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皇宮で働き始めます
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「フィー兄様ー!シャル兄様ー!リュー兄様ー!聞いてくださいませ、私宮廷占い師として認められましたのよ!」
プリュネが皇宮から帰ってきていたフィーグに抱きつきながら報告する。プリュネも今年で十八歳。結婚する歳なのだが、いかんせん彼女の縁談は全て兄達の手で邪魔されてきたので婚約者すらいない。そんなプリュネはそれをいいことにいつのまにか宮廷占い師の資格を得ていたようだ。そんなことは知らなかった兄達には寝耳に水である。
「は?お前も皇宮で働くの?」
「はい、宮廷魔術師である兄様達と一緒の場所で働けるのですよ!これからは住む部屋は違えど同じ皇宮で生活できるのです!今よりたくさん会えますね!」
「リュリュが…皇宮に…」
「はい!」
「フィー兄様、シャル兄様、僕はリュリュが心配です」
「安心しろ、俺もだ」
「僕も」
「?」
「いいか?リュリュ。もし知らない男に言い寄られたらすぐに俺にいうんだぞ」
「はい!」
「僕らの可愛いお姫様。男は狼だから、簡単に信用してはいけないよ」
「はい!」
「リュリュ。男はとっても怖い生き物だから、近付いちゃだめだよ」
「はい!」
大好きな兄達に念を押されて、素直に聞き入れるリュリュ。しかしその実意味は全くわかっていない。十八歳になったプリュネはそれはそれは美しく成長したが、その自覚はないし、男が近寄ってくる前に兄達が排除していたし、何より兄達がモテるモテる。何もせずとも異性が近寄ってくるのなんて普通のことだと思っているのだ。そういう意味では兄達の罪は重い。
「宮廷占い師ねぇ…担当は?」
「アンディーヴ第二皇子殿下です!」
「え」
アンディーヴと聞いた瞬間兄三人が固まる。
「あの捻くれ皇子か…リュリュ、担当は変えられないのか?」
「無理だと思います!」
「リュリュ、やめておかない?」
「嫌です!」
「リュリュ…せめて何かあったらすぐに言ってね?」
「はい!」
兄達の心配を他所にプリュネは兄達の勤める憧れの皇宮にわくわくしている。そんなプリュネを止められるほど兄達は強くない。
「いつから皇宮に来るんだ?」
「明日からです!」
「明日!?」
思ったよりはやくて兄達は焦る。が、今更である。
「お兄様、私からも会いに行きますが、たまには会いに来てくださいませね」
「…おう」
「わかったよ、リュリュ」
「必ず会いに行くよ」
「そうだ。どうせ俺達も明日からまた皇宮に行かなきゃならねーし、一緒に行くか」
「まあ!本当に?嬉しいです!」
プリュネのキラキラした笑顔に思わず兄達まで笑顔になる。そんなこんなでプリュネの皇宮勤めがスタートすることになった。
プリュネが皇宮から帰ってきていたフィーグに抱きつきながら報告する。プリュネも今年で十八歳。結婚する歳なのだが、いかんせん彼女の縁談は全て兄達の手で邪魔されてきたので婚約者すらいない。そんなプリュネはそれをいいことにいつのまにか宮廷占い師の資格を得ていたようだ。そんなことは知らなかった兄達には寝耳に水である。
「は?お前も皇宮で働くの?」
「はい、宮廷魔術師である兄様達と一緒の場所で働けるのですよ!これからは住む部屋は違えど同じ皇宮で生活できるのです!今よりたくさん会えますね!」
「リュリュが…皇宮に…」
「はい!」
「フィー兄様、シャル兄様、僕はリュリュが心配です」
「安心しろ、俺もだ」
「僕も」
「?」
「いいか?リュリュ。もし知らない男に言い寄られたらすぐに俺にいうんだぞ」
「はい!」
「僕らの可愛いお姫様。男は狼だから、簡単に信用してはいけないよ」
「はい!」
「リュリュ。男はとっても怖い生き物だから、近付いちゃだめだよ」
「はい!」
大好きな兄達に念を押されて、素直に聞き入れるリュリュ。しかしその実意味は全くわかっていない。十八歳になったプリュネはそれはそれは美しく成長したが、その自覚はないし、男が近寄ってくる前に兄達が排除していたし、何より兄達がモテるモテる。何もせずとも異性が近寄ってくるのなんて普通のことだと思っているのだ。そういう意味では兄達の罪は重い。
「宮廷占い師ねぇ…担当は?」
「アンディーヴ第二皇子殿下です!」
「え」
アンディーヴと聞いた瞬間兄三人が固まる。
「あの捻くれ皇子か…リュリュ、担当は変えられないのか?」
「無理だと思います!」
「リュリュ、やめておかない?」
「嫌です!」
「リュリュ…せめて何かあったらすぐに言ってね?」
「はい!」
兄達の心配を他所にプリュネは兄達の勤める憧れの皇宮にわくわくしている。そんなプリュネを止められるほど兄達は強くない。
「いつから皇宮に来るんだ?」
「明日からです!」
「明日!?」
思ったよりはやくて兄達は焦る。が、今更である。
「お兄様、私からも会いに行きますが、たまには会いに来てくださいませね」
「…おう」
「わかったよ、リュリュ」
「必ず会いに行くよ」
「そうだ。どうせ俺達も明日からまた皇宮に行かなきゃならねーし、一緒に行くか」
「まあ!本当に?嬉しいです!」
プリュネのキラキラした笑顔に思わず兄達まで笑顔になる。そんなこんなでプリュネの皇宮勤めがスタートすることになった。
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