11 / 67
ブタエサという食べ物
しおりを挟む
「食物が総じて不作ですか」
「ああ、そうなんだ。農業国出身のアリスになら相談できるかと思ったんだが」
「そうですね…本当に一つも収穫出来てません?」
公爵家に嫁いで早々に、今年飢饉が起きそうだとクロヴィス様に相談された。
「ブタエサと呼ばれる植物の実以外は全部ダメだな」
「ブタエサですか?」
「毒があって食用に向かないんだ。家畜用の飼料にしかならない」
僕はクロヴィス様に迫る。
「クロヴィス様。僕は農業国出身です。そのプライドが有ります」
「あ、ああ」
「だからこそ自信を持って言いましょう」
僕は声を大にして宣言する。
「食べられないものは、食べられるように調理すれば良いのです!!!」
「え」
「せっかくの実りを無駄にしない!!!」
「あ…ああ、わかった…?」
ということで僕は、ブタエサとやらを見せてもらうことにした。
「とりあえず実物を見てみて、色々な調理方法を試してみましょう」
「飢饉が起きるよりはブタエサを食用に転用した方がマシだからな。実現できればいいんだが」
「大丈夫です。僕が腹を壊してでも実現させます」
「…無理だけはしないでくれ」
そして僕は、衝撃の光景を目にする。
「…く、クロヴィス様」
「ああ」
「これがブタエサですか…?」
「そうだ。やはり食用には向かないだろうか」
「…もったいなーい!!!」
僕は思わず叫んだ。クロヴィス様も、付いてきたポールさんも耳を抑えつつびっくりしている。でも、僕…そして一緒に来たマリスビリーはそれ以上にこの国の食文化に戦慄していた。
「坊ちゃん。これ、じゃがいもですよね。我が国のと品種は違うけど」
「マリスビリー。まさしくじゃがいもだよ!ああ、もったいない!宝の山なのに!!!」
「た、宝の山?」
「我が祖国とだいぶ離れたこの国です。食文化の違いは仕方ない。けれど、ブタエサと呼ばれるこの食物は我が祖国ではじゃがいもと呼ばれる人気の食材なのです!」
「人気の!?」
クロヴィス様は目を見張る。
「でも、クロヴィス様。チャンスです」
「え」
「これだけのじゃがいもがあれば、流通に問題はない。あとは、新たな食文化として広められれば飢饉が回避出来ます!さらにはビジネスチャンスです!」
「!!!」
「クロヴィス様。やりましょう」
僕が決意を持ってそう言えば、クロヴィス様は力強く頷いた。
「ああ。私達で、食の革命を起こそう」
「ああ、そうなんだ。農業国出身のアリスになら相談できるかと思ったんだが」
「そうですね…本当に一つも収穫出来てません?」
公爵家に嫁いで早々に、今年飢饉が起きそうだとクロヴィス様に相談された。
「ブタエサと呼ばれる植物の実以外は全部ダメだな」
「ブタエサですか?」
「毒があって食用に向かないんだ。家畜用の飼料にしかならない」
僕はクロヴィス様に迫る。
「クロヴィス様。僕は農業国出身です。そのプライドが有ります」
「あ、ああ」
「だからこそ自信を持って言いましょう」
僕は声を大にして宣言する。
「食べられないものは、食べられるように調理すれば良いのです!!!」
「え」
「せっかくの実りを無駄にしない!!!」
「あ…ああ、わかった…?」
ということで僕は、ブタエサとやらを見せてもらうことにした。
「とりあえず実物を見てみて、色々な調理方法を試してみましょう」
「飢饉が起きるよりはブタエサを食用に転用した方がマシだからな。実現できればいいんだが」
「大丈夫です。僕が腹を壊してでも実現させます」
「…無理だけはしないでくれ」
そして僕は、衝撃の光景を目にする。
「…く、クロヴィス様」
「ああ」
「これがブタエサですか…?」
「そうだ。やはり食用には向かないだろうか」
「…もったいなーい!!!」
僕は思わず叫んだ。クロヴィス様も、付いてきたポールさんも耳を抑えつつびっくりしている。でも、僕…そして一緒に来たマリスビリーはそれ以上にこの国の食文化に戦慄していた。
「坊ちゃん。これ、じゃがいもですよね。我が国のと品種は違うけど」
「マリスビリー。まさしくじゃがいもだよ!ああ、もったいない!宝の山なのに!!!」
「た、宝の山?」
「我が祖国とだいぶ離れたこの国です。食文化の違いは仕方ない。けれど、ブタエサと呼ばれるこの食物は我が祖国ではじゃがいもと呼ばれる人気の食材なのです!」
「人気の!?」
クロヴィス様は目を見張る。
「でも、クロヴィス様。チャンスです」
「え」
「これだけのじゃがいもがあれば、流通に問題はない。あとは、新たな食文化として広められれば飢饉が回避出来ます!さらにはビジネスチャンスです!」
「!!!」
「クロヴィス様。やりましょう」
僕が決意を持ってそう言えば、クロヴィス様は力強く頷いた。
「ああ。私達で、食の革命を起こそう」
463
お気に入りに追加
1,578
あなたにおすすめの小説
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

悪役令息に転生したので、断罪後の生活のために研究を頑張ったら、旦那様に溺愛されました
犬派だんぜん
BL
【完結】
私は、7歳の時に前世の理系女子として生きた記憶を取り戻した。その時気付いたのだ。ここが姉が好きだったBLゲーム『きみこい』の舞台で、自分が主人公をいじめたと断罪される悪役令息だということに。
話の内容を知らないので、断罪を回避する方法が分からない。ならば、断罪後に平穏な生活が送れるように、追放された時に誰か領地にこっそり住まわせてくれるように、得意分野で領に貢献しよう。
そしてストーリーの通り、卒業パーティーで王子から「婚約を破棄する!」と宣言された。さあ、ここからが勝負だ。
元理系が理屈っぽく頑張ります。ハッピーエンドです。(※全26話。視点が入れ代わります)
他サイトにも掲載。
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる