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みんなで添い寝をします!
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「アリスティア」
「どうしました?」
「…リュックのことなんだが」
クロヴィス様が、真剣な表情で僕に話しかける。どうしたんだろう?
「リュックも聞いてくれるか?」
「はい、ご当主様」
「あのね、リュックって隣国の皇子様なんだって!」
「え?」
「は?」
シエル様がにっこにこで言った言葉に僕とリュックは固まる。
「俺が隣国の皇子…?」
「…リュックは皇子様なの?え、僕皇子様を護衛につけてたの?」
「…アリスティア様、俺も混乱してるけどとりあえず落ち着いてくれ」
パニックになる僕と、それを宥めるリュック。見ればクロヴィス様も頭を抱えていて、平然としてるのはシエル様だけ。
「どこから話したものだか…」
「昔、隣国の皇太子…今の皇帝陛下の身分違いの恋人が身籠って、相手の婚約者に子供を殺されないようにってうちの国に逃げてきたんだって。それがリュックのお母さんだったって」
「そ、そうなんだ?」
わかっているのかわかっていないのか、あっけらかんと告げるシエル様。
「それでな、皇帝陛下は残念ながら子宝に恵まれていない。皇后陛下だけでなく側室も残念ながらまだ身籠ってない。そこでリュックを引き取りたいらしい。魔術で皇帝陛下との血の繋がりを調べた上で、だが」
「え、でもそれはリュックの意思と安全は保証されるの?大丈夫なの?」
「そうだな…皇后陛下も、さすがに皇帝陛下に御子がいないのを憂いていらっしゃるからリュックの出自は気になるだろうが害したりはしないだろう」
「そう…」
「それでね、リュックのことを明日迎えに来るって!よかったね、リュック!」
まさかの展開に僕は雷に打たれたようなショックを受ける。
「明日!?」
「ああ。リュック、心の準備をしておけ」
「はい、ご当主様」
「待って!リュックはそれでいいの!?」
リュックはにっこり笑って言った。
「良いも悪いも、逃げられそうにないし。ただ、本当はもうちょっとアリスティア様と一緒にいたかったけど」
「リュック…」
「ちなみに、リュックを保護した私達も明日から隣国に招待されるからそのつもりでな」
「え」
「特に、隣国では黒は聖者の色とされる。アリスはそれはもう大歓迎されるだろうから覚悟しておけ」
クロヴィス様の言葉に目を瞠る。
「黒が聖者の色!?」
「ああ。アリスの祖国でその昔暴れたらしい〝呪われた黒〟の原因となった聖女殿は隣国では大変活躍したらしいぞ?未だにめちゃくちゃ崇められている」
「えー…そうなの?」
なんだか凄いことになりそうです。
「うーん…そっかぁ…リュック」
「なに?アリスティア様」
「今日はさ、一緒に寝ない?」
「…え?」
「だって…明日からはリュックは隣国の皇子様で、もう添い寝とかする機会なくなっちゃうもん。最後に思い出作りにみんなでさ、一緒に寝よう?」
僕がそう言うと、今度はクロヴィス様が目を瞠る。
「待て、そのみんなには私とシエルも入るのか?」
「うん、もちろん!」
「わーい!アリスティアお兄ちゃんとお兄様と添い寝だー!」
「ほら、シエル様も乗り気ですし!」
「…あーもう仕方ない!」
こうして僕達は今夜、僕の部屋で一緒に眠ることになった。僕の隣にリュック、その隣にシエル様、その隣がクロヴィス様の順で寝る。
「アリスティア様のベッド、四人で寝ても余裕でスペース余るな…」
「そりゃあ公爵夫人の部屋だもの。ねー、アリスティアお兄ちゃん!」
「あはは。そうだ…ね?」
公爵夫人、と言われるとなんとも言えない。
「アリス」
「なんですか?クロヴィス様」
「なんだか…こういうのはすごく新鮮だ。少し戸惑ったが。…機会を与えてくれてありがとう」
「え?…えへへ、僕も新鮮です。楽しいですね!」
「そうだな。楽しい」
クロヴィス様は穏やかな表情。なんだか嬉しいな。
「ねえねえ、アリスティアお兄ちゃんはお兄様のこと好き?」
「うん、もちろんだよ!」
「…うーん、そういう意味じゃないんだけど。まあいいや」
「え?」
〝好き〟にどういう意味とかあるの?
