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後輩と再会
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「へえ、そんな良い定食屋さんあるんだ!」
「うん、退院したら一緒に行こう」
「もちろんいいともー!」
夏希から、昨日帰ってからの話を聞く。ふらっと入ったご飯屋さんが当たりだったらしい。めちゃくちゃボリュームがあって、美味しくて、安い。
良い店だなぁ、早く夏希と行きたいな!お持ち帰りもできるから安心して食べられるね!できたらその場で完食したいけど!
「そのあとは?」
「シャワー浴びて髪乾かして寝た」
「偉い!」
ちゃんとシャワーを浴びて髪を乾かして寝たなんて…いやまあ、普通に生きてれば普通のことだけども。今緊急事態で心が弱ってるから、よく頑張りましたと言えるはず。
「ふふ、ありがとう」
「じゃあ、今日は五分くらい入浴もしようか」
「え」
「入浴剤にはリラックス効果もあるでしょう?入って、お願い」
私が頼めば渋々と頷く夏希。
「それで朝は?」
「熟睡した後いつも通りに起きちゃったから、冷凍食品だけどちゃんと食べたよ」
「頑張ったね!良い子!」
「暇だったからサボってた洗濯をして干して、掃除をして冷凍食品買い溜めした」
「そっかそっか」
冷凍食品なんて夏希にしては珍しいが、あまりアレもコレもやると大変だからそのくらいでいい。うん。
「さすがに冷凍食品だけだとアレかなと思って、飲み物は野菜ジュース買い溜めした」
「偉い!」
「お昼は冷凍食品と野菜ジュースにして、あとは十四時まで暇だったから筋トレした」
「筋トレ?」
「ゆめを守れる男になるために」
そう言った夏希の目におふざけの色はなく、だから私は頷いた。
「頼りにしてるね」
「うん、今度こそ任せて」
その後はなんてことない他愛ない話をして過ごした。そして十八時を回るとご飯が来て、三十分頃に下げてもらったちょうどその時。
「ゆめちゃん先輩っ…」
里奈ちゃんもお見舞いに来てくれた。
「里奈ちゃん、こんばんは!来てくれて嬉しいよ!」
「ゆめちゃん先輩ーっ…」
また泣きじゃくる里奈ちゃんの頭を撫でる。本当は抱きしめたいけど身体が痛くてちょっと無理。
「ごめんなさい、ゆめちゃん先輩っ…私がもっと早くに駆けつけてたらっ…」
「いいんだよー、でもなんであの時…」
「ゆめちゃん先輩にあげようと思って買ってたチョコチップマフィン、あげ損ねたから急いで追いかけて、そしたらあの女が…」
「チョコチップマフィン!?」
パッと笑顔になった私に、里奈ちゃんもやっと笑う。
「ふふ、ゆめちゃん先輩ってばもう。元気になったらまた買ってきますから」
「うん!貰い損ねたのは今欲しい」
「ええ?いいですけど」
「ありがとう!お腹空いたら食べる!」
「ふふ、ゆめちゃん先輩は変わらないなぁ」
里奈ちゃんからお菓子をもらって大はしゃぎする。里奈ちゃんはそんな私が元気に過ごす様子に少し安心したらしい。酷い表情だったのに、今では憑き物が落ちたようだ。
「ふふ、里奈ちゃんは笑ってる方が可愛いや」
「えー、失礼なっ!私はどんな時でも可愛いゆめちゃん先輩の後輩ですっ」
「うんうん、でもやっぱり笑ってて欲しいな!無理のない範囲で!」
そう言って里奈ちゃんを撫でてあげたらまた泣き出したので、私のせいで色々ストレス溜まってたんだなぁと改めて反省した。
ちなみに夏希は空気を読んで静かに見守ってくれていた。ありがとう、助かるよ。
「うん、退院したら一緒に行こう」
「もちろんいいともー!」
夏希から、昨日帰ってからの話を聞く。ふらっと入ったご飯屋さんが当たりだったらしい。めちゃくちゃボリュームがあって、美味しくて、安い。
良い店だなぁ、早く夏希と行きたいな!お持ち帰りもできるから安心して食べられるね!できたらその場で完食したいけど!
「そのあとは?」
「シャワー浴びて髪乾かして寝た」
「偉い!」
ちゃんとシャワーを浴びて髪を乾かして寝たなんて…いやまあ、普通に生きてれば普通のことだけども。今緊急事態で心が弱ってるから、よく頑張りましたと言えるはず。
「ふふ、ありがとう」
「じゃあ、今日は五分くらい入浴もしようか」
「え」
「入浴剤にはリラックス効果もあるでしょう?入って、お願い」
私が頼めば渋々と頷く夏希。
「それで朝は?」
「熟睡した後いつも通りに起きちゃったから、冷凍食品だけどちゃんと食べたよ」
「頑張ったね!良い子!」
「暇だったからサボってた洗濯をして干して、掃除をして冷凍食品買い溜めした」
「そっかそっか」
冷凍食品なんて夏希にしては珍しいが、あまりアレもコレもやると大変だからそのくらいでいい。うん。
「さすがに冷凍食品だけだとアレかなと思って、飲み物は野菜ジュース買い溜めした」
「偉い!」
「お昼は冷凍食品と野菜ジュースにして、あとは十四時まで暇だったから筋トレした」
「筋トレ?」
「ゆめを守れる男になるために」
そう言った夏希の目におふざけの色はなく、だから私は頷いた。
「頼りにしてるね」
「うん、今度こそ任せて」
その後はなんてことない他愛ない話をして過ごした。そして十八時を回るとご飯が来て、三十分頃に下げてもらったちょうどその時。
「ゆめちゃん先輩っ…」
里奈ちゃんもお見舞いに来てくれた。
「里奈ちゃん、こんばんは!来てくれて嬉しいよ!」
「ゆめちゃん先輩ーっ…」
また泣きじゃくる里奈ちゃんの頭を撫でる。本当は抱きしめたいけど身体が痛くてちょっと無理。
「ごめんなさい、ゆめちゃん先輩っ…私がもっと早くに駆けつけてたらっ…」
「いいんだよー、でもなんであの時…」
「ゆめちゃん先輩にあげようと思って買ってたチョコチップマフィン、あげ損ねたから急いで追いかけて、そしたらあの女が…」
「チョコチップマフィン!?」
パッと笑顔になった私に、里奈ちゃんもやっと笑う。
「ふふ、ゆめちゃん先輩ってばもう。元気になったらまた買ってきますから」
「うん!貰い損ねたのは今欲しい」
「ええ?いいですけど」
「ありがとう!お腹空いたら食べる!」
「ふふ、ゆめちゃん先輩は変わらないなぁ」
里奈ちゃんからお菓子をもらって大はしゃぎする。里奈ちゃんはそんな私が元気に過ごす様子に少し安心したらしい。酷い表情だったのに、今では憑き物が落ちたようだ。
「ふふ、里奈ちゃんは笑ってる方が可愛いや」
「えー、失礼なっ!私はどんな時でも可愛いゆめちゃん先輩の後輩ですっ」
「うんうん、でもやっぱり笑ってて欲しいな!無理のない範囲で!」
そう言って里奈ちゃんを撫でてあげたらまた泣き出したので、私のせいで色々ストレス溜まってたんだなぁと改めて反省した。
ちなみに夏希は空気を読んで静かに見守ってくれていた。ありがとう、助かるよ。
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