私の婚約者が完璧過ぎて私にばかり批判が来る件について

婚約者に恋い焦がれているらしいご令嬢に絡まれます

「きゃっ！」

可愛らしい悲鳴をあげてベル・ネイサン様が転びます。私の前で。おそらくわざとです。…そして起き上がるとキッと私を睨み、いくら私が最近ノア様と仲がいいからって転ばせることないじゃないですか！と叫んできます。いや、してないし。そもそもノアと仲良くなんてなってないじゃないですか。ノア、最近変なご令嬢に絡まれて困ってるって言って、めちゃくちゃ鬱陶しがってますよ？

…しかし、彼女の周りにいるご令息たちには私が虐めているようにみえるようで。

「ユリアナ嬢！ベルに謝ってください！」

「いくらノア様の婚約者とはいえ、これ以上の横暴は許されません！」

いや、だから何もしてないって。というか例え私がベル様を虐めたとしても今なら問題になりませんよ？ベル様は私と同じ男爵令嬢。その上ベル様は逆ハーレムを築いていてご令嬢方から大ブーイングを受けているし、私の婚約者にベタベタしている。いつもはノアの婚約者である私を悪く言うご令嬢方も、この件については私の味方だ。

「あの、私何もしてないですけど」

「なんと白々しい！それでも貴族令嬢か！」

「いいえ！ユリアナ様は何もしておりません！私見ておりましたがベル様が勝手に転んでました！」

一人のご令嬢がもう我慢ならないとばかりに躍り出る。すると他のご令嬢方もそれに倣うかのように私を庇って…というかベル様と逆ハーレムメンバーを責め出しました。

「ええ、私もベル様が勝手に転ぶのを見ましたわ」

「私も！」

「…くっ」

「そんな！なんで皆様私を信じてくださらないのですか！酷い！」

普段私を悪く言うご令嬢方ですら、ベル様を庇うどころか責めたてている様子を見て逆ハーレムメンバーの皆様は黙るしかなくなります。

「というか皆様、一人のご令嬢をみんなで囲んで恥ずかしくないのですか？」

「鼻の下を伸ばして恥ずかしい」

「たかだか男爵令嬢に篭絡されてしまうなんてご両親もさぞかし恥ずかしい思いをされているのでは？」

「篭絡なんて、私そんなことしていません！」

口々に逆ハーレムメンバーを責めたてるご令嬢方。これには逆ハーレムメンバーの皆様もたじたじだ。

「ユリアナ様。変な言い掛かりをつけられてさぞ心細かったでしょう？大丈夫ですの？」

この間私に絡んできてノアに威嚇されていたご令嬢が気遣ってくれる。ベル様嫌われすぎじゃない？まあ仕方ないか。まだ婚約者のいない爵位の高い狙い目のご令息を次々と篭絡して逆ハーレム築いてるベル様に思うところがあってのことだろうし。

「…まあ、今回のことは何かの行き違いと言うことで、これで解散しましょう」

「待ってください！私まだあなたに謝ってもらってません！」

「謝ることなどありませんわ」

「まあ！なんて言い草！」

「…ベル、ここは一度引こう」

「えっ、どうしてですかルイ様？悪いのはユリアナ様です！」

「いいから、な？」

そう言ってベル様を引きずっていく逆ハーレムメンバーの皆様。まあ頑張ってくださいませ。

「大丈夫ですか？ユリアナ様」

「ベル様のことで何か困ったらいつでも相談してくださいませ」

…本当、ベル様はどうやってここまでご令嬢方にきらわれたんだろう。