「お兄様はアリスティアお兄ちゃんのこと大好きだもんねー?」
「…どういう意味だ?」
「ふふふー!リュックはどう思う?」
「…アリスティア様は可愛らしいし、お似合いだと思う」
「だよねー!」
シエル様がリュックの手を取ってブンブン振り回す。
「お兄様もリュックと同じくらい素直だったらいいのに」
「シエル、私は別にアリスのことは…いや、大好きというのは否定はしないが…」
「そんなこと言ってないで素直になりなよ、お兄様!」
「…ふふ」
「どうしたの?リュック」
リュックは僕に微笑む
「…俺、アリスティア様と出会えて本当に良かった。楽しい。幸せだ。…本当は離れたくないけど、でも、色々と本当に良かった」
「リュック…」
僕はリュックを抱きしめる。
「僕もリュックと出会えて本当に良かったよ。クロヴィス様のことを助けてくれたり、僕を庇ってくれたり、色々ありがとう。でもなにより、僕と出会って側にいてくれてありがとう」
「…うん」
リュックはぎゅっと僕にしがみつく。
「…大好き、アリスティア様。ご当主様も、シエル様も。みんな、大好きだ」
「そんなこと言わないでよ。泣いちゃうじゃん。僕だってリュックが大好きだよ!」
シエル様がリュックに後ろから抱きつく。
「シエル、泣くな。…リュック、本当に色々あったな。助けられたこともあった。…ありがとう、感謝している」
クロヴィス様がシエル様とリュックを包み込むように抱きしめる。
「…俺、皇子様として認められてもここでの生活を絶対忘れない。本当に、楽しかった。皇子様って言われても実感ないけど…皇子様になったら、アリスティア様達に恩返ししたいな」
「恩返し?…それなら、一つ約束して」
「なに?」
「どんな立場になっても、どんな場所で過ごすとしても。リュックはリュックの思うように、幸せに生きて」
「…難しい注文だなぁ。…でも、うん。約束だ。アリスティア様との約束は、絶対破らないよ」
大事な約束をして、明日に備えて僕らは眠りについた。明日は、リュックとのお別れだ。
「どうしました?」
「…リュックのことなんだが」
クロヴィス様が、真剣な表情で僕に話しかける。どうしたんだろう?
「リュックも聞いてくれるか?」
「はい、ご当主様」
「あのね、リュックって隣国の皇子様なんだって!」
「え?」
「は?」
シエル様がにっこにこで言った言葉に僕とリュックは固まる。
「俺が隣国の皇子…?」
「…リュックは皇子様なの?え、僕皇子様を護衛につけてたの?」
「…アリスティア様、俺も混乱してるけどとりあえず落ち着いてくれ」
パニックになる僕と、それを宥めるリュック。見ればクロヴィス様も頭を抱えていて、平然としてるのはシエル様だけ。
「どこから話したものだか…」
「昔、隣国の皇太子…今の皇帝陛下の身分違いの恋人が身籠って、相手の婚約者に子供を殺されないようにってうちの国に逃げてきたんだって。それがリュックのお母さんだったって」
「そ、そうなんだ?」
わかっているのかわかっていないのか、あっけらかんと告げるシエル様。
「それでな、皇帝陛下は残念ながら子宝に恵まれていない。皇后陛下だけでなく側室も残念ながらまだ身籠ってない。そこでリュックを引き取りたいらしい。魔術で皇帝陛下との血の繋がりを調べた上で、だが」
「え、でもそれはリュックの意思と安全は保証されるの?大丈夫なの?」
「そうだな…皇后陛下も、さすがに皇帝陛下に御子がいないのを憂いていらっしゃるからリュックの出自は気になるだろうが害したりはしないだろう」
「そう…」
「それでね、リュックのことを明日迎えに来るって!よかったね、リュック!」
まさかの展開に僕は雷に打たれたようなショックを受ける。
「明日!?」
「ああ。リュック、心の準備をしておけ」
「はい、ご当主様」
「待って!リュックはそれでいいの!?」
リュックはにっこり笑って言った。
「良いも悪いも、逃げられそうにないし。ただ、本当はもうちょっとアリスティア様と一緒にいたかったけど」
「リュック…」
