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兄様のお友達
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「いやぁ、今回はオレよく頑張ったよねー」
フレデリックの部屋で紅茶を飲みながら、アルフレッドは言った。
フレデリックも今回の件ではアルフレッドに感謝しているので同意する。
「ああ、礼を言う。おかげで聖女…元聖女を退けられた」
「いやー、骨が折れたよ。でも頑張った甲斐はあったかな。可愛い可愛いオーギュスティナちゃんを守れたし」
「…まだやらんぞ」
まだ、というあたり希望はあるかな…とアルフレッドは思う。
が、余計なことは言わずに微笑んだ。
アルフレッドは本気でオーギュスティナを欲しいからだ。
アルフレッドがオーギュスティナに心を奪われたのは、今から三ヶ月前のこと。
あのフレデリックが溺愛していると噂のオーギュスティナを一目見ようと屋敷に押しかけてきた日のことだ。
「やっほー、宣言通り遊びに来たよー」
「来ていいとは言っていない」
「まあまあ、そんなに怒んないでー。で、君の愛おしい妹君はどこ?」
勝手にずかずかと屋敷に入ってくるアルフレッドにフレデリックは呆れ果てる。
そしてアルフレッドは、運命の出会いを経験する。
「あれ?フレッド兄様のお友達ですか?」
鈴のような可憐な声。
声の聞こえた方に目を向ければ、まだ幼いというのに完璧なまでの美しさを持ち合わせた少女。
「はじめまして。私はフレッド兄様の妹のオーギュスティナと申します。よろしくお願いします」
まだ少したどたどしい様子でカーテシーをしてみせるオーギュスティナ。
その幼い様子にアルフレッドは心を奪われた。
「あ、えっと…アルフレッドです。よろしくね。よければアルって呼んでね」
「アル様、ですね」
にっこり笑うオーギュスティナに、胸が高鳴る。
十二歳も年の差があるのに、どうしてこんなにも魅力的に見えるのか。
「ティナはやらんぞ」
「え」
「お前のような女誑しではティナに相応しくない」
なんてことだ、好きな人の兄に反対されるなんて!
幸か不幸かオーギュスティナは女誑しという部分に反応を見せない。
とりあえず、まずはフレデリックからの好感度を回復しなければならないとアルフレッドは奮起した。
オーギュスティナのために、今までの爛れた女性関係の全てをきちんと整理した。
みんなに手切れ金を渡して、きちんとさようならしたのだ。
「ここまでしたら信用してくれるか?」
「なにかしらの形でティナのために尽くしてくれればな」
そして起こったのが聖女の一件だ。
アルフレッドはオーギュスティナのために頑張った。
フレデリックも、その頑張りは認めている。
アルフレッドがオーギュスティナに正式に婚約を申し込めば、オーギュスティナが嫌がらない限りは問題なく成立するだろう。
アルフレッドは、オーギュスティナとの日々を夢見て頬を緩ませる。それは二人の婚約が正式に決まる三日前のことだった。
フレデリックの部屋で紅茶を飲みながら、アルフレッドは言った。
フレデリックも今回の件ではアルフレッドに感謝しているので同意する。
「ああ、礼を言う。おかげで聖女…元聖女を退けられた」
「いやー、骨が折れたよ。でも頑張った甲斐はあったかな。可愛い可愛いオーギュスティナちゃんを守れたし」
「…まだやらんぞ」
まだ、というあたり希望はあるかな…とアルフレッドは思う。
が、余計なことは言わずに微笑んだ。
アルフレッドは本気でオーギュスティナを欲しいからだ。
アルフレッドがオーギュスティナに心を奪われたのは、今から三ヶ月前のこと。
あのフレデリックが溺愛していると噂のオーギュスティナを一目見ようと屋敷に押しかけてきた日のことだ。
「やっほー、宣言通り遊びに来たよー」
「来ていいとは言っていない」
「まあまあ、そんなに怒んないでー。で、君の愛おしい妹君はどこ?」
勝手にずかずかと屋敷に入ってくるアルフレッドにフレデリックは呆れ果てる。
そしてアルフレッドは、運命の出会いを経験する。
「あれ?フレッド兄様のお友達ですか?」
鈴のような可憐な声。
声の聞こえた方に目を向ければ、まだ幼いというのに完璧なまでの美しさを持ち合わせた少女。
「はじめまして。私はフレッド兄様の妹のオーギュスティナと申します。よろしくお願いします」
まだ少したどたどしい様子でカーテシーをしてみせるオーギュスティナ。
その幼い様子にアルフレッドは心を奪われた。
「あ、えっと…アルフレッドです。よろしくね。よければアルって呼んでね」
「アル様、ですね」
にっこり笑うオーギュスティナに、胸が高鳴る。
十二歳も年の差があるのに、どうしてこんなにも魅力的に見えるのか。
「ティナはやらんぞ」
「え」
「お前のような女誑しではティナに相応しくない」
なんてことだ、好きな人の兄に反対されるなんて!
幸か不幸かオーギュスティナは女誑しという部分に反応を見せない。
とりあえず、まずはフレデリックからの好感度を回復しなければならないとアルフレッドは奮起した。
オーギュスティナのために、今までの爛れた女性関係の全てをきちんと整理した。
みんなに手切れ金を渡して、きちんとさようならしたのだ。
「ここまでしたら信用してくれるか?」
「なにかしらの形でティナのために尽くしてくれればな」
そして起こったのが聖女の一件だ。
アルフレッドはオーギュスティナのために頑張った。
フレデリックも、その頑張りは認めている。
アルフレッドがオーギュスティナに正式に婚約を申し込めば、オーギュスティナが嫌がらない限りは問題なく成立するだろう。
アルフレッドは、オーギュスティナとの日々を夢見て頬を緩ませる。それは二人の婚約が正式に決まる三日前のことだった。
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お兄様とアルフレッドの
水面下での
激闘が幕を開けるのですね(笑)(((o(*゚▽゚*)o)))
感想ありがとうございます。アルフレッドはなかなかに手強そうです笑