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縁談が舞い込んだ
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農作業を終えて屋敷に帰ったら、姉様から手紙が届いてた。お風呂に入ってご飯を食べて、部屋に戻ると読んでみる。すると、目玉が飛び出るかと思うほど驚くことが書いてあった。
『可愛い弟へ
突然ごめんなさいね。実はちょっと相談があるのよ。私、婚約を申し込まれて。
公爵家を若くして継いだ男なんだけど、そんな男と結婚したら私、侯爵家を継げないじゃない。
私、婿を取って侯爵家を継ぎたいのよ。そのための勉強もたくさん頑張ったわ。
だから…代わりに嫁いでくれない?
良い返事を期待して待ってるわ!じゃあまたね。
貴女のお姉ちゃん、アナイス・セレスト・カサンドルより』
…姉様。僕、男なんだけど。わかってる?
恐る恐る、同封されていた公爵様の小さめの絵と公爵様の名前やプロフィール、来歴が書かれた紙を見る。それを見るとみるみるうちに不安になる。我が祖国に最近出来た、ちょっと遠い同盟国。その国の公爵様だった。しかもその国の女王陛下の甥っ子さんだ。おそらく、有力貴族同士の婚姻により同盟の結びつきを強めるのが主目的。
…性別の問題はあるけど、でも侯爵家はたしかに僕より姉様が継いだ方がいいのはわかる。だって、姉様はそのために領地経営などを積極的に学んでいるのを僕は色んな人から聞いている。姉様は、素晴らしい人だって。そんな姉様の役に少しでも立てってみんなが言う。…僕が姉様のために役に立つ方法。公爵様を騙すのは気が引ける。だけど、僕にできることはこれしかない。
「爺ちゃん、婆ちゃん。夜分遅くに申し訳ないけど、ちょっと相談していい?」
「なぁに?可愛いアリスティア」
「どうした、何かあったか?」
「いやぁ、縁談が届いて」
「…え?」
ぽかんとする爺ちゃんと婆ちゃんに手紙を見せる。
「あらあら…まあまあ…」
「縁談自体はまあ、いいとして。…いや、色々良くない要素はあるんだが。この公爵様とやらの素性を書いてないじゃないか」
「あ、手紙と一緒に同封してあったちっちゃい絵と公爵様の来歴とかがあるよ」
「どれどれ…は?」
「クロヴィス・シリル・ドナシアンですって!?」
まあそういう反応になるよなぁ。ドナシアン様は我が祖国の新しい同盟国の公爵様。本人も優秀なことで有名で、公爵家自体も歴史がある。公爵様の国の女王陛下とも繋がりのある家だしなぁ。
「アリスティア、貴方相手が誰か理解してるの…?」
「婆ちゃんに教えてもらったから覚えてるよ。あの国の女王陛下の甥っ子さんでしょう?」
「大丈夫なのか?断ってもいいんだぞ。というか断るべきだ」
「うん…そうなんだけどね…僕ではとても侯爵家は継げない。姉様は侯爵家を継ぐために頑張ってきた。僕が家の為に出来ることは、このくらいだし」
「立派になって…」
婆ちゃんは心配そうだけども嬉しそう。爺ちゃんは悩んでる。だから僕は言った。
「僕、いつかきっとドナシアン様と仲良くなって、爺ちゃんと婆ちゃんみたいに将来は田舎で隠居するんだ!だから大丈夫!!!」
その言葉に爺ちゃんは僕を強く抱きしめる。
「辛くなったら、いつでも帰って来なさい」
「うん、でもきっと大丈夫だよ」
そう、きっと大丈夫だ。
『可愛い弟へ
突然ごめんなさいね。実はちょっと相談があるのよ。私、婚約を申し込まれて。
公爵家を若くして継いだ男なんだけど、そんな男と結婚したら私、侯爵家を継げないじゃない。
私、婿を取って侯爵家を継ぎたいのよ。そのための勉強もたくさん頑張ったわ。
だから…代わりに嫁いでくれない?
良い返事を期待して待ってるわ!じゃあまたね。
貴女のお姉ちゃん、アナイス・セレスト・カサンドルより』
…姉様。僕、男なんだけど。わかってる?
恐る恐る、同封されていた公爵様の小さめの絵と公爵様の名前やプロフィール、来歴が書かれた紙を見る。それを見るとみるみるうちに不安になる。我が祖国に最近出来た、ちょっと遠い同盟国。その国の公爵様だった。しかもその国の女王陛下の甥っ子さんだ。おそらく、有力貴族同士の婚姻により同盟の結びつきを強めるのが主目的。
…性別の問題はあるけど、でも侯爵家はたしかに僕より姉様が継いだ方がいいのはわかる。だって、姉様はそのために領地経営などを積極的に学んでいるのを僕は色んな人から聞いている。姉様は、素晴らしい人だって。そんな姉様の役に少しでも立てってみんなが言う。…僕が姉様のために役に立つ方法。公爵様を騙すのは気が引ける。だけど、僕にできることはこれしかない。
「爺ちゃん、婆ちゃん。夜分遅くに申し訳ないけど、ちょっと相談していい?」
「なぁに?可愛いアリスティア」
「どうした、何かあったか?」
「いやぁ、縁談が届いて」
「…え?」
ぽかんとする爺ちゃんと婆ちゃんに手紙を見せる。
「あらあら…まあまあ…」
「縁談自体はまあ、いいとして。…いや、色々良くない要素はあるんだが。この公爵様とやらの素性を書いてないじゃないか」
「あ、手紙と一緒に同封してあったちっちゃい絵と公爵様の来歴とかがあるよ」
「どれどれ…は?」
「クロヴィス・シリル・ドナシアンですって!?」
まあそういう反応になるよなぁ。ドナシアン様は我が祖国の新しい同盟国の公爵様。本人も優秀なことで有名で、公爵家自体も歴史がある。公爵様の国の女王陛下とも繋がりのある家だしなぁ。
「アリスティア、貴方相手が誰か理解してるの…?」
「婆ちゃんに教えてもらったから覚えてるよ。あの国の女王陛下の甥っ子さんでしょう?」
「大丈夫なのか?断ってもいいんだぞ。というか断るべきだ」
「うん…そうなんだけどね…僕ではとても侯爵家は継げない。姉様は侯爵家を継ぐために頑張ってきた。僕が家の為に出来ることは、このくらいだし」
「立派になって…」
婆ちゃんは心配そうだけども嬉しそう。爺ちゃんは悩んでる。だから僕は言った。
「僕、いつかきっとドナシアン様と仲良くなって、爺ちゃんと婆ちゃんみたいに将来は田舎で隠居するんだ!だから大丈夫!!!」
その言葉に爺ちゃんは僕を強く抱きしめる。
「辛くなったら、いつでも帰って来なさい」
「うん、でもきっと大丈夫だよ」
そう、きっと大丈夫だ。
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