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王妃さまの処罰
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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。マノン妃の毒殺未遂の件、一番バレちゃいけない人にバレました。
「…パパ、あの」
「本当かと聞いている」
だめだ激おこだ、逆らっちゃだめだ殺される。
「はい、本当です!」
多分私、今顔色今までの人生で一番悪い。
「そうか。証拠は?」
「虹の雫なら、ママの遺体を調べればわかるかと。あとは…その年の王妃さまの、用途不明金を探るとか?」
「…出任せではないようだな。…お前達は、ここにいろ。決して王妃の宮には来るな」
「え?は、はい…」
「ちょ、ちょっと待ってくださいパパ!ママの件に関しては王妃さまと王妃さまの専属侍女しか知りませんからね!他の人まで巻き込んじゃダメですよ!」
「…お前の敬語、久しぶりに聞くな」
今それ触れる必要ある?
「あ、はい、そうですね」
「…はあ、安心しろ。何も宮内の人間全員を殺す気はない」
「人を殺す気はあるんですね…」
「…。リュディー」
「は、はい」
「…俺はこの部屋の前をたまたま通りかかっただけで、何も見ていないし聞いていない」
「え?」
「決してメグを心配したナディアに助けを求められて来たわけではないし、虹の雫なんて単語は聞いてもいない」
「…あの、」
「…姉妹喧嘩は、自分でなんとかしなさい」
「…!」
パパは私と姉姫さまの頭を撫でると、そのまま行ってしまいました。
「…メグ、あの」
「今日ここで起きたのは」
「え?」
「…ただの姉妹喧嘩です!仲直りしましょう!」
「…!メグっ…!」
その後泣きじゃくる姉姫さまとただ抱きしめあって一緒に泣いた。
ー…
「メグ…やっぱり私、自首した方がいいんじゃないかしら」
「王女の暗殺未遂なんて、いくら姉姫さまでも助かりませんよ。パパの好意に甘えてなかったことにしておきましょう。…ノルのためにも」
「…でも、お母様の件でどちらにせよ私達は処罰されるのではないかしら。寵妃暗殺なんて、あまりにも罪が重いもの。お母様一人の命で終わるとは思えないわ」
「姉姫さま…」
でも、パパはノルと姉姫さまをとても愛しているし、悪いようにするとは思えないけど…。
「…ねえ、メグ」
「なんですか、姉姫さま」
「…いつから、どうしてお母様の罪に気付いたの?」
げっ。
「…え、えーと、その」
「知っていて、私と仲良くしてくれていたの?」
「ま、まあ…」
…そうですね、としか。
「…ごめんなさいね、メグ。私、何も知らずに、貴女を傷つけてた」
「そんな!悪いのは王妃さまです!姉姫さまは何も悪くないです!」
「メグ…」
私達は手を取り合い、再びの姉妹愛を誓い合う。
「姉姫さま、大好きです。これからも姉姫さまとして、ずっと仲良くして欲しいのです」
「メグ…私も、メグが大好きよ。これからも妹として、ずっと可愛がらせて欲しいわ」
「姉姫さま、ずっとずっと仲良しでいましょうね」
「…ええ、貴女が赦してくれるなら」
こうして一件落着…なわけはなく。
