至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

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奴隷商を捕まえます!

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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。昨日は美しい妖精達の生誕祭を見られました。とっても綺麗で素敵で、嬉しかったです!

さて、今日からはまた学園生活が始まるのですが、早速今日姉姫さまのピンチが訪れます。今日は社会科見学と称して安全な地区に遊びに行く授業があるのですが、そこで偶然にも裏路地に迷い込んでしまった姉姫さまが奴隷商と客のやりとりを見てしまいます。そして急いで通信石を使ってエドモン国王にその現場を見せるのですが、それに気付いた奴隷商に捕まってしまいます。そして人質とされるのですが、そこで穢されそうになるのです。しかしそこで姉姫さまの魔力の第一次覚醒が起こり、奴隷商を退けられるのです。そしてエドモン国王に保護されます。ファンブックによるとここで第一次覚醒が起こらなくてもその内十八歳になるまでには普通に第一次覚醒は来るらしいので邪魔しても大丈夫でしょう。

ということで姉姫さまを守りつつ奴隷商を捕まえます!

「あら、あっちの方に子猫さんが…」

「姉姫さま、姉姫さま、あっちにはりんご飴がありますよ。ニコレット様と一緒に買って来てはどうでしょう?」

「まあ!行ってくるわ!」

早速迷子になりそうな姉姫さまを止めて、お友達の公爵令嬢さんに預ける。

「さてと…」

小説の内容的に、あの裏路地は…こっちか。…いた、奴隷商だ。客も…いる。通信石を使って…。

「パパ」

「どうした?メグ」

「アルカンシエルって奴隷売買禁止だよね?」

「もちろん。そういうのは好かん」

「あの人達の話、聞いてて。そのあとすぐに助けに来て」

「待て、また危ないことを…」

「いいから、ね?」

「…わかった。任せた」

「はーい」

可能な限り奴隷商達に近づいて会話を盗み聞きする。当然王城のパパにも筒抜けだ。

「お客さん、値切られても困りますよ。こいつは結構な上玉ですよ?」

「ああ、いい女だな。うちの娼館に是非欲しい。だがちょっと吹っかけすぎじゃないか?」

「…」

奴隷商に売られそうになってる女の子は黙って助けも呼べない。そう躾けられたんだろう。可哀想に…。

「奴隷一人に金貨一千万はなぁ」

「まあまあ、そう言わずに」

よっしゃ、奴隷って言葉が出た!これでパパが処罰できる!奴隷の子達も解放できる!

「お前、なにしてる!?」

げっ、見張りに見つかった!おかしいな、気配遮断魔法とステルス魔法は使ってあるのに。あ、もしかしてあのサングラス魔法具か!むむむ。

…逃っげろー!

「待てこのっ…!」

「どうした!?」

「貴族風の女が取引を見てました!」

「なに!?捕まえろ!」

うわぁんいっぱい手下が出てきたー!私は別に今日第一次覚醒起こさなくてもいいし、穢されたくもないのにー!もうやだー!

とりあえず身体強化魔法を使って全力疾走する。うわぁんパパ助けてー!シュテル様ー!

どすっ。

…?なんの音?

「俺の国で奴隷売買をするだけでは飽き足らず、俺の娘にまで手を出そうとは、余程命を捨てたいらしいな」

パパだー!

「パパー!」

後ろからパパに抱きつく。前を見てみると奴隷商の手下の一人が血を流して倒れてた。…見なかったことにしよう。大丈夫、多分生きてる。多分。

「まったく、また無茶をして。これからはもう少し後先を考えろ」

「はーい!」

でもパパがいればもう安心だよね!

「さて、死にたい奴からかかってこい」

奴隷商達は相手が誰だかわかったようで、逃げ出そうとするけれど唯一の出口はパパの後ろ。逃げられない。

結局、奴隷商達はそのまま投降し、捕まった。アジトもすぐに割れて(私が偶然聞いたってことにして告げ口した)奴隷達はみんな解放された。他の奴隷商達もすぐに捕まった。よきかなよきかな。

そして今は。

「この度は我が学園の授業で、姫さまを危ない目に合わせてしまい誠に申し訳ありませんでした!」

「口ではなんとでも言えるな」

「申し訳ございません!」

校長先生がパパと私に土下座してる。

「パパ、私が勝手に裏路地に入っちゃっただけだから…」

「うるさい。監督不行き届きが原因だろう」

パパ激おこだよ。どうしよう。

「お父様、校長先生を赦して差し上げて?」

「姉姫さま!」

「リュディー…」

「私も、可愛い妹から目を離してしまったもの。私のせいでもあるわ」

「…はあ、仕方ない。今回だけだぞ」

さすが姉姫さま!

「寛大な御心、ありがとうございます!」

「いい。俺は今機嫌が悪い。さっさと失せろ」

「はい!」

校長先生は逃げるみたいに帰っていった。

「お父様、ありがとう」

「パパありがとう!」

「別にいい」

「メグも、危ないことをしちゃだめよ?」

「はい!」

まあそんなこんなで今日も姉姫さまを危ない目に遭わせずにすみました!よかったです!
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