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私がお姫様?なにかの間違いでは?

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「おじいちゃーん!おばあちゃーん!」

「おお、おお。メーアは可愛いねぇ」

「メーアは私達の宝だねぇ」

メーアは平民の村娘。おじいちゃんとおばあちゃんが大好きな心の優しい女の子だ。実は彼女には地球という世界の日本という国で育った前世の記憶がある。その記憶によると、内原 海という名前で、高校三年生だったらしい。今のメーアはまだ五歳だが、高校三年生の自分との折り合いもついている。今の自分はメーアで、おじいちゃんとおばあちゃんの孫娘だと。そんなメーアは実は捨て子で、拾ってくれたおじいちゃんとおばあちゃんのために、五歳ながら毎日二人と一緒に働いて暮らしている。いつまでもこんな穏やかで幸せな日々が続くと信じていた。

ところがおじいちゃんとおばあちゃんはある日唐突に亡くなってしまう。老衰だった。苦しむことはなく、穏やかな最期であった。

メーアは子供のいなかった二人を看取ることができ、なけなしのお金で葬儀も済ませお墓も用意したものの、そのせいで一文無しに。しかし周りの村人はメーアを憐れに思い仕事をくれるので、なんとか生きていけた。

「メーアちゃん、草むしりを頼めるかな?」

「はい!一生懸命頑張ります!」

「メーアちゃんは偉いねぇ」

家族は失ったものの、優しい村人たちから愛されてメーアはけして不幸ではなく、これからもこの村で生きていくのだろうと漠然と思っていた。

「ここがメーアの居る村か…おい、メーアを連れて来させろ」

「はい、陛下!」

「…メーアちゃんかな?」

「…お兄さんだあれ?」

「君のお兄様の執事だよ」

「メーアの…お兄様?」

メーアは自分におじいちゃんとおばあちゃん以外の家族がいたことに驚いた。そして、捨てられたはずの自分を迎えに来たことにも驚いた。だが、素直に兄のところに執事と名乗った人と向かう。執事を雇っているということは、お金持ちか貴族だろうか?

メーアが兄のところに向かうと、村人たちは若い身なりの良い男に跪いていた。そして金貨をたくさんもらっている。

「…お前がメーアか」

「は、はい!」

「こんな寂れた村にいたなら知らないだろうがな。俺はお前の兄であり、この国の皇帝、ヒンメル・ファタリテートだ」

「…え、皇帝、陛下?」

「そうだ。そしてお前は帝妹、メーア・ファタリテートだ。連れ帰り、相応しい待遇を受けさせる。来い」

「で、でも…」

「来いと言っている」

ヒンメルに睨まれ、メーアは縮み上がり素直にヒンメルの元へ行く。

「村人たちにはお前を育てた礼は渡した。この村に未練など持つなよ」

「はい…」

ヒンメルに抱き上げられて馬車に乗せられる。初めて訪れた宮殿はとても煌びやかで、広くて…怖かった。
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