「メグ様!大変です!国王陛下がご乱心です!」
「あー…」
…パパはマノン妃を深く愛している。それは今でも変わらない。となると当然。
「…それで、どうしたの?」
「王妃さまと、その専属侍女が国王陛下に!」
「わかった。すぐに行くね」
姉姫さまをぎゅっと抱きしめて離れる。
「姉姫さま、ここで待っていてください」
「メグ…でも」
「姉姫さまには多分、きつ過ぎると思います」
「…ええ、わかったわ」
そうして私は、王妃さまの宮に行きました。
「パパー!」
血溜まりの中で立っているパパに声をかける。
「…メグ。来るなと言っただろう」
「だってみんなが私に助けを求めて来るんだもん。…私の宮に帰ろ」
「ああ」
決して王妃さまと専属侍女には目を向けないように気を付けつつパパに話しかける。
「…パパ、証拠も調べずにやっちゃってよかったの?」
「別に、どうせやるならいつやっても関係ないだろう」
「信用してくれてるのは嬉しいけどさぁ。…というか普通、こういう時って即処罰じゃなくて離宮に隔離するとかさぁ」
「俺が我慢できると思うか?」
「…無理だね」
「だろう」
「でもどうするの?狂王扱いされるよ?」
「別にいい。今俺以外に王位につける人間はいないし、アルカンシエルを舐める奴らはいつも通りに潰せばいいだけだ」
「すごい自信…さすがパパだね」
「まあな」
でも、とパパは言う。
「もしかしたらあの女の実家が俺を排除して、ノルを王位につけて傀儡王にしようとするかもな」
「…どうするの?」
「爵位剥奪する」
「えっ…、ちょっと待って、それだとノルの後ろ盾が…」
「そもそも俺の寵妃を暗殺した女の息子って時点で後ろ盾なんてないに等しい」
「でも!」
「だが、俺はそれを公にするつもりはない」
「え?」
「俺は虹に愛された。急に狂って、王妃とその実家を排斥した。ただ、それだけだ」
ふう、とパパは髪をかきあげる。
「…。どちらにせよ、王位継承権を持つのはノルとリュディー、メグ、お前達だけだ。特にメグは平民の子だから後ろ盾はない。今までと何も変わらないさ」
「ぱ、パパ…」
ー…
結局。パパは王妃さまの実家の爵位を剥奪し、パパが狂ったと思って舐めてかかってアルカンシエルに攻め込んできたメテオリーテ国を滅ぼし、周りの国を戦々恐々とさせつつ、いつも通り悠々と過ごしている。
姉姫さまと私の関係も元に戻った。
ノルはパパの凶行に人間不信に陥ったものの、姉姫さまがこっそりと真実を教えて今は心のリハビリ中。
なんだかこの数日ですごく疲れた…。少し休みたいと思います。
「…パパ、あの」
「本当かと聞いている」
だめだ激おこだ、逆らっちゃだめだ殺される。
「はい、本当です!」
多分私、今顔色今までの人生で一番悪い。
「そうか。証拠は?」
「虹の雫なら、ママの遺体を調べればわかるかと。あとは…その年の王妃さまの、用途不明金を探るとか?」
「…出任せではないようだな。…お前達は、ここにいろ。決して王妃の宮には来るな」
「え?は、はい…」
「ちょ、ちょっと待ってくださいパパ!ママの件に関しては王妃さまと王妃さまの専属侍女しか知りませんからね!他の人まで巻き込んじゃダメですよ!」
「…お前の敬語、久しぶりに聞くな」
今それ触れる必要ある?
