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アンディーヴ第二皇子の変化と嫌がらせ

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「リュリュ」

「はい、アンディー様」

あれから数日が経ち、今ではすっかりアンディーヴの側にいることが当たり前になったプリュネ。そのアンディーヴは今では部屋に引きこもることをやめて、乱暴な振る舞いもせず、毒を吐くこともなく、すっかり以前の優しい彼に戻っていた。レルザンとも日に何度か言葉を交わすくらいには仲直りしている。その様子を見てプリュネは満足気に微笑み、そんな彼女を見て何故か心が弾む自分を不思議に思っているくらいだ。

「今日のラッキーカラーをお願いします」

「えっと…こちらから一枚、カードを選んでくださいませ」

「これですかね」

「んーと…青がラッキーカラーですね」

「なら髪を括るリボンは青にします。ありがとう」

「お役に立てて何よりです!」

「リュリュ。執務の際は暇でしょう。お菓子を用意させたのでよかったら食べてください。僕も適当に食べます」

「ありがとうございます、アンディー様!」

リュリュは大好物のお菓子の山にすっかりご機嫌だ。そんな素直なリュリュに、アンディーヴは少しだけ心配にもなる。こんなに純粋で、誰かに目をつけられたりしたらどうするんだろう、と。そしてそれは更に数日経つと現実になる。

「リュリュ」

「はい、アンディー様」

「素直に答えなさい。僕の侍女達から嫌がらせを受けていますね?」

「え?」

プリュネには心当たりがない。だが、アンディーヴの顔は真剣そのもの。プリュネは必死に頭を回転させる。

「え?ではなく。物を壊されたり、変な手紙を送り付けられたりしたのでしょう?嫌がらせに参加していない侍女達が教えてくれました」

「…物を壊されたり、変な手紙を送り付けられたり?」

本当に覚えがない。むしろ、兄達からプレゼントや書き置きを貰ってルンルン気分だったくらいだ。

「…本当に覚えがないのですか?」

「はい。兄達からプレゼントや書き置きを貰ったりはしましたけど…」

「…あー。そういえば過保護な兄君がいるんでしたね。なるほど」

つまりは兄達が被害に遭った物を片付けて新しい物をプレゼントし、脅迫状を捨てて書き置きを残したりしていたのだろう。いや、一歩間違えればストーカーレベルじゃないのか?とは思うが、本人が気にしてないなら口を突っ込むのも野暮というもの。知らぬが仏という言葉もある。スルーしよう。

「…。そうですか。そうですね。僕の勘違いでした。すみません」

「いえ、そんな!」

まあ、嫌がらせをした侍女は把握している。どれも自分との恋愛結婚を目指して自ら侍女になった、貴族の若い娘ばかり。嫌がらせをしたことは伏せて、適当な理由をこじつけて彼女らの自尊心を傷つけないような形で解任すれば良い。しかし、彼女の兄達は余りにも過保護過ぎやしないだろうか…。いや、スルー。スルーしなければ。
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