至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

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虹の森探索です!

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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。今日はいよいよ本編の中でも重要なお話に差し掛かって来ました。虹の森探索です!

授業の一環で、危険な動物のいない安全な森を探索することになるのです。が、そこに何故か伝説上でしか存在しない筈の魔獣が現れるのです!原作では、第一次覚醒を経た姉姫さまの光の浄化魔法によって無事に終わるのですが、私が原作改変したためまだ姉姫さまは第一次覚醒を経ていないのです。私が姉姫さまを守らなければ!

ということで、早速虹の森探索スタートです!

「うふふ。私の可愛いメグ、そんな顔をしなくても虹の森は安全な場所よ。大丈夫」

私が緊張しているのを見て、姉姫さまが優しく声をかけてくれます。

「はい、姉姫さま」

さすがに今から危険な目に遭いますなんて予言めいたことは言えないので、とりあえず頷いておきます。

「まあ!メグ、見て!可愛らしいお花だわ!」

「わあ、本当ですね!一輪だけ貰っていきましょうか」

「いいわね、そうしましょう!」

「一緒にお部屋に飾りましょうね!」

「そうね!」

虹の森探索も途中までは安全に進むので、ちょっとだけ警戒を解いて姉姫さまとあれやこれやと花を摘んだり教科書と実物の生き物を見比べたりします。

そんなこんなで虹の森のだいぶ奥まで進んで来ました。…そろそろ、魔獣と出会す頃です。気を引き締めます。と、その時、叫び声が聞こえます。

「きゃー!魔獣、魔獣よー!逃げて、逃げてー!」

「た、助けてー!」

急に伝説上の生き物の名前が挙がって、最初は皆冗談だと思ったのか笑い合っていましたが、先生達が気配遮断魔法とステルス魔法を自分達生徒に掛けて、焦ったような顔で避難誘導をするのを見て皆顔が真っ青になります。先を行っていた皆が逃げ惑う中、私と姉姫さまだけは叫び声の中心へと向かいました。先生達が何か叫んでましたが気にしません。

「助け、助けてー!」

そこには今にも魔獣…毒蛇フォンセヴィペールが毒で麻痺して動けなくなった生徒を丸呑みにしようとしていました。もう何人かは飲み込まれてしまったようです。しかし、丸呑みにされているので今すぐ救助すればなんとかなりそうです。

「姉姫さま!私がフォンセヴィペールをなんとかしますから、麻痺して動けない生徒の誘導をお願いします!」

「で、でも…っ」

「でもはなしです!おそらく先生方は麻痺して動けない生徒は仕方無しに見捨てています!先生方は平民が殆どで、転移魔法を使えるような魔力は無いですから…だから姉姫さま!お願いします!」

「わ、わかった…メグ、危ない!」

「…っ!」

姉姫さまの説得に必死になっている間に、フォンセヴィペールの毒の霧に覆われます。しくじった!

「こっ…の!」

フォンセヴィペールの毒は即効性です。このままじゃ…誰も助けられない所か、私まで丸呑みに!

「い、いや…いや、やめて!私の可愛い妹を奪わないで!」

その時、姉姫さまの身体が光り出しました。そして、次の瞬間には眩い光が森全体を覆いました。

姉姫さまの、魔力の第一次覚醒です!

「姉姫さま!」

「メグ!」

姉姫さまの光の浄化魔法によって身体が再び自由になった私は、姉姫さまと抱きしめあいます。

他の生徒も身体が自由になったようで、目の前の光景に茫然としています。

さらに、フォンセヴィペールは姉姫さまの光の浄化魔法を受けて、跡形もなく消えます。丸呑みにされていた生徒達も無事です!

「姉姫さま、すごいです!」

「ま、まあ…そんなことないわ。ただ、メグを守らなきゃって必死で…」

「リュディヴィーヌ姫さま!ありがとうございます!」

「リュディー様!本当にありがとうございます!」

「あら、あらあら…」

救われた皆に囲まれて困惑気味の姉姫さま。さすが主人公…。私が出る幕もなかった。

「い、今の光は!?」

先生の一人が状況確認のためにこちらに来た。…ので、私が簡単に説明をする。

「そうか、リュディー様が…ありがとうございます、リュディー様。さあ、メグ様も皆も、避難しましょう。森が再び安全になったとは、言い切れませんから」

「はい、先生!」

「あの、メグ様も助けようとしてくださってありがとうございました!」

「え?いえいえ、私は姉姫さまの足を引っ張っただけですから…」

「まあ!そんなご謙遜を!勇敢にも魔獣に立ち向かうマルゲリット姫さまは素敵でしたわ!」

今度は私が皆に囲まれる。照れるー。でも嬉しい。

「さあ、皆様そろそろ」

「はい、先生!」

こうして虹の森探索は、なんとか無事に終わりました。

ー…

「そんなことがあったのか」

とりあえず学園に戻った後、私達は一旦家に帰されました。あまりにも衝撃的な出来事でしたから、当然なのでしょう。

「はい、まさか…伝説上の生き物である魔獣が現れるなんて…」

「…魔王復活、か」

難しい顔をして一言だけ呟くと黙り込むパパ。そう、これは、魔王復活の兆しなのです。…といっても、完全に封印が解かれた訳ではないのですが、パパが魔神殿に調査団を送る頃には封印も解けるでしょう。

…なぜ、私が事前に魔神殿の封印を強化しておかなかったかというと、封印だけではまた今回のようにいつか封印が解かれた時には魔王が復活してしまうからです。原作では魔王を封印していましたが、実は魔王を倒す手もなくはないのです。私は、そっちに賭けてみようと思います。

「まあ、魔王が復活してから力を蓄えるまでには時間も掛かるから、どうにかする方法を探ろうよ」

にっこりと笑ってパパを励ます。

「…ふ、メグは勝ち気だな」

「うふふ。でもメグの言う通りですわ。なんとかする方法を探しましょう」

「ただ封印するだけじゃダメだと思うんだ。伝説上の聖剣…サントテネーブルエペを探して、魔王征伐を目標にした方がいいと思う」

私がそういうと、パパと姉姫さまはきょとんとした後可笑しそうに笑いました。

「ふ、ふふふ。もう、メグったら本当に勝ち気ね!」

「それでこそ俺の子だ。…ふ、ははは。よし、ではその方針で事を進めよう」

二人とも失礼だと思う…むむむ。まあ、とにかく、これで魔王征伐に向けてことが進みました。頑張ります!

と、気合いを入れ直していると、部屋の扉をノックされました。どうぞと声をかけると、中に入ってきたのはシュテル様でした。

「メグ!」

シュテル様はパパと姉姫さまへの挨拶もそこそこに、私に怪我がないかボディーチェックをし、怪我がないと分かるやいなや私をぎゅうぎゅうと抱きしめました。

「メグ…良かった…メグ…」

「シュテル様…」

そうして、いい雰囲気になってきたところで…。

「ううん!」

パパが咳払いをしました。良い所だったのにー。
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