至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

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聖剣発見です!

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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。修行から二日経ち、子供達と山を越えて谷に降り、少し歩いたところでエクレールちゃんが突然立ち止まります。

「エクレールちゃん?どうしたの?」

「あそこ!あの崖にあるよ!」

「え!?」

そこには確かに聖剣、サントテネーブルエペがありました。何故か断崖絶壁の崖に突き刺さるようにしてあります。でも、幸いにしてちょうどいい足場があります。

「とりあえず足場はあるし転移魔法で取ってくるね」

緊張します…。紐なしバンジージャンプになりませんように!

「待って!私も行く!そのために付いてきたんだから!」

エクレールちゃんは私に抱きついてきます。

「うん。じゃあ手を繋いで行こうか」

「…うん!」

無詠唱であの崖の上に転移します。

「…っ!」

エクレールちゃんは崖で怖がっているので急いで聖剣、サントテネーブルエペを引き抜きます。その瞬間、私の体が光に包まれます。聖剣サントテネーブルエペによる強制的な魔力の第二次覚醒です。

「…っ!」

体の中がぐるぐるする感覚を覚えます。光と闇が混じり合い、反発しあい呼応します。まだ魔力の制御が聞くうちにソルセルリー達の所に転移します。

「かはっ!」

エクレールちゃんを地上に無事届けた後、すぐに体の力が抜けて息が苦しくなります。みんなが心配そうにする中、一人だけ冷静なソルセルリーはファンに私の膨大な魔力を全部食べさせます。闇の魔力だけではなく、光の魔力も。

ー…

長い長い時間が過ぎてようやく落ち着きます。

「大丈夫か?」

「うん、なんとか」

気がついたらファンは本当に大きな、人一人なら乗せられそうな鳥に変化していました。

「クエー」

「ファン、ファンのお陰で助かったよ、ありがとう」

「クエー、クエー」

すりすりしてくるファンは大きくなっても可愛いです。

「お姉さん大丈夫!?」

「どこも痛くない?」

「くるしくない?」

「力はちゃんと入る?」

「しんどくないか?」

「もう大丈夫だよ、ありがとう」

子供達もみんな可愛いです!

「…さて、それじゃああとはさっさと転移魔法でソルシエールに行くか」

「はーい」

私が返事をするとソルセルリーは驚いたような表情になります。

「聖剣サントテネーブルエペを手に入れたんだぞ?」

「うん、えへへー。みんなのおかげだよ」

「…もう着いてくる必要ないだろう」

「乗りかかった船だから!」

私がそう言うと、ソルセルリーは呆れたようにため息をついて私の頭をなでなでと撫でます。

「ソルシエールに着いたら帰れよ」

「はーい!」

「じゃあ転移魔法を使うぞ」

そうして次の瞬間には、私達はソルシエールにいました。

「わあ、ここがソルシエール!」

「…すごぉい!本当に集落があるよ!」

「俺たち今日からここで暮らせるんだ」

「わあいやったー!」

「エクレール、やったな!」

「エタンセル、やったね!」

「お前らはこれから俺の知り合いの魔女に預ける。頑張れよ」

「はーい!」

ソルセルリーは子供達にそう伝えると私に向き合います。

「本当に短い間だったけどな。…お前はあんまり嫌いじゃない」

「…っ!ふふ、私も!」

「お姉さん、僕はお姉さんのこと大好きだよ、本当に短い間だったけど、エクレールを助けてくれてありがとう!」

「俺たちをここまで連れてきてくれてありがとう!」

「大好きだよ!お姉さん!」

「お姉さんのおかげで助かりました、ありがとう!」

「気をつけて帰ってね!」

「うん、私こそ短い間ありがとう!みんな元気でね、また会おうね!」

そうして私は、子供達とソルセルリーと別れて転移魔法で国に帰りました。

転移魔法でパパのお部屋に戻ります。

「…っ!メグ!」

「メグ!帰ってきたのね!」

「メグ姉さま!」

「ただいま、姉姫さま、ノル!パパ!」

「おかえり、待ってたぞ」

「おかえりなさい、メグ」

「メグ姉さま、おかえりなさい!ずっと待ってました!」

家族みんなで抱きしめ合います。そのまましばらく旅の話をして、落ち着いたところで聖剣サントテネーブルエペを見せます。

「聖剣サントテネーブルエペです。私の魔力の第二次覚醒を促してくれました」

「…これが聖剣」

「わあ、すごいですね!」

「もう第二次覚醒したのね、さすがだわ。メグ」

「これで魔王が我が国アルカンシエルに迫ってきたときに、討てます」

パパがごくりとつばを飲み込む。私がそんな危険な戦場に行くのが不安みたいです。

「大丈夫。ソルセルリーのおかげで強くなれたから」

「メグ…」

「メグ、私に出来ることはなにかない?なんでも言って」

心配そうな姉姫さま。

「姉姫さま、それなら私と一緒に魔獣退治をして欲しいです。あと、四天王や魔王と戦う時に私の回復をお願いしたいです」

私がお願いすると、ほっとした様子の姉姫さま。

「よかった。私も役に立てるのね」

「ぼ、僕にもできることはありませんか!?」

ノルが決心したように叫ぶ。

「じゃあ、これを」

「…!?サントテネーブルエペ!?なんで二本!?」

「こっちは模造品よ。これで姉姫さまを守ってくれる?」

「…っ!はい!」

私達の会話を聞いていたパパが立ち上がります。

「我が子がこんなに頑張っているんだ、俺もなにかしないとな」

パパはそういうと魔王征伐のための会議に行ってしまいます。

「メグ姉さま、家族三人水入らずで楽しみましょう!」

「あらあら、うふふ」

「じゃあとりあえず一緒に手合わせしようか」

久しぶりの家族との時間はやっぱり楽しいです!
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