私の婚約者が完璧過ぎて私にばかり批判が来る件について

婚約者と噂話

あれから何日か経ちました。ルーク様と毎日のように一緒に登下校したり、休み時間を一緒に過ごしたり、お食事を一緒にしたりしてきました。もちろん、登下校はノアと一緒に、お食事はノアとアベル様と、アリア様と一緒に。贈り物もたまに渡されそうになりましたが、その都度断っていました。

私はルーク様との今の距離が近いとは思っていなかったのですが、周りから見るとそうではなかったようです。その証拠に、私とノアとルーク様とアリア様に悪い噂が立っています。

「聞かれました？ユリアナ様とルーカス様のお話」

「ええ、聞きましたわ。なんでもノア様というものがありながらルーカス様と火遊びされているとか」

「まあ！なんて嘆かわしい！」

「ユリアナ様、最低ですわ！」

「私だったらノア様のような素敵な方を裏切るなんて考えられないです！」

「私もよ！」

「私も！」

「でも、あのルーカス様の美貌ですもの…ユリアナ様のお気持ちもわかりますわ」

「ルーカス様も伯爵令息ですもの。いっそお似合いなのでは？」

「確かにあの二人がくっついた方が丸く収まる気もしますわね」

「元々侯爵令嬢のアリア様がノア様の婚約者候補の筆頭だったのですもの」

「アリア様は容姿端麗、成績優秀、学園の中でももっとも秀でたお方」

「最近ではノア様と一緒に過ごしている姿もお見かけしますわ」

「収まるところに収まった形なのでは？」

ノアなら私を裏切ったりしないし、私もノアを裏切ったりしない。でも、周りの見る目を考えて行動していればこんな根も葉もない噂なんてされなかったのです。私の責任です。

「…ユリちゃん、大丈夫？」

「いえ、大丈夫です。でも、ルーク様に迷惑をかけてしまってすみません」

ルーク様はにこにこと笑って許してくれます。

「そんなの気にしないで、俺達友達だろ？」

「ルーク様…」

「まあただ、アリア様が噂話を聞いてすっかりその気になってるみたいだから、それだけは心配だけどね」

「そんな！」

「…まあでも、もしそんなことになったらちゃんと俺が責任をとるよ」

「え？」

「俺がユリちゃんを幸せにするってこと」

周りに聞こえないように小声でそう言うルーク様。冗談が上手いなぁ。

「ふふ。ルーク様ったら」

「…ま、とにかく。だから大丈夫だよ、ユリちゃん」

「はい！」

ルーク様の冗談でちょっと元気が出ました。でも、これからは噂されるような下手な行動は慎まないと。