のまま怯えが滲む。

ひとりにしないで。

…馬鹿な子の馬鹿な望みが聞こえた気がした。

「…いいや。用意しなくて」

「では、物置にでもおきましょうか」

「俺の部屋で飼うよ」

ざわざわとうるさくなる。

あれはと言えば、驚いた表情のくせにキラキラが増す。

馬鹿だなぁ。

「いけません、旦那様…それは…」

「おや、俺に意見?」

優しげに微笑んだまま小首を傾げれば、全員が黙る。

わきまえているうちは、お前らと同じ人のふりをしてあげよう。

まあ、殺してしまってもいいけれど。

人の補充など、簡単だ。

愚かにもキラキラした目を向けてくるこれと、媚を売るだけで内心どう思っているかなどわかりきっている目障りな奴ら。

優先順位は、初めからつけている。

「今日からは、二人分。飯を部屋に運ぶように」

「…はい」

部屋に戻る。

これの服や必要なものはどうするか。

…いや、いらないな。

全部共有でいいだろう。

俺のものを、与えてやろう。
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