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婚約者と夜会に出ましたがいつの間にか断罪劇に変わっていました

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今日は王太子殿下が出席される夜会にノアと一緒に出ています。もちろんノアのエスコートで。はい。早速ベル様と逆ハーレムメンバーの皆様に絡まれました。

「ノア様~お会いしたかったです~!なんで私をエスコートしてくださらないんですか~?」

「なんでもなにも婚約者がいるからに決まってるでしょ。それよりルイ殿、君こいつの逆ハーメンバーなんでしょ?今日もわざわざエスコートまでして連れてきたくらいだもんね?なんとかしてよ。こいつ邪魔」

ノア、最早苛立ちを隠そうともしないのね。

「ノア様、ベルは貴方を恋い慕っているだけなのですよ!?そんな言い方しないでやってください!それに逆ハーレムなんかじゃありません!俺達はみんなベルの心優しい言葉に救われた同士です!」

…正直、いつも絡まれているせいでベル様が優しい言葉をかけている所なんて想像出来ないけど。皆様、それでクラッと来ちゃったのかー。そっかー。まあベル様見た目はとっても愛らしいものね。うん。

「そんなの知らないよ、勝手にやってて。僕とユリアナを巻き込むな。恋い慕ってもらっても嬉しくもなんともないし、はっきり言って迷惑。てかユリアナ以外に興味ないし」

「なっ…!やっぱりユリアナ様のせいなんですね!酷いです!いつも虐めるだけじゃ飽き足らずこんな所でも意地悪するんですね!?」

「はい?」

なんで今の会話でそうなったの?あと、いつも虐めてなんてないですけど?

「ユリアナは君を虐めた事なんかないはずだけど?」

「それは~、ノア様が知らない所でやられているだけなんです~!ユリアナ様ったら酷いんですよ~?」

「そうです!ユリアナ嬢はこの間ベルの制服をびしょびしょに濡らしていました!」

「はい?」

何言ってるのこの人達?

「…へえ?詳しく聞きたいな」

あ、ノアの目がギラギラしだした。どうしよう。今すぐ引き離して助けてあげるべき?でもなぁ。正直もうベル様に絡まれるの疲れてきたし放っておいてもいいんじゃないかなぁとも思う。

「…」

「こいつらの言い分も聞いてやらないとだよね?ユリア?」

「…あー、うん。いいんじゃないかな」

はい。見捨てました。ごめんなさい。…いつの間にか会場の皆様の注目が集まっている。あーあ。王太子殿下まで興味津々のご様子だよ。もう逃げ場がないねこれ。

「で?ユリアナがいつベル嬢の制服をびしょびしょにしたの?」

「一昨日の放課後、ベルが部活動に行っていた時です!」

「…ふーん」

ごめんね、その日の放課後、ノアと一緒に家に直帰したからそれは無理だよ。言わないけど。

「他には何かある?」

「あ、あります!えっと~、教科書に悪質な落書きされたり~、変な噂流されたり~、あと、この間のパーティーではドレスにワインかけられました~!」

いや、教科書の件は全く知らないし、変な噂は私以外のご令嬢方が好き勝手に言ってるんでしょうし、ドレスの件は、そっちから私にタックルかましてきたんでしょうが。しかもその場面ノアも見てるし。

「…ふっ、ふふっ。へー、あーそう、大変だったねー」

ノア、せめて笑いを堪えて。ベル様可哀想。

「そうなんです~。あ、えっと~、ドレスの時にはノア様も見てましたよね?教科書は一週間前で~、変な噂は最近ずっとなんです~」

一週間前も確かノアと一緒に家に直帰したから無理ですけど。あと噂は、男爵令嬢が他のご令嬢に喧嘩売ってるっていうのと、男爵令嬢が他のご令嬢の婚約者に手を出そうとして失敗してるっていうのと、男爵令嬢が伯爵令息達で逆ハーレム形成してるって噂のうちどれ?あ、全部?私そんな噂流してないよ。面倒だもの。全部身から出た錆でしょうに。

「ふーん、なるほどね。そっちの言い分はわかったよ」

「わかっていただけましたか~?」

「ありがとうございます、ノア様!ベルは虐められて辛い思いをしていたのです、どうかユリアナ嬢を叱って謝らせてください!」

「…は?なんでそんなことしなきゃなんないの?意味わかんない」

ベル様と逆ハーレムメンバーの皆様の目が点になる。そうだよね。ノアが味方になってくれると思っていたんだものね。

「君が虐めを受けたっていう日、ユリアナは僕と一緒に帰ってるからそんなことしてる暇はなかったよ?まさか僕が嘘を吐いてるとは言わないよね?」

「えっ」

「…っ!…ですがユリアナ嬢なら他のご令嬢を使ってベルを虐めることも可能なはずです!」

「そ、そうですよ!」

あ、まだ諦めないんだ、逆に凄い。

「いや、ユリアナは僕の婚約者って事で色んなご令嬢から妬まれてたから、そんな仲のいいご令嬢も使い勝手がいいご令嬢もいないけど?てか証拠は?何かあるの?ないでしょ?」

