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第二王子殿下の愛情

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第一王子殿下にいってらっしゃいの挨拶をした第三王子殿下は、日課のお散歩も終わって部屋に戻ってきた。

今では必要ないであろうマッサージだが、第三王子殿下の希望で今も続けている。

「第三王子殿下、気持ちいいですか?」

「んんっ…気持ちいい…」

一時間ほどマッサージをして、その後二人で手を繋いで食堂へ。昼食も全てぺろりと平らげた第三王子殿下は、お部屋に戻って私と一緒に本を読む。

今第三王子殿下が読んでいるのは絵本ではなく子供向けの小説。とうとう絵本も卒業したのです!

半年間絵本もたくさん読んだので、お話を追うのは苦手ではない第三王子殿下。読み書きは完璧なので、本を読むのも子供向けの話であればなんのその。

「…アンナ、この本すごく面白いよ!」

「それは良かった」

「この猫が実は魔法が使えるんだ!すごいよね!」

「はい!素敵なお話ですね!」

第三王子殿下が嬉々として挿絵の猫ちゃんを見せてくれる。可愛い。

読書は国語の勉強にもなるし、色々と知識の幅も広がる。想像力や発想力、表現力なんかも鍛えられるはずなので、これからも目が悪くならない程度にどんどん読んでもらうつもりだ。

「サーミュエル!おはよう」

「ラファエルお兄様!おはよう!」

そこに第二王子殿下がいらっしゃった。

「今日も読書か?偉いな、サミュエルは。きっと将来はめちゃくちゃ頭良くなるぞ」

「えへへ、うん!」

「将来は兄上にすら負けないかもな」

そんなことを言いつつ第三王子殿下の頭をポンポンと撫でる。

「おっと、アンナもおはよう。元気か?」

「おはようございます!元気です!」

「はは、よかったよかった」

第二王子殿下も、この半年でさらに成長なさった。恵まれた体格はさらに鍛えられ、今では忖度なしで無敗の強さを誇る…らしい。鍛錬を見に行くことはないからこの目では見ていないけれど。

勉強も頑張っていらっしゃると聞く。第一王子殿下には敵わないと自分でおっしゃっていたけれど、充分すごいと聞いている。

「なあ、サミュエル。もし、本宮か離宮か選べるならどっちがいい?」

「え?」

「本宮に来るとしても、アンナは付いてくるって前提で。どっちがいい?」

第三王子殿下はいきなりの質問にぽかんとする。

「…んー。アンナがいるならどっちでも。でも、本宮に行けばラジエルお兄様やラファエルお兄様と一緒にいられる?」

「そうだな」

「じゃあ本宮に行きたいかな」

私は思わず第二王子殿下の顔を見る。第二王子殿下もこちらを向いて、顔を見合わせて頷きあった。

「…二人ともどうしたの?」

きょとんとした第三王子殿下の頭を撫でる第二王子殿下。

「まあ、心配しなくていい。俺と兄上に任せておけばいい」

「?」

ああどうか、第一王子殿下と第二王子殿下の提言が採用されますように。
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