「あ、はい、そうですね」
「…はあ、安心しろ。何も宮内の人間全員を殺す気はない」
「人を殺す気はあるんですね…」
「…。リュディー」
「は、はい」
「…俺はこの部屋の前をたまたま通りかかっただけで、何も見ていないし聞いていない」
「え?」
「決してメグを心配したナディアに助けを求められて来たわけではないし、虹の雫なんて単語は聞いてもいない」
「…あの、」
「…姉妹喧嘩は、自分でなんとかしなさい」
「…!」
パパは私と姉姫さまの頭を撫でると、そのまま行ってしまいました。
「…メグ、あの」
「今日ここで起きたのは」
「え?」
「…ただの姉妹喧嘩です!仲直りしましょう!」
「…!メグっ…!」
その後泣きじゃくる姉姫さまとただ抱きしめあって一緒に泣いた。
ー…
「メグ…やっぱり私、自首した方がいいんじゃないかしら」
「王女の暗殺未遂なんて、いくら姉姫さまでも助かりませんよ。パパの好意に甘えてなかったことにしておきましょう。…ノルのためにも」
「…でも、お母様の件でどちらにせよ私達は処罰されるのではないかしら。寵妃暗殺なんて、あまりにも罪が重いもの。お母様一人の命で終わるとは思えないわ」
「姉姫さま…」
でも、パパはノルと姉姫さまをとても愛しているし、悪いようにするとは思えないけど…。
「…ねえ、メグ」
「なんですか、姉姫さま」
「…いつから、どうしてお母様の罪に気付いたの?」
げっ。
「…え、えーと、その」
「知っていて、私と仲良くしてくれていたの?」
「ま、まあ…」
…そうですね、としか。
「…ごめんなさいね、メグ。私、何も知らずに、貴女を傷つけてた」
「そんな!悪いのは王妃さまです!姉姫さまは何も悪くないです!」
「メグ…」
私達は手を取り合い、再びの姉妹愛を誓い合う。
「姉姫さま、大好きです。これからも姉姫さまとして、ずっと仲良くして欲しいのです」
「メグ…私も、メグが大好きよ。これからも妹として、ずっと可愛がらせて欲しいわ」
「姉姫さま、ずっとずっと仲良しでいましょうね」
「…ええ、貴女が赦してくれるなら」
こうして一件落着…なわけはなく。
「メグ様!大変です!国王陛下がご乱心です!」
「あー…」
…パパはマノン妃を深く愛している。それは今でも変わらない。となると当然。
「…それで、どうしたの?」
「王妃さまと、その専属侍女が国王陛下に!」
「わかった。すぐに行くね」
姉姫さまをぎゅっと抱きしめて離れる。
「姉姫さま、ここで待っていてください」
「メグ…でも」
「姉姫さまには多分、きつ過ぎると思います」
「…ええ、わかったわ」
そうして私は、王妃さまの宮に行きました。
「パパー!」
血溜まりの中で立っているパパに声をかける。
「…メグ。来るなと言っただろう」
「だってみんなが私に助けを求めて来るんだもん。…私の宮に帰ろ」
「ああ」
決して王妃さまと専属侍女には目を向けないように気を付けつつパパに話しかける。
「…パパ、証拠も調べずにやっちゃってよかったの?」
「別に、どうせやるならいつやっても関係ないだろう」
「信用してくれてるのは嬉しいけどさぁ。…というか普通、こういう時って即処罰じゃなくて離宮に隔離するとかさぁ」
「俺が我慢できると思うか?」
「…無理だね」
「だろう」
「でもどうするの?狂王扱いされるよ?」
「別にいい。今俺以外に王位につける人間はいないし、アルカンシエルを舐める奴らはいつも通りに潰せばいいだけだ」
「すごい自信…さすがパパだね」
「まあな」
でも、とパパは言う。
「もしかしたらあの女の実家が俺を排除して、ノルを王位につけて傀儡王にしようとするかもな」
「…どうするの?」
「爵位剥奪する」
「えっ…、ちょっと待って、それだとノルの後ろ盾が…」
「そもそも俺の寵妃を暗殺した女の息子って時点で後ろ盾なんてないに等しい」
「でも!」
「だが、俺はそれを公にするつもりはない」
「え?」
「俺は虹に愛された。急に狂って、王妃とその実家を排斥した。ただ、それだけだ」
ふう、とパパは髪をかきあげる。
「…。どちらにせよ、王位継承権を持つのはノルとリュディー、メグ、お前達だけだ。特にメグは平民の子だから後ろ盾はない。今までと何も変わらないさ」
「ぱ、パパ…」
ー…
結局。パパは王妃さまの実家の爵位を剥奪し、パパが狂ったと思って舐めてかかってアルカンシエルに攻め込んできたメテオリーテ国を滅ぼし、周りの国を戦々恐々とさせつつ、いつも通り悠々と過ごしている。
姉姫さまと私の関係も元に戻った。
ノルはパパの凶行に人間不信に陥ったものの、姉姫さまがこっそりと真実を教えて今は心のリハビリ中。
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