私の婚約者が完璧過ぎて私にばかり批判が来る件について

下菊みこと

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婚約者のライバルである友達と放課後

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放課後になりました。ノアが教室まで迎えに来てくれます。

「ユリア!迎えに来たよ!一緒に帰ろう!」

ノアの所に向かおうとした時、ハリーが私の手を掴んで一緒にノアの所へ行きます。

「ハリー?どうかしましたか?」

「ユーナはいつもノアと一緒に帰っているんだよね?」

「はい、一緒に登下校しています」

「ねぇ、今日は僕と一緒に帰って欲しいんだけどダメかな?」

ハリーが期待に満ちた目で私を見つめてきます。ハリーとノアは仲がいいようですし、お友達の誘いを断る理由もありません。ハリーはクラスの王子様とはいえ、同性のお友達ですから特別変な噂が立つ心配もないはずです。

「ノアが許してくれれば大丈夫ですよ!一緒に帰りましょう!」

「それはよかった。ありがとう、ユーナ」

「どういたしまして」

二人でノアの所に向かいます。

「…?なんでハリーも一緒にいるの?」

「ノア、今日はハリー様と一緒に帰るわ」

「え!?なんで!?せっかくのユリアとの二人っきりの時間が…!」

「ふふ。ユーナと放課後デートを楽しもうと思ってね」

「ちょっと!婚約者である僕を無視して何勝手な約束してるの!大体僕だってユリアと放課後デートしたい!」

「すまないが今日は譲ってくれないか?フェアにいくんだろう?」

「もー!あんなこと言うんじゃなかった!」

ノアが荒れに荒れています。ごめんね、ノア。

「ノア、今日だけなのだし特別に許してくれてもいいじゃない。ね?」

「……………………ユリアがそういうなら。でも、明日は僕と放課後デートしてね?」

「もちろんよ」

「わーい!ユリアありがとう!」

ノアが感激したように私に抱きついています。

「…見せつけてくれるね。さ、ユーナ。僕と放課後デートに行こう」

「はい、ハリー。でも放課後デートってなんですか?」

「ふふ。平民の間では放課後に友達や恋人と一緒に家に帰りつつ、寄り道をするのが流行っているんだよ」

「まあ!お友達と寄り道…!」

それってすごくお友達っぽい!素敵な一日になりそう!

「じゃあユリア、ハリーがいれば大丈夫だと思うけど気をつけてね」

「わかってるわ。ノアったら心配性なんだから」

「ふふ。僕が大切にエスコートさせてもらうから大丈夫だよ」

「それはそれでむかつく」

「もう、ノアったら!」

「じゃあ早速行こうか、お姫様?」

ハリー様はそういうと私に手を差し伸べてくれます。私はその手を取り、ハリー様にエスコートしてもらいながら教室を後にします。

「きゃー!みて!ハリー様が女生徒をエスコートしているわ!」

「あれって確かノア様の婚約者じゃない!」

「羨ましいわ!」

「ずるいわ!」

「ハリー様ー!私もエスコートしてくださいませー!」

ハリー様にエスコートされていると、周りから黄色い声が聞こえます。それに対してハリー様は笑顔で応えます。

「ごめんね、愛らしい人。今日は先約があるんだ。また今度ご一緒させておくれ」

「きゃー!今の聞いた!?」

「愛らしい人ですって!」

「ハリー様かっこいいわ!」

改めてハリー様の人気を実感します。すごい。

「ユーナ?」

「…あ、ごめんなさい。ハリーはみんなに愛されているのだなと思って」

私がそういうと、ハリーは私の耳に口を寄せて小さな声でいいました。

「僕はユーナを愛しているよ」

ハリーったら冗談もお上手なのね。

「ふふ。ハリーったら」

「冗談ではないんだけどね」

「ふふふ、もう」

「…ユーナは意外と手強いなぁ」

「え?」

「ふふ、なんでもないよ。さあ行こう」

「ええ、とても楽しみだわ」

「僕もだよ」

そうして楽しく話しながら街に向かって歩いていきます。放課後デート、楽しみです!
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