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お披露目パーティーの準備

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今日は帝王学と哲学と魔法学の勉強をした。魔法学はなんと今日で終了した。これからは帝王学と哲学だけらしい。が、帝王学と哲学は全然進まない。むしろ初めて勉強し始めた時と同じページを延々と繰り返している。さすがにやばい。が、先生もヴィアベルも魔法学を身につけたことの方を喜んでくれている。

「姫様はやはり天才です!さすがは姫様!」

「やはり皇帝陛下の妹君だけはある!」

「いや…そんなでもないよ…」

むしろ帝王学と哲学がだめだめでごめんなさい。

「メーア」

「!お兄ちゃん!」

お兄ちゃんが迎えに来てくれたので走り寄る。

「お兄ちゃんが迎えに来てくれるなんて、どうしたの?」

「…」

「…お兄ちゃん?」

「うるさい奴がいてな」

「え?」

「お前のお披露目パーティーをする」

「!?」

なんですと!?まだダンスの練習なんて初めてすらいないよ!?

「ダンスは十六歳からだ。今回は本当にお前の存在を貴族共に知らせるだけだ。お前は俺の隣で座ってればいい」

「…ということはお兄ちゃんもダンスはまだ?」

「そうだ。パーティーとかでは出席だけだな」

「というかお兄ちゃん、婚約者とかいるの?」

「まだいない。そもそも執務や公務でそれどころじゃない」

「エスコートとかは?」

「お前が初めてだ」

「私の婚約者とかは?」

「まだ決めない。恋愛結婚でもしてろ」

「そっかぁ…」

質問攻めをした後取り敢えず黙る。

「ということでヴィアベル。こいつを磨きあげろ」

「はい!お任せください、皇帝陛下!」

「ええ…?」

ということで早速専属メイドのみんなに揉みくちゃにされることになった。

「さあ、まずは入浴をしましょう!」

「姫様はなにもされる必要はありませんよ」

「さあ、こちらに入浴してください!」

帝妹のお披露目パーティーということもあって専属メイドのみんなの気合いが違う。お風呂には何かの入浴剤と薔薇の花びらが入っている。気持ちがいい。お風呂でぬくぬくしている私とは対照的に専属メイドのみんなはすごく忙しく動き回る。

「さあ、シャンプー致しますね」

「お体も清めましょう」

「あ、ありがとう…」

迫力がすごい。怖い。逆らえない。

「さあ、リンスを使いますよ」

「美容パックでお顔もケアしましょう」

「う、うん」

いい加減のぼせそうなんだけど…。

ー…

「さあ、お風呂を上がりましょう」

やっとかぁ。

「続いてはマッサージです」

「え、まだあるの?」

思わず声に出す。

「当たり前です!姫様のお披露目パーティーなのですから!」

「むしろこれでも足りないくらいです!」

「そ、そっかぁ」

準備段階で疲れる…。まだ始まってもいないのにくたくただ。

「さあ、マッサージの後は御髪を整えますよ」

「あ、うん」

「こちらへおかけください」

「はい」

「姫様の御髪は綺麗なストレートですから、櫛通りがいいですね」

「これなら思ったより時間出来そう」

「そうだ!忘れてた、香水!」

「今日は薔薇の香りで!」

「はい、香水!」

「ありがとう!さあ、姫様、香水をつけますよ」

なんだろう…なんか…目が回る…。疲れた…。帝妹ってこんなに過酷なんだ…。

「ドレスは皇帝陛下に選んでいただいたこれでお間違いないですね?」

「ん?お兄ちゃんが選んでくれたの?」

「はい」

「じゃあそれでいいよ」

「ではこのドレスに合わせた装飾品を…」

「もうこっちに用意してあるわよ!」

「ありがとう!」

わあ。もうこんなに時間が経ってる。嘘でしょ。

「さあ、姫様。ドレスを着ましょう!」

「装飾品はこちらです」

「靴はこちらをどうぞ」

「わ、わかった!いっぺんに言わないで!」

焦るのはわかるけれども!

ー…

「…」

「姫様。鏡をどうぞ」

「…え。これが、私?」

「お美しいです、姫様」

すごく幼いけれど、こんなにきらきらしたお姫様が、私だなんて。

「…っ!みんな、ありがとう!」

思わず専属メイドのみんなにお礼を言います。

「素材がいいからこそです」

「姫様は本当にお美しいです」

専属メイドのみんなはべた褒めしてくれます。…でも、本当にそうかもと思うほど鏡の中の私は綺麗です。

「さあ、そろそろお時間です」

「いってらっしゃいませ、姫様」

「ふふ、本当にありがとう!いってきます!」

ヴィアベルと一緒にお兄ちゃんの所に行く。

「お兄ちゃん!」

「メーア。…見違えたな、可愛いぞ」

「本当に?ありがとう!お兄ちゃんも正装似合ってるよ、かっこいい!」

「こんなに可愛いお前をエスコートするんだ。カッコ良くなくてどうする」

「…!ありがとう、お兄ちゃん!」

あのお兄ちゃんにこんなに両手放しで褒められるなんて、本当に嬉しい。初めて会った時の冷たさが嘘みたい。

「えへへ。お兄ちゃん」

「なんだ?」

「大好きだよ」

「俺もだ」

髪型が崩れないようにそっと頭を撫でてくれるお兄ちゃん。でも、その手はすぐに引っ込む。やっぱりまだ完全には人間不信は治らないか。

「じゃあ、行くか。お手をどうぞ、マイレディー」

「はい、お兄ちゃん!」

ここから先はおそらく魑魅魍魎の跋扈する大人の世界。気を引き締めていかなければ…!
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