「ちなみに、リュックを保護した私達も明日から隣国に招待されるからそのつもりでな」
「え」
「特に、隣国では黒は聖者の色とされる。アリスはそれはもう大歓迎されるだろうから覚悟しておけ」
クロヴィス様の言葉に目を瞠る。
「黒が聖者の色!?」
「ああ。アリスの祖国でその昔暴れたらしい〝呪われた黒〟の原因となった聖女殿は隣国では大変活躍したらしいぞ?未だにめちゃくちゃ崇められている」
「えー…そうなの?」
なんだか凄いことになりそうです。
「うーん…そっかぁ…リュック」
「なに?アリスティア様」
「今日はさ、一緒に寝ない?」
「…え?」
「だって…明日からはリュックは隣国の皇子様で、もう添い寝とかする機会なくなっちゃうもん。最後に思い出作りにみんなでさ、一緒に寝よう?」
僕がそう言うと、今度はクロヴィス様が目を瞠る。
「待て、そのみんなには私とシエルも入るのか?」
「うん、もちろん!」
「わーい!アリスティアお兄ちゃんとお兄様と添い寝だー!」
「ほら、シエル様も乗り気ですし!」
「…あーもう仕方ない!」
こうして僕達は今夜、僕の部屋で一緒に眠ることになった。僕の隣にリュック、その隣にシエル様、その隣がクロヴィス様の順で寝る。
「アリスティア様のベッド、四人で寝ても余裕でスペース余るな…」
「そりゃあ公爵夫人の部屋だもの。ねー、アリスティアお兄ちゃん!」
「あはは。そうだ…ね?」
公爵夫人、と言われるとなんとも言えない。
「アリス」
「なんですか?クロヴィス様」
「なんだか…こういうのはすごく新鮮だ。少し戸惑ったが。…機会を与えてくれてありがとう」
「え?…えへへ、僕も新鮮です。楽しいですね!」
「そうだな。楽しい」
クロヴィス様は穏やかな表情。なんだか嬉しいな。
「ねえねえ、アリスティアお兄ちゃんはお兄様のこと好き?」
「うん、もちろんだよ!」
「…うーん、そういう意味じゃないんだけど。まあいいや」
「え?」
〝好き〟にどういう意味とかあるの?
「お兄様はアリスティアお兄ちゃんのこと大好きだもんねー?」
「…どういう意味だ?」
「ふふふー!リュックはどう思う?」
「…アリスティア様は可愛らしいし、お似合いだと思う」
「だよねー!」
シエル様がリュックの手を取ってブンブン振り回す。
「お兄様もリュックと同じくらい素直だったらいいのに」
「シエル、私は別にアリスのことは…いや、大好きというのは否定はしないが…」
「そんなこと言ってないで素直になりなよ、お兄様!」
「…ふふ」
「どうしたの?リュック」
リュックは僕に微笑む
「…俺、アリスティア様と出会えて本当に良かった。楽しい。幸せだ。…本当は離れたくないけど、でも、色々と本当に良かった」
「リュック…」
僕はリュックを抱きしめる。
「僕もリュックと出会えて本当に良かったよ。クロヴィス様のことを助けてくれたり、僕を庇ってくれたり、色々ありがとう。でもなにより、僕と出会って側にいてくれてありがとう」
「…うん」
リュックはぎゅっと僕にしがみつく。
「…大好き、アリスティア様。ご当主様も、シエル様も。みんな、大好きだ」
「そんなこと言わないでよ。泣いちゃうじゃん。僕だってリュックが大好きだよ!」
シエル様がリュックに後ろから抱きつく。
「シエル、泣くな。…リュック、本当に色々あったな。助けられたこともあった。…ありがとう、感謝している」
クロヴィス様がシエル様とリュックを包み込むように抱きしめる。
「…俺、皇子様として認められてもここでの生活を絶対忘れない。本当に、楽しかった。皇子様って言われても実感ないけど…皇子様になったら、アリスティア様達に恩返ししたいな」
「恩返し?…それなら、一つ約束して」
「なに?」
「どんな立場になっても、どんな場所で過ごすとしても。リュックはリュックの思うように、幸せに生きて」
「…難しい注文だなぁ。…でも、うん。約束だ。アリスティア様との約束は、絶対破らないよ」
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