「そ、それは…」

「大体さあ。例えユリアナがベル嬢を虐めたとしても何の問題にならないよね?ユリアナも君と同じ男爵令嬢でしょ?学園内でのちょっとしたいざこざってことでかたがつくと思うんだけど。その上ベル嬢は逆ハーレムを築いていて他のご令嬢方からも大ブーイングを受けているし。最近、ユリアナの婚約者である僕にベタベタし過ぎだし」

「で、ですが!」

「じゃあ次は僕の番ね」

「え?」

あー、やっぱり何かする気だ。ごめんなさい。助けてあげられないです。私を恨まずに、日頃の行いを悔いてね。

「まずルイ殿だけどさー、君の家、国庫横領してるよね?あと、ポール殿の家は平民達の宮殿への就職を斡旋してやる代わりに金品受け取ってたよねー。それとクレマン殿の家はメイド達に手を出しまくって子供を沢山…ね。口にするのも憚られるよね。皆して今までよくバレなかったよねー。」

「は?」

「一体なんのことです?」

「我が家に限ってそんなことは有り得ません」

「証拠の書類もあるよー。王太子殿下、こちらの書類を」

「ふむ。…あー、アウトだなこれ。」

「なっ!?ご、誤解です!何かの間違いです!」

「そうです、有り得ません!」

「殿下!どうか我々の話を聞いてください!」

「いやいや、ユリアナが今までずっとベル嬢のこと虐めてないって言ってたの無視して、ありもしない罪を認めさせようとしてた癖に。自分の罪は認めないわけ?しかもちゃんとした証拠付きなのに?いくら何も知らなかったとはいえ有り得ないんだけど。ね、ユリア?」

「…さすがにちょっと庇えないです」

「こ、この…っ!ベルを虐めていたくせに!悪女め!きっとこの件も貴様が企てたんだろう!」

いや違う。私何も知らなかったです。それに企てるも何もノアは冤罪だけはやらかさないし。

「違いますとしか申し上げられませんが…」

「うるさい!黙れ女狐!」

「うるさいのも黙るのも君達だよ。衛兵さーん、取り押さえてー」

ノアの声でさっと衛兵の皆様が出てくる。あっという間にルイ様達は取り押さえられた。

「え?え?」

一人だけ訳の分からないという顔をしているベル様。最後に残されたということは、なにかしら一番まずいことをやらかしたということだろう。頑張ってベル様!ファイト!

「で、ベル嬢なんだけどさぁ。君、隣国の貴族達と通じてるよね?これ、まずいことだって自覚ある?」

「えっ?隣国の貴族と仲良くしちゃダメなんですか?」

…会場がざわつく。まずい。これだけはまずい。

「…あー、あのさぁ、今隣国とは一触即発なわけ。だからあんまり変な情報渡されたくないのね?なのに君さぁ、この国の色んな貴族の色々な噂とか情報とか流しちゃったでしょ?あれ一番やっちゃダメな事ね。あと、君の存在自体が、この国の貴族にはハニトラが効くって証拠になっちゃってるの。まずいの。わかる?」

「えっ、じゃ、じゃあもしかして私なにか罪に問われるんですか?」

「いや、普通に国家反逆罪で晒し首だけど。あ、もちろん証拠もちゃんとあるから安心してね!…殿下、こちらを」

「ああ、ありがとう」

「…!?晒し首!?」

ノアが証拠の書類を殿下に渡す。殿下はそれに目を通すと、衛兵にベル様を捉えるように指示を出した。

「…ちょっと待ってよ!なんでこうなるのよ!せっかくイセカイテンセイ出来たのに!ようやく逆ハーレム達成出来たのに!なんで!あんた!あんたが私の邪魔をするから!」

そう言ってこちらを睨みつけ手を必死に伸ばしてくるベル様。いや、私のせいじゃないです。でも晒し首は可哀想。助けてあげられなくてごめんね。自分の行いを悔いてね。

「皆、すまない。今日はパーティーどころの騒ぎではなくなってしまった。今日の夜会はこれまでとしよう。後日埋め合わせはするので、今日は解散してくれ」

…ということで今日はお開きになりました。大人しくノアと一緒に帰ります。

「すまないな、ノア殿。毎回助かる」

「いえいえ、これも王国のためですから」

「ははは。ユリアナ嬢のための間違いだろう?」

「もちろんそれも有りますよ」

「相変わらず仲が良い様で何よりだ。これからもこの調子でよろしく頼む」

「はい、お任せください」

横で何か不穏な会話が聞こえてきたけど聞かなかったことにしよう。
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