30 / 79
勝手に孤立してろ
しおりを挟む
「…あ、あの、叶くんっ!」
「…」
あの女…桃とかいうぶりっ子に話しかけられるがガン無視する。…桃桃うるさいので苗字の方は覚えてない。
普段人当たりの良いフリをしている僕のその姿に、みんなひそひそと何か話しているが知らない。
「お、おい夏希ー、桃ちゃんが可愛そうだろー?」
他の同僚が僕を宥めようとするので、事実を告げる。これでぶりっ子女の肩を持つなら、僕はこいつとの付き合いをやめるだけだ。
「その女、昨日僕の彼女に『身の程知らず』とか言ってきたクズだし。関わりたくない」
ぴしゃりと言い放てば、ざわざわしていた職場が一気に静まり返った。
そして、一気に騒がしくなった。
「はぁ!?夏希に彼女!?」
「叶さん恋人いたの!?」
「てか人の彼女に身の程知らず、とかあり得なくね?」
僕に対しては好奇の目。そしてあの女には侮蔑の視線が注がれた。
「あの子、叶さんが好きだってうるさいくらいアピールしてたけど彼女既にいたとかウケる」
「いくら悔しいからって面と向かって身の程知らずとか、ブーメランすぎない?」
「自分が選ばれて当然とでも思ってたわけ?」
ひそひそと聞こえよがしに囁かれる悪口から逃げるように、あの女はオフィスから出て行った。誰も追いかけない。
「夏希ー、あとで彼女の話聞かせろよなー」
「お前幼馴染に一途とか言ってなかった?」
「その幼馴染とやっと付き合えた」
「マジ!?あれだけ脈なしだったのに!?」
「うるさい」
脈なし、というなら今だってそうだ。でも…手に入れた。囲い込む準備も着々と進んでいる。
だから、こんなところで邪魔されるわけにいかない。
ゆめにはまだ仕事を頑張るといったが、別に僕の仕事は最悪リモートワークだって、あるいは転職だって出来る。ゆめを傷つけかねないのなら、職自体は変えずとも…この職場にしがみつく気は無い。
「あの子、正直業務に関係ない絡みが多くて迷惑だったし。これで少しでも適切な距離をとってくれるといいけど」
「お前人当たり良いくせに幼馴染ちゃんが絡むと怖いよな…」
「いやでも実際桃ちゃんのあれはちょっと迷惑だろー」
「可愛いから許されてただけだよなぁ」
「僕にとって可愛いのは幼馴染だけだけど?」
僕の一言に「重っ…」とドン引きしている奴らだが、ぶりっ子女の肩を持つ気は無いらしい。
まだこの職場で仕事を続けられそうだ。ゆめを心配させずに済みそうでよかった。
「ただあんまプライベートでのいざこざを職場に持ち込むなよー」
「生活のための仕事なんだ。仕事のための生活じゃない」
「はいはい屁理屈こねないー」
同僚の一人、竜峰に言われる。言ってることは正しいが言うことを聞く必要はない。…が、頷いておく。
「…気をつける」
「おお、偉い偉い」
「兄貴面するなよ」
「兄貴もなにも同僚ですけど?」
きょとんとされるとムカつく。でも、仕事で助けられたりもしてるからぐっと飲み込む。
「はいはい」
「いつか幼馴染ちゃん、紹介しろよ」
「絶対やだ」
「なんでよ」
お前なんかを紹介したら、ゆめが靡いちゃうかもしれないだろ。
「…」
あの女…桃とかいうぶりっ子に話しかけられるがガン無視する。…桃桃うるさいので苗字の方は覚えてない。
普段人当たりの良いフリをしている僕のその姿に、みんなひそひそと何か話しているが知らない。
「お、おい夏希ー、桃ちゃんが可愛そうだろー?」
他の同僚が僕を宥めようとするので、事実を告げる。これでぶりっ子女の肩を持つなら、僕はこいつとの付き合いをやめるだけだ。
「その女、昨日僕の彼女に『身の程知らず』とか言ってきたクズだし。関わりたくない」
ぴしゃりと言い放てば、ざわざわしていた職場が一気に静まり返った。
そして、一気に騒がしくなった。
「はぁ!?夏希に彼女!?」
「叶さん恋人いたの!?」
「てか人の彼女に身の程知らず、とかあり得なくね?」
僕に対しては好奇の目。そしてあの女には侮蔑の視線が注がれた。
「あの子、叶さんが好きだってうるさいくらいアピールしてたけど彼女既にいたとかウケる」
「いくら悔しいからって面と向かって身の程知らずとか、ブーメランすぎない?」
「自分が選ばれて当然とでも思ってたわけ?」
ひそひそと聞こえよがしに囁かれる悪口から逃げるように、あの女はオフィスから出て行った。誰も追いかけない。
