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五歳の君に僕らは夢中!
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「フィー兄様ー、シャル兄様ー、リュー兄様ー、占いごっこしよー」
「リュリュ。今日は何の占いで遊ぶんだ?」
「今日はタロットー」
「おや、僕が買ってあげたタロット?嬉しいな」
「リュリュの占いはよく当たるから楽しみだなぁ」
「うふふー、当たるよー」
「そうだな、当たるもんな」
プリュネは五歳になった。側で見守ってきた兄達にとってはあっという間の成長である。銀に近い金色の髪に、赤い瞳。色は父親やフィーグに似ているが、顔立ちは母親やシャルドンに似て優しげで可愛らしい。魔法の適性も高く、この歳にしてもう初級魔法は使いこなせる。最近はよく占いごっこで遊ぶが、その精度は非常に高い。その類稀なる才能は、屋敷内では有名である。
「じゃあ、フィーグお兄様が次の魔術大会で優勝出来るか占ってくれ!」
「はい!…んーと、ここから一枚えらんでね」
「これだ!」
「んーとね…うん!油断しなければ勝てるよ!ただね、慢心するとダメだって」
「慢心ねぇ…まあ気をつけるか」
「うん…えーっとね、このカードから一枚えらんで」
「ん。これ」
「んーと…あ、うん。情熱の火が大事だって」
「情熱ね。まあ魔術大会にかける情熱は人一倍だぜ」
「じゃあ大丈夫だね!」
プリュネは嬉しそうに笑う。兄であるフィーグが大好きなのだ。
「じゃあ、リュリュ。次は僕を占ってくれるかな?」
「うん、いいよ!」
「婚約者に今度初めて会うから、どんな子か占って欲しいな」
「んーとね、ここから一枚ずつえらんでね」
「じゃあ、これとこれとこれ」
「んーとね…とっても可愛い子!でも、芯は強くて優しい子!」
「そっか。会えるのが楽しみになったよ、ありがとう」
シャルドンはプリュネの頭を撫でる。プリュネは気持ち良さそうに目を細める。
「リュリュ。僕も占って!」
「うん、いいよ」
「じゃあ、僕は…うーん…いつリュリュに婚約者が出来るか、とか」
「!?」
「リュー!?」
「いいよ!うーん、とね…ここから一枚えらんで!」
「これ!」
「えっとねー…十八歳だって!」
「ん?」
「大分遅いね…?」
「きっと僕達が何かしたのかなぁ…なんて…」
「あー、それだわ…」
「つまり邪魔すれば十八歳まで引き伸ばせるのか…」
「邪魔しなきゃ…」
「ん?」
「リュリュは気にしなくていいぞ」
「うん!」
そんなこんなで今日もプリュネはシスコンな兄達に囲まれて大切に甘やかされる。そのせいでプリュネは家族以外の男性を知らずに育つのだが、何も知らないプリュネはそれを変な事だと思わない。純粋培養で育ったお姫様は、一体どのような成長を遂げるのだろうか?
「リュリュ。今日は何の占いで遊ぶんだ?」
「今日はタロットー」
「おや、僕が買ってあげたタロット?嬉しいな」
「リュリュの占いはよく当たるから楽しみだなぁ」
「うふふー、当たるよー」
「そうだな、当たるもんな」
プリュネは五歳になった。側で見守ってきた兄達にとってはあっという間の成長である。銀に近い金色の髪に、赤い瞳。色は父親やフィーグに似ているが、顔立ちは母親やシャルドンに似て優しげで可愛らしい。魔法の適性も高く、この歳にしてもう初級魔法は使いこなせる。最近はよく占いごっこで遊ぶが、その精度は非常に高い。その類稀なる才能は、屋敷内では有名である。
「じゃあ、フィーグお兄様が次の魔術大会で優勝出来るか占ってくれ!」
「はい!…んーと、ここから一枚えらんでね」
「これだ!」
「んーとね…うん!油断しなければ勝てるよ!ただね、慢心するとダメだって」
「慢心ねぇ…まあ気をつけるか」
「うん…えーっとね、このカードから一枚えらんで」
「ん。これ」
「んーと…あ、うん。情熱の火が大事だって」
「情熱ね。まあ魔術大会にかける情熱は人一倍だぜ」
「じゃあ大丈夫だね!」
プリュネは嬉しそうに笑う。兄であるフィーグが大好きなのだ。
「じゃあ、リュリュ。次は僕を占ってくれるかな?」
「うん、いいよ!」
「婚約者に今度初めて会うから、どんな子か占って欲しいな」
「んーとね、ここから一枚ずつえらんでね」
「じゃあ、これとこれとこれ」
「んーとね…とっても可愛い子!でも、芯は強くて優しい子!」
「そっか。会えるのが楽しみになったよ、ありがとう」
シャルドンはプリュネの頭を撫でる。プリュネは気持ち良さそうに目を細める。
「リュリュ。僕も占って!」
「うん、いいよ」
「じゃあ、僕は…うーん…いつリュリュに婚約者が出来るか、とか」
「!?」
「リュー!?」
「いいよ!うーん、とね…ここから一枚えらんで!」
「これ!」
「えっとねー…十八歳だって!」
「ん?」
「大分遅いね…?」
「きっと僕達が何かしたのかなぁ…なんて…」
「あー、それだわ…」
「つまり邪魔すれば十八歳まで引き伸ばせるのか…」
「邪魔しなきゃ…」
「ん?」
「リュリュは気にしなくていいぞ」
「うん!」
そんなこんなで今日もプリュネはシスコンな兄達に囲まれて大切に甘やかされる。そのせいでプリュネは家族以外の男性を知らずに育つのだが、何も知らないプリュネはそれを変な事だと思わない。純粋培養で育ったお姫様は、一体どのような成長を遂げるのだろうか?
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