宮廷魔術師の家系に生まれて占いが得意になったので宮廷占い師になったら、何故かイケメンに囲まれてます!(旧、僕らの可愛いお姫様)

下菊みこと

文字の大きさ
上 下
2 / 21

五歳の君に僕らは夢中!

しおりを挟む
「フィー兄様ー、シャル兄様ー、リュー兄様ー、占いごっこしよー」

「リュリュ。今日は何の占いで遊ぶんだ?」

「今日はタロットー」

「おや、僕が買ってあげたタロット?嬉しいな」

「リュリュの占いはよく当たるから楽しみだなぁ」

「うふふー、当たるよー」

「そうだな、当たるもんな」

プリュネは五歳になった。側で見守ってきた兄達にとってはあっという間の成長である。銀に近い金色の髪に、赤い瞳。色は父親やフィーグに似ているが、顔立ちは母親やシャルドンに似て優しげで可愛らしい。魔法の適性も高く、この歳にしてもう初級魔法は使いこなせる。最近はよく占いごっこで遊ぶが、その精度は非常に高い。その類稀なる才能は、屋敷内では有名である。

「じゃあ、フィーグお兄様が次の魔術大会で優勝出来るか占ってくれ!」

「はい!…んーと、ここから一枚えらんでね」

「これだ!」

「んーとね…うん!油断しなければ勝てるよ!ただね、慢心するとダメだって」

「慢心ねぇ…まあ気をつけるか」

「うん…えーっとね、このカードから一枚えらんで」

「ん。これ」

「んーと…あ、うん。情熱の火が大事だって」

「情熱ね。まあ魔術大会にかける情熱は人一倍だぜ」

「じゃあ大丈夫だね!」

プリュネは嬉しそうに笑う。兄であるフィーグが大好きなのだ。

「じゃあ、リュリュ。次は僕を占ってくれるかな?」

「うん、いいよ!」

「婚約者に今度初めて会うから、どんな子か占って欲しいな」

「んーとね、ここから一枚ずつえらんでね」

「じゃあ、これとこれとこれ」

「んーとね…とっても可愛い子!でも、芯は強くて優しい子!」

「そっか。会えるのが楽しみになったよ、ありがとう」

シャルドンはプリュネの頭を撫でる。プリュネは気持ち良さそうに目を細める。

「リュリュ。僕も占って!」

「うん、いいよ」

「じゃあ、僕は…うーん…いつリュリュに婚約者が出来るか、とか」

「!?」

「リュー!?」

「いいよ!うーん、とね…ここから一枚えらんで!」

「これ!」

「えっとねー…十八歳だって!」

「ん?」

「大分遅いね…?」

「きっと僕達が何かしたのかなぁ…なんて…」

「あー、それだわ…」

「つまり邪魔すれば十八歳まで引き伸ばせるのか…」

「邪魔しなきゃ…」

「ん?」

「リュリュは気にしなくていいぞ」

「うん!」

そんなこんなで今日もプリュネはシスコンな兄達に囲まれて大切に甘やかされる。そのせいでプリュネは家族以外の男性を知らずに育つのだが、何も知らないプリュネはそれを変な事だと思わない。純粋培養で育ったお姫様は、一体どのような成長を遂げるのだろうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?

山科ひさき
恋愛
政略的に結ばれた婚約とはいえ、婚約者のアランとはそれなりにうまくやれていると思っていた。けれどある日、メアリはアランが自分のことを「わがままで傲慢」だと友人に話している場面に居合わせてしまう。話を聞いていると、なぜかアランはこの婚約がメアリのわがままで結ばれたものだと誤解しているようで……。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

美食家悪役令嬢は超御多忙につき

蔵崎とら
恋愛
自分が悪役令嬢だと気が付いているけれど、悪役令嬢というポジションを放棄して美味しい物を追い求めることにしました。 そんなヒロインも攻略対象キャラもそっちのけで珍しい食べ物に走る悪役令嬢のお話。 この作品は他サイトにも掲載しております。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

内気な貧乏男爵令嬢はヤンデレ殿下の寵妃となる

下菊みこと
恋愛
ヤンデレが愛しい人を搦めとるだけ。

【完結】お姉様の婚約者

七瀬菜々
恋愛
 姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。  残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。    サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。  誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。  けれど私の心は晴れやかだった。  だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。  ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

処理中です...