「夏希ー、あとで彼女の話聞かせろよなー」
「お前幼馴染に一途とか言ってなかった?」
「その幼馴染とやっと付き合えた」
「マジ!?あれだけ脈なしだったのに!?」
「うるさい」
脈なし、というなら今だってそうだ。でも…手に入れた。囲い込む準備も着々と進んでいる。
だから、こんなところで邪魔されるわけにいかない。
ゆめにはまだ仕事を頑張るといったが、別に僕の仕事は最悪リモートワークだって、あるいは転職だって出来る。ゆめを傷つけかねないのなら、職自体は変えずとも…この職場にしがみつく気は無い。
「あの子、正直業務に関係ない絡みが多くて迷惑だったし。これで少しでも適切な距離をとってくれるといいけど」
「お前人当たり良いくせに幼馴染ちゃんが絡むと怖いよな…」
「いやでも実際桃ちゃんのあれはちょっと迷惑だろー」
「可愛いから許されてただけだよなぁ」
「僕にとって可愛いのは幼馴染だけだけど?」
僕の一言に「重っ…」とドン引きしている奴らだが、ぶりっ子女の肩を持つ気は無いらしい。
まだこの職場で仕事を続けられそうだ。ゆめを心配させずに済みそうでよかった。
「ただあんまプライベートでのいざこざを職場に持ち込むなよー」
「生活のための仕事なんだ。仕事のための生活じゃない」
「はいはい屁理屈こねないー」
同僚の一人、竜峰に言われる。言ってることは正しいが言うことを聞く必要はない。…が、頷いておく。
「…気をつける」
「おお、偉い偉い」
「兄貴面するなよ」
「兄貴もなにも同僚ですけど?」
きょとんとされるとムカつく。でも、仕事で助けられたりもしてるからぐっと飲み込む。
「はいはい」
「いつか幼馴染ちゃん、紹介しろよ」
「絶対やだ」
「なんでよ」
お前なんかを紹介したら、ゆめが靡いちゃうかもしれないだろ。
11
お気に入りに追加
527
あなたにおすすめの小説
可愛い幼馴染はヤンデレでした
下菊みこと
恋愛
幼馴染モノのかなりがっつりなヤンデレ。
いつもの御都合主義のSS。
ヤンデレ君とそのお兄さんが無駄にハイスペックなせいで気付かないうちに逃げ道を潰される主人公ちゃんが可哀想かもしれません。
一応両思いなのが救いでしょうか。
小説家になろう様でも投稿しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
睡姦しまくって無意識のうちに落とすお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレな若旦那様を振ったら、睡姦されて落とされたお話。
安定のヤンデレですがヤンデレ要素は薄いかも。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
【完結】帰れると聞いたのに……
ウミ
恋愛
聖女の役割が終わり、いざ帰ろうとしていた主人公がまさかの聖獣にパクリと食べられて帰り損ねたお話し。
※登場人物※
・ゆかり:黒目黒髪の和風美人
・ラグ:聖獣。ヒト化すると銀髪金眼の細マッチョ
気付いたら最悪の方向に転がり落ちていた。
下菊みこと
恋愛
失敗したお話。ヤンデレ。
私の好きな人には好きな人がいる。それでもよかったけれど、結婚すると聞いてこれで全部終わりだと思っていた。けれど相変わらず彼は私を呼び出す。そして、結婚式について相談してくる。一体どうして?
小説家になろう様でも投稿しています。
【R18】いくらチートな魔法騎士様だからって、時間停止中に××するのは反則です!
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
寡黙で無愛想だと思いきや実はヤンデレな幼馴染?帝国魔法騎士団団長オズワルドに、女上司から嫌がらせを受けていた落ちこぼれ魔術師文官エリーが秘書官に抜擢されたかと思いきや、時間停止の魔法をかけられて、タイムストップ中にエッチなことをされたりする話。
※ムーンライトノベルズで1万字数で完結の作品。
※ヒーローについて、時間停止中の自慰行為があったり、本人の合意なく暴走するので、無理な人はブラウザバック推奨。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる