上 下
59 / 60

流星群に願いを

しおりを挟む
今日はフェリクス様の公務の関係で、フェリクス様がうちに泊まることになった。それもフェリクス様の希望で私の部屋に泊まることが決まった。私達は結婚するまでは健全な関係でいるつもりなので無論そういうことはしない。

「ミレイ」

「なあに、フェリクス様…わ!」

フェリクス様が枕投げを仕掛けてきました。見事に私の顔面に命中。悔しいです。

「えいっ!」

私も応戦します。しかしフェリクス様はひょいと躱します。

「もう!えいっ」

「はは、それっ!」

「ちょっとは当たってください!」

「ミレイこそ!」

枕投げなんて子供っぽいなと思わなくはないですが、フェリクス様とならなにをしていても楽しいです。

「それっ」

「えいっ」

今度はお互いの顔面に命中。私達は思わず吹き出します。

「ふ、ふふふ…あはははは!」

「ははっ…ははははは!」

たくさん笑って落ち着くと、今度はフェリクス様に抱き寄せられます。

「いつまでもこうやって、馬鹿やってはしゃいで、仲良くしてくれる?」

「フェリクス様とならなにをしても楽しい自信があります」

「僕も」

「そういえば、今日は流星群が見れるそうですよ」

「知ってる。一緒に見たくて同じ部屋に泊まったんだよ」

「あ、そうだったんだ」

フェリクス様と一緒に窓辺で毛布にくるまって流星群を待ちます。するとフェリクス様が私をぎゅっと抱きしめてきました。

「寒いのは苦手だろう?抱きしめてあげる」

「ありがとうございます、フェリクス様」

大切そうに優しく、でも力強く抱きしめてくれるフェリクス様。幸せです。

「ねえ、フェリクス様は流れ星になにを願うんですか?」

「ミレイとずっとこうして一緒にいられますように、かな」

「私も、ずっとフェリクス様とこうして一緒にいられるように願いますね」

「絶対叶えようね」

「はい、絶対です!」

そうして私達は抱きしめ合いながら星の雨を待ちました。

「あ、流れ星!」

「お、始まったね」

「フェリクス様とずっと一緒にいられますように、フェリクス様とずっと一緒にいられますように、フェリクス様とずっと一緒にいられますように…」

「ミレイとずっと一緒にいられますように、ミレイとずっと一緒にいられますように、ミレイとずっと一緒にいられますように…」

「フェリクス様が他の女性に目移りしませんように、フェリクス様が他の女性に目移りしませんように、フェリクスが他の女性に目移りしませんように」

「ミレイがずっと僕のことを好きでいてくれますように、ミレイがずっと僕のことを好きでいてくれますように、ミレイがずっと僕のことを好きでいてくれますように」

「おばあちゃんになってもフェリクス様の好みの女性でいられますように、おばあちゃんになってもフェリクス様の好みの女性でいられますように、おばあちゃんになってもフェリクス様の好みの女性でいられますように」

「おじいちゃんになったらたくさんの孫に囲まれてミレイと笑って過ごせますように、おじいちゃんになったらたくさんの孫に囲まれてミレイと笑って過ごせますように、おじいちゃんになったらたくさんの孫に囲まれてミレイと笑って過ごせますように」

「よし、これで大丈夫ですね」

「もう少し見たらベッドに入ろう」

「ええ」

そうして私達は流星群を楽しんだ後ベッドに入りました。

ところが気持ち良く安心して眠りについたのに、私は怖い夢を見て飛び起きてしまいました。

「…っ!」

殺人鬼に襲われる夢でした。とても怖かったです。

「と、とりあえず今は…まだ三時…まだ寝なきゃだよね…また怖い夢をみたらどうしよう…」

「ん…ミレイ、どうしたの…?」

「フェリクス様。ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」

「僕は大丈夫だけど。それより君こそこんな時間にどうしたの?眠れないの?」

「殺人鬼に襲われる夢を見て飛び起きたんです。とっても怖くて…」

「あー…もう大丈夫だよ、ミレイ」

優しく抱きしめてくれるフェリクス様に安心します。

「眠れるまで話でもしよう。あ、抱きしめたまま寝てもいい?」

「逆にそこまでしてもらっていいんですか?」

「当たり前だろう?君の婚約者なんだから」

フェリクス様はそういうと本当に抱きしめたまま横になってくれます。フェリクス様の胸元に耳を当てると、心地良い鼓動が聞こえます。落ち着く…。

「あ、どうせなら腕枕しようか」

「はい」

腕枕をされ、更に抱きしめられ、私はもう夢の怖さなど忘れてときめいてしまいました。

「フェリクス様、大好きです」

「ん…僕も。ただ、こういう状況で言われるとうっかり手を出しそうだから…」

困ったように笑うフェリクス様。ごめんなさい。

「おやすみ、ミレイ」

「おやすみなさい、フェリクス様」

そうして私はぐっすり眠れたのでした。

そして朝、体をこちょこちょとされてくすぐったくて目が覚めます。

「ちょっとフェリクス様!」

「おはよう、ミレイ。よく眠れた?」

「おかげさまでよく眠れました。ありがとう。でもなんでこちょこちょするんですか!」

「はは、だってミレイが可愛い寝顔で寝てるのが悪い」

「理由になってないです!」

そんなこんなで今日もフェリクス様との一日が始まりました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

【完結】伯爵の愛は狂い咲く

白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。 実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。 だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。 仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ! そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。 両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。 「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、 その渦に巻き込んでいくのだった… アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。 異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点) 《完結しました》

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

処理中です...